『ジェラルドのゲーム』はスティーヴン・キング原作のホラー映画。夫の急死でベッドに手錠で繋がれたジェシーが、幻覚と過去のトラウマに直面しながら脱出を試みる心理サスペンス。主人公ジェシーを演じたカーラ・グギノは、圧倒的な演技力で批評家から絶賛。2017年Netflix配信。
基本情報
- 邦題：ジェラルドのゲーム
- 原題：Gerald’s Game
- 公開年：2017年
- 製作国：米国
- 上映時間：103分
- ジャンル：ドラマ、ホラー、スリラー
あらすじ
結婚11年目のジェシーとジェラルドは、倦怠期を打破するため、アラバマ州の人里離れた湖畔の別荘にやってきます。ジェラルドは性生活に刺激を求め、ジェシーの両手を手錠でベッドに拘束するプレイを提案。ジェシーは戸惑いつつも同意しますが、プレイ中にジェラルドがバイアグラの過剰摂取により心臓発作で急死してしまいます。
手錠でベッドに繋がれたまま取り残されたジェシーは、助けを呼ぶ手段もなく、飢えた野犬や謎の存在に脅かされます。さらに、極限状態の中で、幼少期のトラウマや幻覚に悩まされ、自身の内なる声と対峙。過去の性的虐待の記憶や、抑圧されてきた感情が蘇り、彼女の精神を追い詰めます。
絶望的な状況の中、ジェシーは生き延びるために自らの力で手錠からの脱出を試み、肉体と精神の限界に挑む壮絶なサバイバルが描かれます。物語は、彼女がどのようにして自分自身と向き合い、過去の呪縛から解放されるかを描いた心理的な闘争でもあります。
女優の活躍
本作の主人公ジェシーを演じたカーラ・グギノは、圧倒的な演技力で批評家から絶賛されました。彼女はほぼ全編にわたりベッドに拘束された状態で登場し、限られた空間と身体の動きの中で、恐怖、絶望、決意といった複雑な感情を表現。グギノはジェシーの心理的葛藤を、表情、声のトーン、微妙な仕草で巧みに伝え、観客を引き込みます。
特に、過去のトラウマを回想するシーンでは、幼少期の傷を繊細かつ力強く演じ、キャラクターの成長と解放を感動的に描き出しました。Rotten Tomatoesでは、彼女の演技が「キャリア随一」と評価され、映画の成功の大きな要因となっています。グギノは、ホラーと心理ドラマの融合を見事に体現し、観客に深い共感を呼び起こしました。
また、脇役として若いジェシー役を演じたキアラ・オーレリアも、回想シーンで感情豊かな演技を見せ、物語の重層的なテーマを補強しています。
女優の衣装・化粧・髪型
カーラ・グギノ演じるジェシーの衣装は、物語の設定に合わせてシンプルかつ現実的です。映画の冒頭では、湖畔の別荘に向かうシーンでカジュアルな旅行用の衣装（ジーンズや軽いトップス）を着用し、日常的な中年女性の雰囲気を演出。ベッドでのシーンでは、薄手のスリップドレスを着ており、これはジェラルドの提案するプレイに合わせたもので、彼女の脆弱さと同時に女性らしさを強調しています。このドレスは、物語が進むにつれて汚れや破れが生じ、ジェシーの過酷な状況を視覚的に表現。
化粧は控えめで、ナチュラルメイクが中心。物語が進むにつれ、汗や血でメイクが崩れ、彼女の肉体的・精神的消耗を強調します。
髪型は、肩までの長さのストレートヘアで、シンプルながらも乱れていく様子が彼女の闘争を象徴。キアラ・オーレリア演じる若いジェシーは、少女らしいワンピースと自然なメイク、長めのポニーテールで登場し、純粋さと無垢さを表現しています。
これらの衣装やメイクは、キャラクターの心理状態や物語の進行を補完する重要な要素となっています。
解説
『ジェラルドのゲーム』は、スティーヴン・キングの1992年の同名小説を原作とした心理ホラー映画。監督のマイク・フラナガンは、原作の映画化が難しいとされていたこの作品を、限られた空間と登場人物で展開する緊張感あふれるシチュエーションスリラーとして見事に映像化しました。
本作は、単なるホラー映画にとどまらず、女性の抑圧、トラウマの克服、自己解放といったテーマを深く掘り下げています。ジェシーが手錠でベッドに繋がれた状態で直面する恐怖は、物理的な拘束だけでなく、過去の虐待や社会的な抑圧による精神的な「枷」を象徴しています。彼女の幻覚や内なる声は、自己との対話を通じて過去と向き合うプロセスを表現し、観客に心理的な共鳴を呼び起こします。
映画は、ホラー要素として野犬や謎の「月光の男」といった脅威を導入しつつ、ジェシーの内面的な闘争を主軸に据えることで、ホラーとドラマのバランスを絶妙に保っています。フラナガン監督は、原作のエッセンスを損なわずに映画的なアレンジを加え、特にラストの解放感ある展開で観客に希望を与えます。
批評家からは、Rotten Tomatoesで91％、Metacriticで77/100という高評価を受け、原作者キング自身も絶賛。ジェシーの脱出劇は、肉体的なサバイバルだけでなく、精神的成長の物語として、観る者に深い印象を残します。
キャスト
- カーラ・グギノ：ジェシー・バーリンゲーム（主人公。ベッドに手錠で繋がれた女性）
- ブルース・グリーンウッド：ジェラルド・バーリンゲーム（ジェシーの夫。プレイ中に急死）
- キアラ・オーレリア：若いジェシー（回想シーンで登場。少女時代のジェシー）
- ヘンリー・トーマス：トム（ジェシーの父親。回想シーンで登場）
- カレル・ストリッケン：レイモンド・アンドリュー・ジュベール（「月光の男」として知られる謎の人物）
- ケイト・シーゲル：サリー（ジェシーの母親。回想シーンで登場）
スタッフ
- 監督：マイク・フラナガン
- 脚本：マイク・フラナガン、ジェフ・ハワード
- 原作：スティーヴン・キング（『ジェラルドのゲーム』文春文庫）
- 製作：トレヴァー・メイシー
- 製作総指揮：D・スコット・ランプキン、ジェフ・ハワードほか
- 撮影：マイケル・フィモナリ
- 編集：マイク・フラナガン
- 音楽：ザ・ニュートン・ブラザーズ
- 日本語吹替版演出：安江誠
- 日本語吹替版翻訳：有馬康永
- 日本語吹替版録音・調整：吉田佳代子、大谷征央
- 日本語吹替版制作：BTI Studios、グロービジョン
日本語吹替キャスト
- ジェラルド：菅生隆之
- ジェシー：日野由利加
- 若いジェシー：平井祥恵
- ジェシーの父：村治学
- ジェシーの母：清水はる香
レビュー 作品の感想や女優への思い