『新チャーリーズ・エンジェル』(2011年)は、1976年から1981年に放送された同名人気ドラマのリブート版として、米ABCネットワークで2011年9月22日から11月10日まで放送されたアクション犯罪ドラマ。オリジナル・シリーズのクリエイターであるアイヴァン・ゴフとベン・ロバーツのコンセプトを基に、アルフレッド・ゴフとマイルズ・ミラーが新たに開発しましたが、低視聴率によりわずか7エピソード(8話目は米国未放送)で打ち切りとなりました。以下では、番組の概要、各エピソードの詳細解説、キャスト、スタッフをまとめます。
- 概要
- エピソード
- エピソード1:Angel with a Broken Wing(2011年9月22日放送)
- エピソード2:Runway Angels(2011年9月29日放送)
- エピソード3:Bon Voyage, Angels(2011年10月6日放送)
- エピソード4:Angels in Chains(2011年10月13日放送)
- エピソード5:Angels and Demons(2011年10月20日放送)
- エピソード6:Black Hat Angels(2011年11月3日放送)
- エピソード7:Royal Angels(2011年11月10日放送、シーズンフィナーレ)
- エピソード8:They Are Not Saints(2011年、米国未放送)
- キャスト
- スタッフ
- まとめ
概要
『新チャーリーズ・エンジェル』(2011年)は、マイアミを舞台に、過去に犯罪歴を持つ3人の女性私立探偵が、謎の富豪チャーリー・タウンゼント(声:ヴィクター・ガーバー)の指令を受け、事件を解決する物語。オリジナル・シリーズと異なり、エンジェルたちは元警察官ではなく、泥棒、ストリートレーサー、汚職警官というダークな過去を持つ女性たち(アビー・サンプソン、ケイト・プリンス、イヴ・フレンチ)。彼女たちはチャーリーから「第二の人生」を与えられ、ジョン・ボスレー(ラモン・ロドリゲス)の支援のもと、潜入捜査やアクションを駆使して犯罪に立ち向かいます。番組は、現代的なアクションと女性の絆を強調し、派手な衣装やマイアミの華やかなロケーションを活用しましたが、オリジナルシリーズの軽快な魅力やキャンプ感を再現できず、批評家から厳しい評価を受けました。
製作はミラー/ゴフ・インク、パンダ・プロダクションズ、フラワー・フィルムズ(ドリュー・バリモアが製作総指揮)、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンが担当。放送開始前、脚本家ジョシュ・フリードマンがパイロット版を執筆しましたが、ゴフとミラーの脚本に変更。2011年1月14日にパイロット版の製作が決定し、5月13日にシリーズ化が発表されました。しかし、初回視聴率は8.76百万(18-49歳層で2.1)にとどまり、4話目で600万以下に下落。10月14日に打ち切りが決定し、7話まで放送後、8話目はポーランドのAXNや英国のE4などで放送されました。批評家は「演技の弱さ」「単調なプロット」「低予算のアクション」を批判し、Rotten Tomatoesでは0%の評価(平均2.63/10)を記録。視聴者からはボスレーの若返りやエンジェルのダークな背景が一部で好評だったものの、全体的にオリジナルへの期待に応えられませんでした。
エピソード
全8エピソード(米国では7話まで放送)で構成される『新チャーリーズ・エンジェル』シーズン1は、マイアミの鮮やかな舞台を背景に、エンジェルたちの潜入捜査とアクションが展開。以下、各エピソードの詳細を解説します。
全体の傾向として、エピソードはマイアミの華やかな舞台とエンジェルの過去を活かし、アクションとドラマを融合。しかし、プロットの単調さや演技の弱さが視聴者離れを招き、オリジナルシリーズの軽快さやキャンプ感を再現できませんでした。
エピソード1:Angel with a Broken Wing(2011年9月22日放送)
- ストーリー:エンジェル(アビー、ケイト、グロリア)は児童奴隷売買組織を追うが、任務中にグロリア(ナディーン・ヴェラスケス)が爆発で死亡。チャーリーはグロリアの幼馴染で元ストリートレーサーのイヴ(ミンカ・ケリー)を新メンバーに迎える。アビーとケイトはイヴを疑うが、協力して組織の首謀者ネストール・ロドリゴ(カルロス・バーナード)を追う。イヴの復讐心が明らかになり、チームの絆が試される。
