『THE TUDORS 背徳の王冠』は、16世紀イングランドのヘンリー8世の波乱に満ちた人生を描く歴史ドラマ。6人の王妃との結婚や宗教改革、権力闘争を豪華な衣装と重厚な演出で描き、2007年から2010年まで放送された全4シーズンの大作です。
基本情報
- 邦題：THE TUDORS 背徳の王冠
- 原題：THE TUDORS
- 放送期間：2007年〜2010年
- 製作国：アイルランド
女優の活躍
本作では、ヘンリー8世の6人の王妃を演じた女優たちが特に注目を集めました。以下に主要な女優とその役柄について詳しくご紹介します。
マリア・ドイル・ケネディ（キャサリン・オブ・アラゴン役）
スペイン出身の初代王妃を演じ、威厳と悲劇性を体現。彼女の演技は、夫の裏切りと信仰心の葛藤を繊細に表現し、視聴者の共感を呼びました。特にシーズン1での堂々とした存在感が印象的です。
ナタリー・ドーマー（アン・ブーリン役）
ナタリー・ドーマーは野心的な2番目の王妃を演じ、本作のブレイク女優に。彼女の魅力的な演技は、アンの計算高さと脆さを絶妙に描き出し、シーズン2での処刑シーンはドラマのクライマックスとして高く評価されました。
アナベル・ウォリス（ジェーン・シーモア役）
アナベル・ウォリスは穏やかで愛らしい3番目の王妃を演じ、ヘンリー8世の心を掴む純粋さを表現。彼女の柔らかな演技は、短い登場期間ながら強い印象を残しました。
ジョス・ストーン（アン・オブ・クレーブス役）
歌手出身の彼女は、4番目の王妃として異国情緒とユーモアを加えました。短い結婚生活をコミカルに演じ、視聴者に新鮮な印象を与えました。
タムジン・マーチャント（キャサリン・ハワード役）
若く奔放な5番目の王妃を演じ、無垢さと無謀さを巧みに表現。彼女の若々しいエネルギーが、悲劇的な結末と対比を成しました。
ジョエリー・リチャードソン（キャサリン・パー役）
知性と優しさを持つ6番目の王妃を演じ、成熟した女性像を提示。ヘンリーの晩年を支える姿は、物語に落ち着きをもたらしました。
これらの女優は、それぞれの王妃の個性や歴史的背景を深く掘り下げ、ドラマに多様な魅力を加えました。特にナタリー・ドーマーは本作で国際的な注目を集め、その後のキャリアで『ゲーム・オブ・スローンズ』などに出演するきっかけとなりました。
女優の衣装・化粧・髪型
『THE TUDORS』の衣装、化粧、髪型は、16世紀のイングランド宮廷の豪華さを再現しつつ、現代的な美意識を取り入れたデザインで、視聴者を魅了しました。以下に特徴を挙げます。
衣装
衣装はエミー賞を受賞（2007年、2008年、2010年）するほどの精巧さで、豪華なベルベットやシルク、刺繍、金糸を用いたドレスが特徴。キャサリン・オブ・アラゴンの重厚なスペイン風ドレスは威厳を、アン・ブーリンの洗練されたフランス風ドレスは彼女の野心を象徴。ジェーン・シーモアの控えめな色調の衣装は純粋さを、キャサリン・ハワードの華やかなドレスは若さを表現しました。
化粧
化粧は自然さを基調にしつつ、役柄に応じた個性を強調。キャサリン・オブ・アラゴンは控えめで上品な化粧、アン・ブーリンは大胆な目元と赤い唇で魅惑的な印象を演出。キャサリン・ハワードは若さを強調する明るいチークが特徴的でした。
髪型
髪型は時代を反映しつつ、女優の個性を引き立てました。アン・ブーリンの緩やかなウェーブと宝石付きのヘッドピースは優雅さを、ジェーン・シーモアのシンプルな編み込みは清楚さを表現。キャサリン・パーの落ち着いたアップスタイルは知性を強調しました。
小括
これらの要素は、歴史的正確さよりも視覚的魅力とキャラクターの個性を優先し、ソープオペラとしてのドラマ性を高めました。衣装は特に視聴者から高い評価を受け、ドラマの豪華な雰囲気を形作りました。
