『レフト 恐怖物件』は2020年に配信された米国のホラー映画。ダニエル・ケールマンの小説を基に、デヴィッド・コープが監督・脚本。ケヴィン・ベーコンとアマンダ・セイフライド主演。ウェールズの貸別荘で怪奇現象に襲われる一家の恐怖を描く。93分。
基本情報
- 邦題：レフト 恐怖物件
- 原題：You Should Have Left
- 公開年：2020年
- 製作国：米国
- 上映時間：93分
- ジャンル：ホラー
- 視聴・購入：Amazon
あらすじ
テオ・コンロイ（ケヴィン・ベーコン）は、裕福な元銀行家で、若い女優の妻スザンナ（アマンダ・セイフライド）と幼い娘エラ（エイヴリー・エセックス）と共に暮らしています。しかし、テオは前妻が浴槽で溺死した事件で世間から疑惑の目を向けられており、家族との関係にも微妙な緊張感が漂っています。心機一転、家族はウェールズの田舎にあるモダンな貸別荘で休暇を過ごすことにします。美しい内装の家に喜ぶ一家ですが、到着初夜からエラが謎の人影を見たと訴え、テオ自身も家の中で奇妙な違和感を感じ始めます。時間が異常に早く進んだり、悪夢に悩まされたりする中、家の内部が外部より広く、構造に異常があることに気付きます。さらに、テオの瞑想ノートに「今すぐ去るべきだ」「手遅れだ」と謎のメッセージが現れ、夫婦の不信感が表面化。スザンナの不倫やテオの過去の秘密が明らかになる中、家そのものが彼らを閉じ込めるかのような超自然的な現象が続きます。テオは家に隠された秘密と向き合い、家族を救うために決断を迫られます。
解説
『レフト 恐怖物件』は、ダニエル・ケールマンの小説『Du hättest gehen sollen』を原作とした心理ホラー映画です。監督・脚本を務めたデヴィッド・コープは、『ミッション:インポッシブル』や『ジュラシック・パーク』の脚本家として知られ、ホラー映画『スティア・オブ・エコーズ』（1999年）でもケヴィン・ベーコンとタッグを組んだ経験があります。本作は、ブラムハウス・プロダクションズが製作し、低予算（400万ドル）ながら緊張感のある演出と心理的な恐怖を描くことに注力しています。コロナ禍により劇場公開が見送られ、2020年6月18日にデジタル配信（プレミアムVOD）でリリースされました。
物語の中心は、物理的に異常な家と、主人公テオの内面的な葛藤です。家の構造が現実と異なる点や、時間が歪む現象は、スティーヴン・キングやマーク・Z・ダニエレウスキーの『House of Leaves』を彷彿とさせ、観客に不条理な恐怖を与えます。特に、テオの過去の罪悪感やスザンナとの関係性の亀裂が、家の超自然的な力とリンクし、心理的な深みを加えています。批評家の評価は賛否両論で、Rotten Tomatoesでは支持率41%、Metacriticで46/100と平均的ですが、ケヴィン・ベーコンとアマンダ・セイフライドの演技は緊張感を高める要素として評価されています。一方で、伏線の回収やホラー要素の展開が弱いとの指摘もあり、ホラー映画としてはやや控えめな怖さに留まっています。
本作のテーマは、罪悪感と贖罪、そして家族関係の修復です。テオの過去の行動やスザンナの秘密が、家の怪奇現象を通じて露わになり、自己対峙を迫る展開は、単なるホラー以上のメッセージ性を持っています。視覚的な恐怖よりも、心理的な不安や人間ドラマに重点を置いた作風は、観客に深い余韻を残します。
女優の活躍
本作『レフト 恐怖物件』でスザンナ役を演じたアマンダ・セイフライドは、若く魅力的な女優という役柄を見事に体現しています。サイフリッドは、『マンマ・ミーア！』や『レ・ミゼラブル』で知られる実力派で、本作ではテオとの年齢差のある夫婦関係や、秘密を抱えた複雑なキャラクターを繊細に演じています。彼女の演技は、表面的には愛情深い妻でありながら、内面に不信感や罪悪感を抱える女性像を表現。特に、テオとの対立シーンでは、感情的な揺れ動きを抑制的に演じ、物語の緊張感を高めています。サイフリッドの存在感は、ホラー要素が控えめな本作において、物語の人間ドラマを支える重要な軸となっています。批評家からも、ケヴィン・ベーコンとの相性が良く、夫婦の微妙な関係性をリアルに描き出したと評価されています。