- 主要な出来事:グロリアの死で物語が始まり、イヴの加入がチームに緊張をもたらす。アビーが高級マンションに潜入し、ケイトが格闘技を披露。イヴの車両スキルが活躍し、ロドリゴを追うカーチェイスがクライマックス。ボスレーのハッキング技術も初披露。
- 特徴:パイロット版として、エンジェルたちのダークな過去とマイアミの華やかさを強調。アクションは派手だが、批評家は「プロットの浅さ」を指摘。視聴率は8.76百万を記録。
エピソード2:Runway Angels(2011年9月29日放送)
- ストーリー:モデル、ガブリエラ・タッカーの失踪を調査。アビーがモデルとして潜入し、ケイトの元婚約者で刑事のレイ・グッドソン(アイザイア・ムスタファ)が事件に関与。ガブリエラの死がグリーンカード結婚詐欺に繋がり、黒幕を暴く。
- 主要な出来事:アビーのファッションショーでの潜入が華やか。ケイトとレイの過去が描かれ、感情的なドラマが加わる。イヴの車両追跡シーンがアクションの中心。ボスレーの技術支援が安定。
- 特徴:ファッション業界の舞台が視覚的に魅力的だが、批評家は「演技が不自然」と評価。視聴率は7.11百万に下落。
エピソード3:Bon Voyage, Angels(2011年10月6日放送)
- ストーリー:クルーズ船でジャーナリストが失踪。エンジェルたちは高額ポーカーゲームに潜入し、ケイトの汚職スキャンダルを暴露した女性が関与と判明。船上でのアクションで事件を解決。
- 主要な出来事:アビーの詐欺師スキルがポーカーシーンで活躍。ケイトの過去がさらに掘り下げられ、感情的な葛藤が描かれる。イヴの格闘シーンが目立つ。ボスレーが船のセキュリティをハック。
- 特徴:クルーズ船の豪華な設定が魅力だが、プロットが「予測可能」と批判された。視聴率は6.79百万。
エピソード4:Angels in Chains(2011年10月13日放送)
- ストーリー:キューバでアメリカ人観光客テスの失踪を調査。エンジェルたちは観光客として潜入するが、麻薬所持の濡れ衣を着せられ女子刑務所に収監。テスが売春組織に囚われていると判明。ボスレーは元恋人でCIAエージェントのサマンサ(エリカ・ダランス)と協力し、エンジェルを救出。
- 主要な出来事:オリジナルシリーズの同名エピソードへのオマージュ。刑務所での潜入と脱獄シーンが緊張感を高める。アビーの詐欺スキル、ケイトの格闘、イヴの爆発物知識が活躍。ボスレーの過去が垣間見える。
- 特徴:アクションとサスペンスが強く、ファンからはオリジナルへの敬意が評価されたが、視聴率は5.93百万で打ち切り決定。
エピソード5:Angels and Demons(2011年10月20日放送)
- ストーリー:誘拐犯を追う中、ターゲットが自殺したマフィアの資金洗浄者の妻と息子と判明。アビーは過去と向き合うため、服役中の詐欺師の父ヴィクター・サンプソンに協力を求める。エンジェルたちは誘拐組織を壊滅させる。
- 主要な出来事:アビーの家族ドラマが中心で、父との再会が感情的なハイライト。ケイトの射撃スキルとイヴのカーチェイスがアクションを支える。ボスレーのハッキングが鍵。
- 特徴:ドラマ要素が強まり、アビーのバックストーリーが深まるが、批評家は「陳腐」と評価。視聴率は5.57百万。
エピソード6:Black Hat Angels(2011年11月3日放送)
- ストーリー:誘拐されたアーティストを追うが、ボスレーのハッカー時代の過去が露呈。彼が誘拐に関与したと疑われ、エンジェルたちはボスレーの潔白を証明。ハッカー、ゾーイ・シンクレア(ペイトン・リスト)が敵として登場。
- 主要な出来事:ボスレーの過去が焦点で、彼のハッカー仲間との対決が描かれる。アビーの潜入、ケイトの推理、イヴのアクションが連携。ゾーイとの技術戦が緊張感を生む。
- 特徴:ボスレーのキャラクターに深みが加わるが、アクションの低予算感が批判された。視聴率は5.31百万。
エピソード7:Royal Angels(2011年11月10日放送、シーズンフィナーレ)