あらすじ
『THE TUDORS 背徳の王冠』は、16世紀イングランドのヘンリー8世の治世を描いた全4シーズンの歴史ドラマです。以下にシーズンごとのあらすじを簡潔にまとめます。
シーズン1
30代のヘンリー8世は、男子の世継ぎを欲し、キャサリン・オブ・アラゴンとの間に娘メアリーしか得られず苛立つ。信頼する枢機卿トマス・ウルジーはフランスとの和平を図るが、ヘンリーはアン・ブーリンに心を奪われる。キャサリンとの婚姻無効を求めるが、ウルジーの失敗により彼は失脚し自殺する。
シーズン2
ヘンリーはローマ・カトリックからイングランド国教会を分離させ、アン・ブーリンと結婚しエリザベス王女を儲ける。しかし男子が生まれず、アンへの愛は冷める。トマス・クロムウェルが宗教改革を進め、アンは姦通の罪で処刑される。ヘンリーはジェーン・シーモアに心を移す。
シーズン3
ジェーン・シーモアと結婚し、待望のエドワード王子を儲けるが、ジェーンは産褥死。宗教改革への反発やカトリック大国からの脅威が高まる中、クロムウェルはアン・オブ・クレーブスを王妃に迎えるが、ヘンリーは彼女を嫌い離婚。クロムウェルは処刑され、ヘンリーはキャサリン・ハワードに惹かれる。
シーズン4
キャサリン・ハワードと結婚するが、彼女の姦通が発覚し処刑される。老いたヘンリーはキャサリン・パーと再婚し、フランス遠征を行うが成果は乏しい。異端審問の危機を乗り越えたキャサリン・パーが摂政を務め、ヘンリーは死去。メアリーとエリザベスがそれぞれの運命を歩む。
解説
『THE TUDORS 背徳の王冠』は、歴史的正確さよりもエンターテインメント性を重視したソープオペラとして設計されました。製作総指揮のマイケル・ハーストは「歴史劇ではなくソープオペラを目指した」と述べ、史実とフィクションを織り交ぜた展開が特徴です。例えば、トマス・ウルジーの自殺やヘンリーの若々しい描写は史実と異なり、ドラマ性を高めるための改変です。物語はヘンリー8世の6人の王妃との関係を中心に、宗教改革や政治的陰謀を絡め、視聴者を引き込む重厚な人間ドラマを展開します。豪華な衣装や美術、撮影技術はエミー賞やゴールデンリール賞を受賞し、視覚的にも高い評価を受けました。日本ではAXNミステリーやIMAGICA BSで放送され、歴史ファンだけでなくドラマ愛好者にも支持されました。本作は、権力と愛の葛藤を軸に、16世紀の宮廷の華やかさと残酷さを描き出した傑作です。
キャスト
- ヘンリー8世：ジョナサン・リース＝マイヤーズ（綱島郷太郎）
- キャサリン・オブ・アラゴン：マリア・ドイル・ケネディ（坪井木の実）
- アン・ブーリン：ナタリー・ドーマー（鍋井まき子、松岡依都美）
- ジェーン・シーモア：アナベル・ウォリス（庄司宇芽香）
- アン・オブ・クレーブス：ジョス・ストーン（松岡依都美）
- キャサリン・ハワード：タムジン・マーチャント（清水理沙）
- キャサリン・パー：ジョエリー・リチャードソン（安原麗子）
- トマス・ウルジー：サム・ニール（佐々木敏）
- トマス・クロムウェル：ジェームズ・フレイン（小柳基）
- チャールズ・ブランドン：ヘンリー・カヴィル（伊藤健太郎）
- トマス・モア：ジェレミー・ノーサム（広瀬彰勇）
- メアリー王女：サラ・ボルジャー（羽飼まり）
スタッフ
- 製作総指揮：マイケル・ハースト、シーラ・ホッキン
- 監督：チャールズ・マクドゥガル、スティーヴ・シル、ブライアン・カークほか
- 脚本：マイケル・ハースト
- 音楽：トレヴァー・モリス（2007年エミー賞メインテーマ音楽賞受賞）
- 製作：Showtime、BBC Two、CBC Television、TV3
レビュー 作品の感想や女優への思い