また、幼い娘エラ役のエイヴリー・エセックスも注目すべき活躍を見せています。エセックスは本作で映画デビューを果たし、純粋で好奇心旺盛な少女を自然体で演じています。エラの視点を通じて家の異常さが描かれるシーンでは、彼女の無垢な反応が恐怖感を増幅。観客の共感を誘う存在として、物語に温かみを加えています。レビューでも「エラの可愛らしさ」が高く評価され、家族の絆を描く上で欠かせない役割を果たしています。
女優の衣装・化粧・髪型
アマンダ・セイフライド演じるスザンナの衣装は、現代的で洗練されたスタイルが特徴です。スザンナは人気女優という設定を反映し、カジュアルながらも高級感のあるファッションを採用。ウェールズの貸別荘では、シンプルなニットやデニム、薄手のジャケットを着用し、都会的なセンスを保ちつつ、休暇らしいリラックス感を表現しています。色調は落ち着いたアースカラーやモノトーンが中心で、ホラー映画の不穏な雰囲気とも調和。化粧はナチュラルメイクが基本で、サイフリッドの透明感ある美しさを強調。アイメイクは控えめで、肌の自然な輝きを引き立てるベースメイクが施されています。髪型は、ゆるやかなウェーブのかかったロングヘアで、シーンによってはポニーテールや無造作に下ろしたスタイルが登場。スザンナの若さと女優らしい魅力を引き出しつつ、家庭的な一面も感じさせるデザインです。
エイヴリー・エセックス演じるエラの衣装は、子供らしい可愛らしさを強調したもの。カラフルなトップスやスウェット、動きやすいスニーカーなど、活発な6歳の少女にふさわしいカジュアルなスタイルが中心です。化粧は施されておらず、自然な子供の表情が活かされています。髪型は、ストレートのミディアムヘアをそのまま下ろしたり、ポニーテールにしたりと、シンプルで愛らしい印象。エラの衣装や髪型は、彼女の無垢なキャラクター性を強調し、ホラーの中での癒し要素となっています。
キャスト
- ケヴィン・ベーコン：テオ・コンロイ / ステトラー（日本語吹替：山路和弘） – 元銀行家で過去のトラウマを抱える主人公
- アマンダ・セイフライド：スザンナ（日本語吹替：嶋村侑） – テオの妻で人気女優、秘密を抱える
- エイヴリー・エセックス：エラ（日本語吹替：神戸光歩） – テオとスザンナの娘、純粋で好奇心旺盛
- コリン・ブルメナウ：小売店主（日本語吹替：土師孝也） – 謎めいた町の店主
- ローリ・アン・リチャーズ：ウェールズ人の女（日本語吹替：木村香央里） – 地元の女性
- ジョシュア・C・ジャクソン：プロダクションアシスタント
- イーライ・パワーズ：スザンナのアシスタント
スタッフ
- 監督・脚本：デヴィッド・コープ
- 原作：ダニエル・ケールマン（『Du hättest gehen sollen』）
- 製作：ジェイソン・ブラム、ケヴィン・ベーコン、ディーン・オトゥール
- 製作総指揮：デレク・アンブロージ、クーパー・サミュエルソン、ジャネット・ヴォルトゥルノ＝ブリル
- 撮影：アンガス・ハドソン
- 編集：デレク・アンブロージ
- 音楽：ジェフ・ザネリ
- 製作会社：ブラムハウス・プロダクションズ
- 配給：ユニバーサル・ピクチャーズ
総括
『レフト 恐怖物件』は、心理的な恐怖と家族ドラマを融合させたホラー映画です。ケヴィン・ベーコンとアマンダ・セイフライドの演技が物語の深みを支え、特にサイフリッドのスザンナ役は、複雑な感情を見事に表現しています。エイヴリー・エセックスの愛らしいエラ役も、作品に温かみを加える要素です。衣装や髪型はキャラクターの個性を反映し、ホラーの雰囲気を補完。デヴィッド・コープの演出は、家の異常さと心理的な不安を巧みに描き出しますが、ホラーとしてのインパクトはやや控えめ。罪悪感や贖罪をテーマにした本作は、単なる怖さだけでなく、人間関係の脆さを考えさせる作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い