オーラ・ブレイディ(Orla Brady)はアイルランド出身の舞台・テレビ・映画女優。ダブリン生まれで、『スター・トレック:ピカード』や『イントゥ・ザ・バッドランズ』などで知られる。2020年にアイリッシュ・タイムズの「アイルランド最高の映画俳優50人」に選出された。
プロフィール
- 名前:オーラ・ブレイディ(Orla Brady)
- 生年月日:1961年3月28日生まれ(64歳)
- 出生地:アイルランド、ダブリン
- 職業:女優
- 活動年:1991年~現在
- 配偶者:ニック・ブラント(2002年結婚)
生い立ち・教育
オーラ・ブレイディは1961年3月28日、アイルランドのダブリンで生まれました。父パトリックと母キャサリンの間に4人兄弟の次女として育ち、幼少期はダブリンのテンプルバーにある両親が経営していたオーク・バーというパブの影響を受けた環境で過ごしました。生まれてから7歳までウィックロー州ブレイに住み、その後ダブリンのカビンテリーにあるウルスリン修道院で教育を受けました。カトリックの厳格な環境で育った彼女ですが、2002年時点で自身を無神論者と公言しています。
演技への興味は20歳の頃、ジェルメーヌ・グリアやシモーヌ・ド・ボーヴォワールの著作に触発されて芽生えました。彼女は「20代は苦悩の時期で、男性との関わり方に戸惑い、自信がなかった」と語っています。1986年、25歳の時にパリへ渡り、フィリップ・ゴーリエの演劇学校(L’École Philippe Gaulier)で学び、さらにマルセル・マルソーのエコール・インターナショナル・ド・ミモドラム・ド・パリでパフォーマンスを磨きました。この時期、彼女はフランス語を習得し、クラウニングやフェンシングなど幅広い演技技術を学びました。
経歴
オーラ・ブレイディのキャリアは、バルーナティクス劇団での『ハムレット』や『フィネガンズ・ウェイク』の公演から始まりました。パリでの学びを終えてダブリンに戻った1989年、ゲート・シアターで『ベルナルダ・アルバの家』のアデラ役を、翌1990年には『三人姉妹』のナターシャ役を演じ、早くも注目を集めました。その後ロンドンに移り、ブライアン・フリールの『フィラデルフィア、ヒア・アイ・カム!』でケイト役を演じ、キングス・ヘッド・シアターからウエストエンドへの転進を果たしました。1996年にはロイヤル・ナショナル・シアターでスティーヴン・ポリアコフの『Blinded by the Sun』のギスレーヌ役を務め、舞台女優としての地位を確立しました。
1990年代からテレビ出演が増え、1993年の『Minder』での銀行員役でテレビデビュー、1994年にはW.B.イェーツの戯曲に基づく映画『Words Upon the Window Pane』でヴァネッサ役として映画初出演を果たしました。1999年にはRTÉとBBCの共同制作『A Love Divided』でシーラ・クローニー役を演じ、モンテカルロ国際映画テレビフェスティバルで最優秀女優賞を受賞。この作品は彼女のキャリアの転機となりました。
2001年にロサンゼルスに移住後、CBSの『Family Law』(2000-2002年)でナオイセ・オニール役を演じ、3年間放送された人気シリーズでアメリカでの足場を固めました。さらに『Nip/Tuck』のドクター・ジョーダン役や『Shark』(2007-2008年)のクレア・スターク役など、米国のドラマで活躍。2010年にはSFシリーズ『Fringe』でエリザベス・ビショップ役を演じ、2012年にサターン賞の最優秀ゲスト女優賞にノミネートされました。
国際的な注目を集めたのは、2013年の『Doctor Who』クリスマススペシャル『The Time of the Doctor』でのターシャ・レム役や、2016年から2019年までの『Into the Badlands』でのリディア役です。また、2020年から2023年まで『スター・トレック:ピカード』でロミュラン出身のラリス役とタリン役を演じ、特にシーズン2では二役をこなす演技が高く評価されました。2020年にはアイリッシュ・タイムズの「アイルランド最高の映画俳優50人」で43位に選ばれ、アイリッシュ・フィルム・アンド・テレビジョン・アカデミー賞にも複数回ノミネートされています。
私生活
2001年にロサンゼルスに移住したブレイディは、そこで英国人写真家のニック・ブラントと出会い、2002年12月にケニアのチュユル・ヒルズで結婚しました。彼女はアイルランドを離れた理由として、当時のアイルランドが「女性にとって抑圧的な場所だった」と述べ、機会の少なさに不満を感じていました。しかし、2015年の同性婚や2018年の人工妊娠中絶に関する国民投票を経て、「アイルランドは変わり、私を受け入れてくれる場所になった」と語っています。現在はロサンゼルスとダブリンを拠点に生活し、乗馬、読書、動物愛好家として知られています。
また、1988年に彼女はスコットランドの画家ジャック・ヴェットリアーノの『The Singing Butler』などの作品の参考写真にモデルとして登場。これが後に彼の代表作のインスピレーションとなりました。
出演作品
以下はオーラ・ブレイディの代表的な出演作品の一部です。
映画
- Words Upon the Window Pane(1994年、ヴァネッサ役)
- A Love Divided(1999年、シーラ・クローニー役、モンテカルロ最優秀女優賞受賞)
- The Luzhin Defence(2000年)
- The Price of Desire(2015年、アイリーン・グレイ役)
- The Foreigner(2017年、メアリー・ヘネシー役)
TV
- Minder(1993年、銀行員役)
- Family Law(2000-2002年、ナオイセ・オニール役)
- Nip/Tuck(2003年、ドクター・ジョーダン役)
- Shark(2007-2008年、クレア・スターク役)
- Fringe(2010-2012年、エリザベス・ビショップ役、サターン賞ノミネート)
- Doctor Who(2013年、ターシャ・レム役、『The Time of the Doctor』)
- Into the Badlands(2016-2019年、リディア役)
- American Horror Story: 1984(2019年、ドクター・カレン・ホップル役)
- スター・トレック:ピカード(2020-2023年、ラリス/タリン役)
舞台
- ハムレット(バルーナティクス劇団)
- フィネガンズ・ウェイク(バルーナティクス劇団)
- ベルナルダ・アルバの家(1989年、アデラ役、ゲート・シアター)
- 三人姉妹(1990年、ナターシャ役、ゲート・シアター)
- フィラデルフィア、ヒア・アイ・カム!(ケイト役、ロンドン)
- Blinded by the Sun(1996年、ギスレーヌ役、ロイヤル・ナショナル・シアター)
まとめ
オーラ・ブレイディは、アイルランド、英国、米国をまたにかけた多才な女優として、舞台から映像作品まで幅広いキャリアを築き上げました。彼女の演技は感情の深さとリアリティで観客を引きつけ、今後もさらなる活躍が期待されます。
レビュー 作品の感想や女優への思い