ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校

ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校（UW-Stevens Point、略称UWSP）は、1894年に設立されたウィスコンシン大学システムの公立大学。ウィスコンシン州の中心部、スティーブンス・ポイントに位置し、約8,251名の学生が学ぶキャンパスは、406エーカーの広大な敷地を有します。自然資源管理、環境科学、教育、芸術分野で特に優れた教育を提供し、170以上の学部プログラムと18の大学院プログラムを展開。米国初の環境保全専攻やウェルネス専攻を生み出した先駆者として知られ、中西部地域大学ランキングで54位（U.S. News & World Report 2026）を獲得しています。持続可能性と研究に注力する学術環境が魅力です。出身女優にキャシー・キニー、アンドレア・アンダース、クレア・ヘイデンら。

When It All Falls Down – Chaplin｜ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校BFAミュージカルシアター専攻のローラ・リディア・パルジンスキーが、新入生審査会でカーティス・チャップマンのチャップリンより「When it All Falls Down」を歌う。

When It All Falls Down - Chaplin

University of Wisconsin - Stevens Point BFA Musical Theatre Major, Laura Lydia Paruzynski, sings "When it All Falls Down...

歴史
教育
出身女優
出身女性アスリート

歴史

ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校の歴史は、1848年のウィスコンシン州憲法に遡ります。この憲法は、州民のための教師養成教育を義務付け、地域のノーマルスクール（教師養成学校）の設立を促しました。1893年、州のNormal School Board of Regentsは、教師養成のための新校設立を決定し、候補地としてワウソーや他の都市と競った結果、スティーブンス・ポイントが選ばれました。

1894年9月17日、Stevens Point Normal Schoolとして正式に開校しました。初代学長のTheron B. Prayのもと、201名の学生が在籍し、主に教師養成、家庭科学（ドメスティックサイエンス）、および保全教育に焦点を当てたカリキュラムが展開されました。当初のキャンパスはOld Mainと呼ばれる建物で構成され、1901年と1914年に翼棟が追加され、1915年にはNelson Hallの女子寮が建設されました。これにより、女性学生の教育環境が整備され、米国で早期に女性向けの家庭科学教育を導入した先駆的な役割を果たしました。

1927年、同校はCentral State Teachers Collegeに改称され、4年制の教師養成学位を授与するようになりました。この頃、1931年に音楽プログラムが開始され、1946年には米国初の環境保全専攻が設立されました。これは、戦後の環境意識の高まりを反映した画期的な取り組みでした。第二次世界大戦後の学生数増加に伴い、1951年にWisconsin State College–Stevens Pointとなり、文学士（BA）および理学士（BS）学位の授与を開始。1964年にはWisconsin State University–Stevens Pointに昇格し、大学院プログラムを導入しました。

1971年、ウィスコンシン大学システムへの統合により、現在のUniversity of Wisconsin–Stevens Pointの名称が採用されました。この時期、1970年に自然資源学部（College of Natural Resources）が設立され、森林管理や野生生物生態学の専門教育が強化されました。キャンパスの発展も著しく、1967年のビール暴動や1970年のベトナム戦争反対デモなどの学生運動が、社会的変革の象徴となりました。また、1985年にTreehavenというフィールドステーションが開設され、屋外教育の拠点となりました。

2007年、持続可能性タスクフォースが発足し、カーボンニュートラルを目指す取り組みが始まりました。最近では、2022年にBob Engelhard Restoration Ecology Field Laboratoryへの寄付が寄せられ、修復生態学の研究が推進されています。歴代学長の中には、Lee S. Dreyfus（1977–1979、在任中にウィスコンシン州知事に就任）のような著名人がおり、現在はPratima Gandhi学長（2025年就任）がリーダーシップを発揮しています。この長い歴史を通じて、UWSPは教育の革新者として、ウィスコンシン州の知的・文化的発展に大きく寄与してまいりました。

教育

ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校は、4つの学部（College of Fine Arts and Communication、College of Letters and Science、College of Natural Resources、College of Professional Studies）からなる包括的な教育体系を有します。これにより、170以上の学部プログラム（80専攻、90副専攻）と18の大学院プログラム（15修士課程、聴覚学・教育持続可能性・理学療法の3博士課程）を提供しており、多様な学問分野をカバーしています。Higher Learning Commissionによる認定を受け、質の高いリベラルアーツ教育を基盤としています。

特に、自然資源学部はUWSPの強みの一つで、森林資源管理、野生生物生態学、水産養殖、環境教育などの専攻が揃います。1946年に米国初の環境保全専攻を導入した伝統を継承し、280エーカーのSchmeeckle Reserve自然保護区を活用した実践的なフィールド学習が特徴です。この学部は、持続可能な資源利用の専門家を育成し、連邦政府やNGOでの就職率が高いです。また、TreehavenやNorthern Aquaculture Demonstration Facilityなどの衛星施設が、屋外でのハンズオン教育を支えています。

