『ボーン・レガシー』は、2012年公開のアクション・スリラー映画で、ジェイソン・ボーンシリーズの4作目。ジェレミー・レナー主演で、新主人公アーロン・クロスがCIAの陰謀に立ち向かう。監督はトニー・ギルロイ、135分。
基本情報
- 邦題:ボーン・レガシー
- 原題:The Bourne Legacy
- 公開年:2012年
- 製作国:米国
- 上映時間:135分
- ジャンル:アクション
- 配給:東宝東和
見どころ
主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー。劇中、ジェイソン・ボーンの影がチラつき、より緊迫感を与えている。前3作をしのぐ圧巻のアクションが見どころ。
あらすじ
『ボーン・レガシー』は、ロバート・ラドラムの小説を基にした「ジェイソン・ボーン」シリーズのスピンオフ作品で、ジェイソン・ボーンが登場しない初の作品です。物語は、ボーン・シリーズの第2作『ボーン・スプレマシー』および第3作『ボーン・アルティメイタム』と同時進行の時間軸で展開します。主人公は、CIAの極秘プログラム「アウトカム計画」のエージェント、アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)。彼はアラスカの過酷な環境で訓練を受け、特殊な薬物を服用して身体能力と知能を強化されています。しかし、ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)の告発により、CIAの極秘計画「トレッドストーン作戦」が暴露され、アウトカム計画も終結の危機に瀕します。CIA幹部のエリック・バイヤー(エドワード・ノートン)は、計画の痕跡を消すため、関係者の抹殺を指示。クロスは命を狙われ、逃亡を余儀なくされます。
クロスは、計画に関与する科学者マルタ・シアリング博士(レイチェル・ワイズ)と出会い、彼女の協力を得て薬物の供給源を求めてフィリピンへ向かいます。追手から逃れつつ、クロスは自身の過去と計画の真相に迫ります。物語は、アクション満載の逃亡劇と、CIAの陰謀を暴くサスペンスが交錯する展開で、シリーズ特有の緊張感とスリルを継承しています。
解説
『ボーン・レガシー』は、ジェイソン・ボーンを主人公としない新たな視点でシリーズを拡張した作品です。監督のトニー・ギルロイは、前3作の脚本家としてシリーズの世界観を熟知しており、本作では新たな主人公アーロン・クロスを通じて、CIAの極秘プログラムの闇をさらに掘り下げます。ボーンが不在でも、シリーズの特徴であるリアルなアクション場面、複雑な陰謀、ノンストップの展開は健在で、特にクロスの身体能力を活かした格闘やチェイスシーンは見応えがあります。映画は、前作のファンに向け、ボーンの手配写真や関連人物の登場を通じて、同一世界観内での物語であることを強調しています。
批評家の評価は賛否両論で、Rotten Tomatoesでは55%の支持率、Metacriticでは100点満点中61点を記録。前3作ほどのインパクトはないものの、ジェレミー・レナーのカリスマ性とアクションは高く評価されました。シリーズの新機軸として、薬物によるエージェントの強化というテーマが導入され、倫理的問題や人間性にも焦点を当てています。
女優の活躍
本作で最も注目すべき女優は、レイチェル・ワイズが演じるマルタ・シアリング博士。ワイズは、アカデミー賞助演女優賞受賞(『ナイロビの蜂』)の実績を持つ実力派で、本作では科学者としての知性と、危機に巻き込まれた女性の感情的な揺れを見事に演じ分けました。マルタは、アウトカム計画の薬物開発に携わる優秀な研究者でありながら、計画の非倫理性を知り、クロスとともに逃亡する過程で強い意志を見せます。彼女のキャラクターは、単なるヒーローのサポート役ではなく、物語の鍵を握る重要な存在として描かれ、ワイズの演技は緊張感と人間味を両立させています。特に、クロスとの信頼関係が深まるシーンや、命がけの逃亡劇での感情表現は、作品に深みを加えました。
