韓国ホラー映画『デッドキャンピング・ザ・ライブ』（2022年）は、キャンピングYouTuberスヨンが襲撃者を狩る復讐劇。ナム・ジヒョン主演のアクション・スリラー。72分。
基本情報
- 邦題：デッドキャンピング・ザ・ライブ
- 原題：데드캠핑 더라이브
- 英題：Dead Camping The Live
- 公開年：2022年
- 製作国：韓国
- 上映時間：72分
- ジャンル：ホラー
女優の活躍
本作『デッドキャンピング・ザ・ライブ』の主演を務めるナム・ジヒョンは、ガールズグループ「4Minute」の元リーダーとして知られ、本作で映画単独主演デビューを果たしました。彼女が演じるスヨンは、一見ひ弱なソロキャンパーでありながら、実は強靭な精神と身体能力を持つ復讐者という二面性を持つキャラクターです。
ナム・ジヒョンは、スヨンの複雑な心理を巧みに表現し、特にアクションシーンでの迫真の演技が注目を集めています。彼女の華奢な外見とは裏腹に、パワフルな動きや冷徹な表情で敵を圧倒する姿は、観客に強い印象を与えます。特に、襲撃者たちとの対決シーンでは、計算された動きと感情の爆発を見事に融合させ、復讐に燃える女性像を体現。批評家や観客からは「心を掴む演技」と高く評価されており、アイドル出身とは思えない演技力で新たな一面を見せました。
共演のイ・プルムも重要な役割を果たし、物語の緊張感を高める脇役として貢献しています。彼女の演技は、スヨンの復讐劇を側面から支え、物語に深みを加えています。ナム・ジヒョンとの対比も効果的で、両者の掛け合いが作品の緊迫感を一層引き立てています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作『デッドキャンピング・ザ・ライブ』でナム・ジヒョンが演じるスヨンの衣装は、ソロキャンパーとしてのリアルさと復讐者としての機能性を兼ね備えています。キャンプシーンでは、カジュアルなアウトドアウェアが中心。具体的には、動きやすいトレーナーやカーゴパンツ、防水性のジャケットを着用し、キャンプのリアリティを演出しています。色調はアースカラー（カーキ、ブラウン、ダークグリーン）が主で、自然環境に溶け込むデザインが採用されています。しかし、復讐劇が進行するにつれ、衣装は戦闘的な要素を帯び、黒を基調としたタイトな装いに変化。これにより、彼女の内面的な強さと覚悟が視覚的に強調されます。
化粧は、キャンプ配信者としてのナチュラルさが求められるため、薄化粧が基本です。素肌感を重視したベースメイクに、控えめなアイメイクとリップが施され、野外での自然な美しさを引き立てています。しかし、アクションシーンでは、汗や血糊を効果的に用いたメイクが施され、戦闘の過酷さを表現。特に、目の周りのシャドウや頬の傷メイクが、彼女の闘志と過酷な状況を際立たせます。
髪型は、キャンプシーンではポニーテールやメッシーバンで実用性を優先。アウトドアでの活動に適したシンプルなスタイルが採用されていますが、髪の乱れや汗で濡れた様子が、リアリティと緊張感を加えています。復讐の場面では、髪を下ろしたスタイルやタイトにまとめたスタイルが登場し、キャラクターの変貌を象徴しています。
イ・プルムの衣装や髪型は、物語の脇役として控えめながらも、状況に応じた実用的なスタイルが採用され、作品全体の雰囲気を損なわないよう配慮されています。
あらすじ
人気キャンピングYouTuberのスヨン（ナム・ジヒョン）は、ソロキャンプの様子をリアルタイムで配信しながら、人里離れた山奥のキャンプ地へ向かいます。この場所は、最近一般に開放されたばかりの「穴場」で、かつて軍の演習場だった場所です。スヨンはテントを張り、バーベキューを楽しみ、ワインを飲みながら配信を続けますが、ある時点で配信を中断し、昼寝を始めます。
