ここでは、ヘアヌード（陰毛を露出したヌード表現）の歴史的な流行とその衰退、そしてそれに続くパイパン（陰毛を完全に除去した状態）のトレンドについて説明していきます。主に日本国内の文脈を中心に、文化的・社会的背景を交えながらお話しします。内容は歴史的事実に基づき、客観的にまとめています。
なお、これらのトレンドは主にアダルトメディアや美容文化で議論されるものであり、時代ごとの社会規範や規制が大きく影響しています。
ヘアヌードの定義と背景
ヘアヌードとは、陰毛が修正されずに写っているヌード写真や映像を指す和製英語です。この用語は、1990年代に日本で生まれたもので、諸外国では陰毛の露出が猥褻の判断基準ではなかったため、主に日本独自の概念です。起源は、講談社の編集者である元木昌彦が『週刊現代』で「ヌード」に「アンダーヘア」（陰毛）を組み合わせた表記に遡ります。彼はこれにより「ヘアヌードの父」と呼ばれることもあります。
日本では、明治時代から戦後にかけて、警察当局が局部（陰毛を含む）を猥褻の基準として厳しく規制していました。これは、わいせつ物頒布等の罪に基づくもので、表現の自由と公序良俗の間で長年論争を呼んでいました。ヘアヌードは、この規制に対する挑戦として発展した側面があります。
ヘアヌードの流行の歴史
ヘアヌードの流行は、主に1970年代から1990年代にかけて日本でピークを迎えました。以下に時代ごとに詳しく振り返ります。
前史（明治時代～1960年代）
明治時代から戦前・戦後、陰毛の露出は厳しく禁じられていました。写真家たちはりんごなどの小道具で陰毛を隠したり、雑誌編集で修正を施したりしていました。1960年代になると、写真雑誌やピンク映画でヌード表現が増え、日本テレビの深夜番組『11PM』や寺山修司のアングラ演劇でヌードが扱われるようになりましたが、陰毛は依然としてタブーでした。
1970年代～1980年代：規制下での挑戦
1970年代、警察の厳しい規制下で表現者たちが陰毛描写に挑みました。例えば、1973年の東映ポルノ映画『恐怖女子校・アニマル同級生』で陰毛を透かしたスチル写真が掲載され、話題に。成人向け雑誌では「透けパン」や自動販売機ブームが起きましたが、出版社の摘発で一時衰退。1980年代に入ると、『週刊新潮』（1981年）で無修正ヘアヌードが掲載され、大手週刊誌初の事例として即完売しましたが、警察から厳重注意を受けました。写真家・荒木経惟の作品やロバート・メイプルソープの写真集でも陰毛描写が論争を呼び、1985年の東京国際映画祭では芸術特例として無修正ヘア映像が上映されました。この時期は、規制と表現のせめぎ合いが激しく、少年漫画でも陰毛描写が登場し始めました。
1990年代：解禁とブームの頂点
1990年代初頭に事実上の解禁状態となり、一大ブームを巻き起こしました。1990年、NHK教育テレビで篠山紀信のヘア写真が放映され、温泉ビデオで陰毛が露出。1991年、篠山紀信撮影の樋口可南子写真集で陰毛が明白に写り、警察は警告のみにとどめました。これを皮切りに、本木雅弘の『ホワイト・ルーム』や宮沢りえの『Santa Fe』が大ヒット。『Santa Fe』は社会のヌード観を変え、フェミニズム的な視点から女性主体のヌードが増えました。アイドルや女優（角松かのり、三浦綺音など）がヘアヌードを発表し、「ヌードル」（ヌードアイドル）と呼ばれる現象が生まれました。1992年、映画倫理委員会（映倫）が陰毛表現を原則問題なしと見直し、1993年までにヘアを理由とした規制はほぼなくなりました。写真集やアダルトビデオでヘアヌードが標準化し、1990年代後半には菅野美穂の『NUDITY』など大物芸能人の作品が続きました。
このブームの背景には、表現の自由を求める社会運動や、女性解放の文脈がありました。例えば、三浦綺音の「全部脱いだ方が気持ちいい」という発言は、女性の主体性を象徴し、フェミニズム支持者から好評を博しました。
ヘアヌードの衰退の理由
ヘアヌードのブームは1990年代後半から沈静化し、2000年代以降に衰退しました。主な理由は以下の通りです。
インターネットの普及と基準の無意味化
1995年以降、インターネットの一般化により、海外の無修正表現が容易に閲覧可能になりました。これにより、日本独自の陰毛基準が意味を失い、ヘアヌードが特別なものではなくなりました。1997年の記事では「見飽き」が指摘され、チラリズム（部分的な露出）の復権が語られました。