その他、ステイシー・キーチが演じるトゥルソー提督や、ドナ・マーフィーが演じるCIAの関係者など、脇役の女性キャラクターも登場しますが、ワイズの存在感が際立っています。彼女の演技は、アクション中心の作品に感情的な軸を提供し、観客を引き込む力となっています。
女優の衣装・化粧・髪型
レイチェル・ワイズ演じるマルタ・シアリングの衣装は、彼女のキャラクターを反映した実用的かつ現実的なデザインが特徴です。物語の序盤では、研究者として白衣やシンプルなビジネスカジュアル(シャツ、スラックス)を着用し、知的な印象を強調。メイクはナチュラルで、薄いファンデーションと控えめなリップカラーを使用し、科学者らしい落ち着いた雰囲気を演出しています。ヘアスタイルは、肩までの長さの髪をゆるくまとめたポニーテールや、シンプルなダウンスタイルで、機能性を重視した印象です。
物語が進み、クロスとともに逃亡生活に入ると、衣装はよりカジュアルに変化します。ジーンズやジャケット、スニーカーなど動きやすい服装が中心で、アクション場面に対応した実用性が優先されています。メイクはほぼ施さず、素顔に近い状態で、過酷な状況でのリアルさを表現。ヘアスタイルも、乱れたポニーテールや無造作なダウンスタイルで、逃亡中の緊張感を強調しています。特に、フィリピンでのシーンでは、汗や埃で髪が乱れる様子が、過酷な環境を視覚的に伝えています。ワイズの衣装とメイクは、キャラクターの心理的変化や物語の展開をさりげなく補強する役割を果たしています。
キャスト
- アーロン・クロス:ジェレミー・レナー(アウトカム計画のエージェント。身体能力と知性を強化された暗殺者)
- マルタ・シアリング博士:レイチェル・ワイズ(アウトカム計画の薬物開発に関わる科学者)
- エリック・バイヤー:エドワード・ノートン(CIAの幹部で、計画の抹消を指揮)
- トゥルソー提督:ステイシー・キーチ(CIAの上層部)
- パメラ・ランディ:ジョーン・アレン(ボーン・シリーズからの継続キャラクター)
- ノア・ヴォーセン:デヴィッド・ストラザーン(同上)
その他、オスカー・アイザック、ドナ・マーフィー、アルバート・フィニーらが脇を固め、シリーズの継続性を保ちつつ新たな顔ぶれを加えています。
スタッフ
- 監督:トニー・ギルロイ(前3作の脚本家で、本作がシリーズ初監督)
- 脚本:トニー・ギルロイ、ダン・ギルロイ
- 原案:トニー・ギルロイ(ロバート・ラドラムの小説にインスパイア)
- 製作:パトリック・クロウリー、フランク・マーシャル、ベン・スミスほか
- 撮影:ロバート・エルスウィット(アカデミー賞受賞歴あり、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
- 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード(シリーズの緊張感を高めるスコアを提供)
- 編集:ジョン・ギルロイ
配給:東宝東和(日本)、ユニバーサル・ピクチャーズ(国際)
スタッフ陣は、ギルロイ兄弟を中心に、シリーズのテイストを継承しつつ新たな視点を加えました。エルスウィットの撮影は、ダイナミックなアクションと暗い室内シーンのコントラストを効果的に表現。ハワードの音楽は、緊迫感と感情的な場面をバランスよく支えています。
総括
『ボーン・レガシー』は、ジェイソン・ボーン不在の挑戦的な作品ながら、ジェレミー・レナーとレイチェル・ワイズの演技、トニー・ギルロイの緻密な脚本と演出により、シリーズの魅力を保ちつつ新たな物語を展開しました。マルタ・シアリングのキャラクターは、ワイズの演技と相まって、作品に知性と感情を付与。衣装やメイクは、物語の現実感を高める役割を果たしています。アクションとサスペンスの融合、CIAの陰謀というテーマは、シリーズファンにも新たな観客にも見応えのある体験を提供します。
レビュー 作品の感想や女優への思い