- ストーリー:アフリカの王が暗殺され、息子マーク(ロメオ・ミラー)を守る任務。暗殺が政治的陰謀と判明し、エンジェルたちは黒幕を追う。ケイトはレイとの関係を再考。
- 主要な出来事:マークの保護任務で、アビーの詐欺スキル、ケイトの格闘、イヴの車両操作が活躍。ケイトとレイのロマンスが再燃。ボスレーの情報収集が鍵。
- 特徴:国際的な舞台が新鮮だが、プロットの単純さが指摘された。視聴率は5.13百万で、米国での最終放送。
エピソード8:They Are Not Saints(2011年、米国未放送)
- ストーリー:ジェットスキー中にイヴが意識不明の男性(ジェイソン・ペンダーグラフト)を救助。男性は記憶喪失のロサンゼルス市警察の警官で、命を狙われている。エンジェルたちは彼の正体と襲撃者を追う。
- 主要な出来事:イヴの救命シーンがオープニング。ケイトの推理とアビーの潜入が中心。ボスレーのハッキングが男性の身元特定に貢献。アクションは控えめ。
- 特徴:国際放送(ポーランド、英国など)のみで公開。打ち切り後の放送で、シリーズの未完感が強調された。
キャスト
- アニー・イロンゼ(ケイト・プリンス)…元マイアミ汚職警官。スキャンダルでキャリアと婚約者を失う。格闘技と推理力でチームを支える。1983年テキサス州生まれ、『ジェネラル・ホスピタル』で知られる。
- ミンカ・ケリー(イヴ・フレンチ)…元ストリートレーサーで、グロリアの死に復讐心を抱く。車両操作と爆発物に長ける。1980年カリフォルニア州生まれ、『Friday Night Lights』でブレイク。打ち切り後、Twitterでファンに感謝を表明。
- レイチェル・テイラー(アビー・サンプソン)…パークアベニューの元お嬢様で、世界的な泥棒。詐欺と潜入が得意。1984年オーストラリア生まれ、『トランスフォーマー』に出演。
- ラモン・ロドリゲス(ジョン・ボスレー)…元ハッカーで、エンジェルの連絡役。技術支援と格闘で活躍。1979年プエルトリコ生まれ、『トランスフォーマー/リベンジ』で知られる。若々しいボスリーは視聴者に好評。
- ヴィクター・ガーバー(チャーリー・タウンゼント、声のみ)…謎のボス。オリジナル同様、クレジットなしで声を提供。1949年カナダ生まれ、『エイリアス』で有名。当初ロバート・ワグナーがキャスティングされたが、スケジュール問題で変更。
- ナディーン・ヴェラスケス(グロリア・モラレス、エピソード1)…元陸軍中尉で爆発物の専門家。初回で死亡。1978年イリノイ州生まれ、『マイ・ネーム・イズ・アール』に出演。
- ゲスト出演:カルロス・バーナード(ロドリゴ、エピソード1)、アイザイア・ムスタファ(レイ、エピソード2など)、ペイトン・リスト(ゾーイ、エピソード6)、ロメオ・ミラー(マーク、エピソード7)など。
スタッフ
- 製作総指揮:アルフレッド・ゴフ、マイルズ・ミラー、ドリュー・バリモア、レナード・ゴールドバーグ、ナンシー・ジュボネン…ゴフとミラーは『スモールビル』のクリエイターで、現代的なリブートを担当。バリモアは2000年映画版のスター兼プロデューサー。
- 原案:アイヴァン・ゴフ、ベン・ロバーツ…オリジナル・シリーズのクリエイター。
- 監督:主要エピソードはマルコス・シエガ(エピソード1など)が担当。
- 脚本:ゴフとミラーが中心。エピソード4はオリジナルシリーズのテレプレイを基に翻案。
- 音楽:ルイス・フェブレ…アクションを盛り上げる現代的なスコアを提供。
- 製作会社:ミラー/ゴフ・インク、パンダ・プロダクションズ、フラワー・フィルムズ、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン…予算は1話約200万ドルと推定されるが、アクションの低予算感が批判された。
まとめ
『新チャーリーズ・エンジェル』(2011年)は、オリジナルシリーズのリブートとしてマイアミを舞台に3人の女性探偵の活躍を描きましたが、低視聴率で7エピソードで打ち切り。華やかな舞台とダークな背景は新鮮でしたが、演技やプロットの弱さが批判され、オリジナルシリーズの魅力を再現できず。キャストとスタッフの努力にも関わらず、短命に終わりましたが、一部のファンにはボスレーの新解釈が好評でした。
レビュー 作品の感想や女優への思い