一方、別の配信サイトでは、悪質な集団がスヨンのキャンプ配信を視聴し、彼女を襲撃する計画を立てます。彼らは仮想通貨で「儀式」に参加する権利を買い、襲撃を予告。スヨンが無防備な被害者に見える中、物語は一転。実は、すべてがスヨンの仕掛けた罠だったのです。
彼女は襲撃者たちを一人ずつ狩っていく復讐者であり、過去に受けた性被害への報復として、この「狩り」を計画していたことが明らかになります。最後の一人の息が途切れるまで、彼女の復讐劇は止まりません。
解説
『デッドキャンピング・ザ・ライブ』は、2022年に韓国で公開されたアクションスリラー映画で、ホラーの要素を織り交ぜたB級映画の魅力が詰まった作品です。監督はキム・ヒョヌで、低予算ながらも緊張感のある展開とナム・ジヒョンの迫真の演技が光ります。
本作は、現代的なテーマであるYouTubeやライブ配信文化を背景に、女性の復讐劇を軸とした物語を展開。特に、女性に対する性犯罪をテーマにした復讐劇は、『ジョン・ウィック』に代表される「実は強い主人公」系のストーリー構造を踏襲しつつ、韓国のB級映画らしい過激さとエンターテインメント性を融合させています。
映画のテーマは、女性のエンパワーメントと社会的に裁かれない犯罪者への私的制裁。スヨンのキャラクターは、被害者から加害者を狩るヒーローへと変貌する過程で、観客にカタルシスを提供します。低予算ゆえの粗さや、グロテスクな描写が一部で賛否を呼ぶものの、短い上映時間（72分）の中で無駄なく物語を進行させ、観客を引き込む力があります。レビューでは平均スコア2.9点（Filmarks）と、傑作とは言えないまでも、B級映画の楽しさを求める観客には十分な満足感を与える作品として評価されています。
映像面では、キャンプ地の自然環境を活かした撮影が効果的で、薄暗い森やテントの閉鎖感がホラー要素を強調。アクションシーンは派手さこそないものの、ナム・ジヒョンの身体能力を活かしたリアルな格闘が魅力です。音響も、緊迫感を高める効果音や不気味なBGMが適切に使用され、ホラーとスリラーのバランスを保っています。ただし、ストーリーの一部に無理な展開や説明不足が指摘されることもあり、深みを求める観客には物足りなさが残るかもしれません。
キャスト
- ナム・ジヒョン（スヨン役）：ガールズグループ「4Minute」元リーダー。初の映画単独主演で、復讐者としての強さと繊細さを演じ分ける。
- キム・リュアン：物語の鍵を握る脇役。詳細な役柄はネタバレを避けるため控えるが、緊張感を高める存在。
- イ・プルム：スヨンを支える重要なキャラクター。控えめながらも物語に深みを加える演技が光る。
スタッフ
- 監督：キム・ヒョヌ。低予算ながら緊張感のある演出でB級映画の魅力を引き出す。
- 製作：STS-Entertainment。韓国B級映画の特色を活かした作品作り。
- 脚本：詳細情報は公開されていないが、シンプルかつ効果的なストーリー設計が特徴。
- 撮影：キャンプ地の自然環境を活かした映像美が魅力。低予算ながら効果的なロケーション選び。
- 音楽：ホラーとスリラーの雰囲気を高めるBGMが効果的。
総括
『デッドキャンピング・ザ・ライブ』は、ナム・ジヒョンの迫真の演技とB級映画らしい痛快な展開が魅力の作品です。女性の復讐劇というテーマを、現代的な配信文化と融合させ、短い上映時間でテンポよく物語を進めます。衣装やメイク、髪型の変化がキャラクターの心情を効果的に表現し、ホラーとアクションのバランスも良好。
低予算ゆえの粗さはあるものの、B級映画ファンやナム・ジヒョンの新たな魅力を求める観客には十分楽しめる作品です。ただし、ストーリーの深みや動機の掘り下げが不足している点は、さらなる改善の余地があるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い