文理学部（College of Letters and Science）では、自然科学、社会科学、数学、コンピューティング、人文科学を幅広く学び、分析力と批判的思考を養います。教育学部（School of Education）は、中等教育・高校レベルの社会科教師養成に特化し、ウィスコンシン州教育省のライセンス要件を満たすプログラムを提供。ビジネス・経済学部では、持続可能なビジネスモデルを重視したカリキュラムが展開され、起業家精神を育みます。

美術・コミュニケーション学部は、視覚芸術、演劇、ダンス、ジャーナリズムをカバーし、創造性を刺激する機会が豊富です。UWSPは、米国初のウェルネス専攻（健康・ウェルネス）を世界で最初に導入した大学としても知られ、身体的・精神的健康を統合した教育を推進。University Collegeがアドバイジングや名誉プログラム、国際教育をサポートし、学生の包括的な成長を保証します。

研究面では、Research Colleges and Universitiesのカテゴリに分類され、年間最低2,500万ドルの研究開発投資を実施。2024年の研究資金は689万ドルに達し、主に文理学部と自然資源学部のプロジェクトに充てられています。毎年開催される研究シンポジウムでは、学生が成果を発表し、学術的交流を深めます。このような教育環境は、卒業生の就職率を高め（95%以上）、大学院進学や専門職への道を開いています。UWSPは、知識の探求と社会貢献を重視した教育を通じて、学生一人ひとりが目的意識を持ってキャリアを築くことを支援しております。

出身女優

アンドレア・ベールケ（Andrea Boehlke）：テレビパーソナリティ、女優、ホスト。在学中は学生テレビのホストとして積極的に活動。演劇のBFA（美術学士号）を取得し、最高栄誉で卒業。
キャシー・キニー（Kathy Kinney）：コメディアン兼女優。UWSP出身のスティーブンス・ポイント出身者で、2019年のDistinguished Alumnus Award受賞者。『ドリュー・ケイリー・ショー』のMimi役で有名。舞台、テレビ、執筆活動で多才な活躍を続けています。
アンドレア・アンダース（Andrea Anders）：女優。UWSPでBFA（美術学士）を取得後、Rutgers UniversityでMFAを修得。『ジョーイ』や『ベター・オフ・テッド』などのシットコムで知られ、ブロードウェイ舞台にも出演。Matt LeBlancとの共演歴もあります。
クレア・ヘイデン（Clare Haden）：女優。UWSPの演劇・ダンス学部で学び、MFA（演技専攻、声優強調）を取得。声優や舞台女優として活躍し、シェイクスピア作品などで評価されています。
ローラ・オスネス（Laura Osnes）：ミュージカルシアターを専攻しましたが、プロの演劇キャリアを追求するために1年後に中退。

出身女性アスリート

スージー・フェイバー・ハミルトン（Suzy Favor Hamilton）：中距離走の名選手。UWSP在学中にNCAAチャンピオンを複数回獲得し、1992年、1996年、2000年の夏季オリンピックにアメリカ代表として出場。世界記録保持者としても知られ、精神衛生の啓発活動にも積極的です。
ジェネル・マッカーヴィル（Janel McCarville）：バスケットボール選手。2005年のWNBAドラフト1位指名を受け、ミネソタ・リンクスなどで活躍。UWSPではオールアメリカンに選出され、国際大会でもメダルを獲得。引退後はコーチとして後進を指導しています。
ジェシカ・アーバン（Jessica Urban）：ゴルフ選手。UWSP史上最も栄誉あるゴルファーで、2度のオールアメリカン選出。WIAC（Wisconsin Intercollegiate Athletic Conference）で4度のファーストチームに選ばれ、2009年の全国ランナーアップチームの一員です。
シャーリー・エグナー（Shirley Egner）：バスケットボール選手。UWSP女子バスケのレジェンドで、ヘッドコーチとしても殿堂入り。選手時代に数々の記録を樹立し、チームの黄金時代を築きました。
ケリー・ヘン（Kelly Haen）：クロスカントリーランナー。WIAC殿堂入り選手で、UWSPのクロスカントリー・トラックプログラムを牽引。オールカンファレンスに複数回選出され、持久力スポーツの象徴です。
アレクサ・トムソン（Alexa Thomson）：バスケットボール選手。2024年にWIACアスリート・オブ・ザ・ウィークに選出されたUWSP初の女子バスケ選手。攻撃力とリーダーシップでチームを支えています。