出版不況と自主規制の強化
2000年代の出版不況で、ヘアヌード写真集の売上が減少。2004年、日本フランチャイズチェーン協会が自主規制を強化し、大手週刊誌がヘアグラビアの掲載をやめ、袋とじ形式に切り替えました。2007年、東京都の青少年健全育成条例で規制がほのめかされ、2015年には春画とヌード併載の雑誌が指導を受けました。これにより、ヘアヌードは実話誌やニッチなメディアに移行し、一般的な流行から遠ざかりました。
社会的変化
青少年保護の観点から規制が厳しくなり、インターネットのグローバル化が日本規制の限界を露呈。結果として、ヘアヌードは「特別なブーム」から「日常的な表現」へ移行し、衰退しました
パイパンの定義とトレンドの歴史
パイパンとは、成人に達しているが陰毛が生えていない（または除去した）状態の女性器、またはその女性を指す俗語です。美容業界では「ハイジニーナ」（衛生を意味するhygieneから）と呼ばれます。このトレンドは、欧米で2000年代にブラジリアン・ワックスが人気化し、日本でも2010年代にVIO脱毛（ビキニライン、陰部、外陰部）が普及しました。
起源と初期の歴史
歴史的に、ギリシャやローマ時代から陰毛除去の習慣があり、ギリシャの彫刻『クニドスのアプロディーテー』では陰毛が描かれていません。中国では「白虎」と呼ばれ、イスラム圏では宗教的に推奨されています。日本では江戸時代に麻雀牌の「白」（白板）が語源とされ、1990年以前のヘアヌード規制時代に、陰毛を剃って撮影する習慣がありました。当時は自然現象（無毛症など）や剃刀・毛抜きを使った方法が主流でした。
2000年代以降の流行
欧米では2000年のTVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でブラジリアンワックスが急上昇。2010年調査で米国女性の1/4が陰毛除去を経験。日本では2010年代にVIO脱毛が20代女性を中心にブームとなり、2022年の調査で94%が経験あり。AV業界では、2013年の新人女優50人中7人（14%）がパイパンだったのが、2023年には22人（44%）に増加。かつての「珍しい」イメージから、「玄人っぽい」イメージへ変化しました。
ヘアヌードからパイパンへの移行と流行の理由
ヘアヌードの衰退後、パイパンは自然な移行として台頭しました。1990年代のヘアヌード解禁期に、陰毛を剃ることで無修正撮影が可能になり、これがパイパンの基盤を築きました。移行の理由は、ヘアヌードの「見飽き」と、衛生・美容志向の高まりです。
移行の経緯
ヘアヌードブーム中、陰毛を剃る女優が増え、2000年代にインターネットで海外ポルノ（無修正でパイパンが多い）が流入。これにより、日本でもパイパンが標準化。AVやヌードモデルでパイパンが増え、2010年代の脱毛サロンブーム（ブラジリアン・ワックス、脱毛クリーム、レーザー脱毛）が加速しました。
流行の理由
主に衛生面で、陰毛に雑菌が溜まらず清潔、汗・臭い予防、生理時の不快防止、性病予防、床への毛散乱防止。美容面：恥丘の滑らかさによる美しさ。社会的には、著名人（堀江貴文、指原莉乃、叶恭子など）の公表が影響。欧米調査（2009年ドイツ）では若年女性の半数が陰毛を非衛生的と見なし、除毛を好む傾向があります。日本では介護脱毛（高齢者の肌トラブル予防）としても普及。
文化的・社会的背景
これらのトレンドは、日本独特の猥褻規制とグローバル化の影響を受けています。ヘアヌードは表現の自由運動の象徴でしたが、インターネットで規制が空洞化。パイパンは衛生・美容文化の進化で、女性のボディポジティブやセルフケアとして支持されています。一方、AV業界の影響で「パイパン＝プロフェッショナル」のイメージが定着。全体として、時代ごとのメディアと社会規範がトレンドを形成しています。
結論
ヘアヌードは1990年代の解禁で爆発的に流行しましたが、インターネットと規制強化で衰退し、パイパンが衛生・美容の観点から新たなトレンドとして台頭しました。この移行は、日本社会のヌード観の変化を反映しています。ご質問の詳細について、さらに知りたい点があればお知らせください。
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