『憑依』は、韓国の人気ウェブトゥーンを原作とした2023年公開のホラーエンターテイメント映画。インチキ祈祷師のチョン博士が、悪霊に憑かれた少女を救うため、自身の過去と向き合いながら強大な悪鬼に立ち向かう。カン・ドンウォン主演で、アクションとユーモアが融合した予測不能な展開が魅力。
基本情報
- 邦題：憑依
- 原題：천박사 퇴마 연구소: 설경의 비밀
- 英題：Dr. Cheon and Lost Talisman
- 公開年：2022年
- 製作国：韓国
- 上映時間：98分
- ジャンル：ホラー
見どころ
いつどこで誰に悪鬼が憑依するかわからない予測不能な展開や霊感のない偽祈祷師・チョン博士が、本物の祈祷師へと覚醒し悪鬼と壮絶な戦いを繰り広げる姿に惹きつけられる。
あらすじ
霊が見えないインチキ祈祷師のチョン博士（カン・ドンウォン）は、助手のインベ（イ・ドンフィ）と共に、巧みな話術で依頼人を騙し、偽の除霊儀式で生計を立てていた。ある日、ユギョン（イ・ソム）という女性から、悪霊に憑かれた妹ユミン（パク・ソイ）を救ってほしいという依頼が舞い込む。1億ウォンの報酬に惹かれ、いつものように偽の除霊を企てるが、ユミンの異常な動きと気配に、チョン博士の持つ呪具「鈴」と「七星剣」が反応。実はチョン博士は、伝統ある祈祷師の家系の長男であり、幼少期の忌まわしい出来事が原因でその力を封印し、インチキ祈祷師として生きてきた過去を持つ。ユミンを取り戻すため、チョン博士とユギョンは、強大な悪鬼「梵天（ホ・ジュノ）」と対峙。戦いの中で、チョン博士は自身のルーツと向き合い、封印された力を解放する。物語は、アクションとファンタジー要素を織り交ぜつつ、チョン博士の成長と絆を描く。
解説
『憑依』は、韓国のウェブトゥーン『빙의』を原作としたホラーエンターテイメント映画で、2023年に韓国で公開後、初日から6日間連続で観客動員数1位を記録した話題作。監督はキム・ソンシクで、『パラサイト 半地下の家族』や『別れる決心』で助監督を務めた経験を活かし、ホラーとアクション、ユーモアを融合させた独自の作風を展開。映画はホラーというよりファンタジーやアクション寄りで、怖さを抑えつつも緊張感ある戦闘シーンやコミカルな掛け合いが特徴。原作とは異なり、主人公チョン博士が本物の祈祷師の家系という設定に変更され、カン・ドンウォンの魅力的な演技が物語に深みを加えている。観客からは「ホラーというよりアジア版ドクター・ストレンジ」との声もあり、幅広い層が楽しめる作品に仕上がっている。興行的には、2023年秋の韓国で競合作が多く、観客動員数は約150万人程度と予想されたが、批評家や観客の評価は上々で、特にカン・ドンウォンのビジュアルとアクションシーンが称賛された。
女優の活躍
本作では、イ・ソムが演じるオ・ユギョンとパク・ソイが演じるユミンが主要な女性キャラクターとして登場し、物語の鍵を握る。
イ・ソム（オ・ユギョン役）
イ・ソムは、依頼人としてチョン博士を訪ね、悪霊に憑かれた妹を救うために奔走する女性を熱演。『キル・ボクスン』で知られる彼女は、ユギョン役で感情豊かな演技を披露。特に、妹への深い愛情と恐怖に立ち向かう決意を表現するシーンでは、観客の共感を誘う。ユギョンは物語の進行役として、チョン博士の過去を掘り起こすきっかけを作り、アクションシーンでも勇敢に振る舞う。その自然体でありながら力強い演技は、チョン博士との対比を際立たせ、物語に緊張感と温かさを加えている。イ・ソムの存在感は、ホラー要素が控えめな本作において、感情的な軸をしっかりと支えている。
パク・ソイ（ユミン役）
子役のパク・ソイは、悪霊に憑かれたユギョンの妹ユミン役で印象的な演技を見せる。『ただ悪より救いたまえ』などで評価された彼女は、幼いながらも不気味な雰囲気を漂わせるシーンで観客を引き込む。憑依された状態での異様な動きや表情は、ホラー映画らしい緊張感を醸し出し、チョン博士の呪具が反応するきっかけとなる重要な役どころ。パク・ソイの演技は、物語の序盤でインチキ祈祷師のチョン博士を本気にさせる鍵となり、観客に恐怖と好奇心を与える。
女優の衣装・化粧・髪型
イ・ソム（オ・ユギョン）
イ・ソムの衣装は、現代的でシンプルなスタイルが中心。ユギョンは普通の女性として登場するため、カジュアルなジーンズやシャツ、ジャケットを着用し、アクションシーンでも動きやすさを重視した実用的な服装が目立つ。化粧はナチュラルで、恐怖や緊迫感を表現するために、汗や汚れを活かしたリアルなメイクが施されている。髪型は、普段はポニーテールや緩くまとめたスタイルで、戦闘シーンでは髪が乱れることで緊迫感を演出。彼女のルックは、日常性と非日常の戦いのギャップを強調し、キャラクターのリアリティを高めている。
パク・ソイ（ユミン）
パク・ソイの衣装は、幼い少女らしいシンプルなワンピースやカジュアルな服が中心だが、憑依されたシーンでは、ボサボサの髪や乱れた衣装で不気味さを強調。化粧はほぼ施さず、青白い肌や目の下のクマで悪霊の影響を表現。髪型は、普段は整ったツインテールだが、憑依シーンでは乱れ、恐怖感を増幅させる。彼女のビジュアルは、ホラー要素を視覚的に補強する重要な要素となっている。
キャスト
- カン・ドンウォン（チョン・ドンシグ博士役）…インチキ祈祷師でありながら、実は本物の祈祷師の家系の長男。カン・ドンウォンのカリスマ性とコミカルな演技が光る。
- イ・ドンフィ（インベ役）…チョン博士の助手で、ユーモアと軽快な掛け合いが魅力。『カジノ』で知られる彼が、コメディ要素を担う。
- ホ・ジュノ（梵天役）…強大な悪鬼を演じ、『モガディシュ 脱出までの14日間』の実力派俳優が不気味な存在感を発揮。
- イ・ソム（オ・ユギョン役）…妹を救うためにチョン博士を訪ねる女性。感情的な演技で物語を牽引。
- パク・ソイ（ユミン役）…悪霊に憑かれた少女。子役ながら迫真の演技でホラー要素を強化。
- キム・ジョンス（黄社長役）…チョン博士を支える脇役で、『キングメーカー 大統領を作った男』で知られるベテランが安定感を加える。
- ムン・ソンヒョン（幼少期のチョン博士役）…チョン博士の過去を演じ、物語の背景に深みを加える。
スタッフ
- 監督：キム・ソンシク…『パラサイト 半地下の家族』や『別れる決心』の助監督を務めた新進気鋭の監督。ホラーとアクションの融合を見事に演出。
- 原作：フレシャ、キム・ホンテ…人気ウェブトゥーン『빙의』を基に、映画独自のストーリー展開を構築。
- 製作：CJ ENM、外柔内剛、セミコロンスタジオ…韓国映画界の大手が集結し、高品質なビジュアルとプロダクションを実現。
- 配給：ツイン（日本）、CJ ENM（韓国）…日本では2024年9月6日公開。
- 字幕翻訳：福留友子…日本語字幕で物語のニュアンスを丁寧に伝える。
総評
『憑依』は、ホラーという枠を超えたエンターテイメント性の高い作品で、カン・ドンウォンをはじめとするキャストの魅力、キム・ソンシク監督の巧みな演出、そしてイ・ソムやパク・ソイの感情的な演技が融合し、観客を引き込む。衣装やビジュアルも物語の雰囲気を効果的に補強し、アクションとユーモアがバランスよく配置された作品として、幅広い層におすすめできる。
レビュー 作品の感想や女優への思い