「97ミニッツ フォールアウト」は、2023年製作のイギリス・アメリカ・カナダ合作のスリラー映画。ニューヨーク行きの飛行機がハイジャックされ、97分後に燃料切れで墜落の危機。潜入捜査官アレックスが乗客救出に挑むスカイアクション。監督はティモ・ヴオレンソラ、上映時間93分。主要な女性キャラクター医師のキムを演じるのはマイアンナ・バーリング。
基本情報
- 邦題：97ミニッツ フォールアウト
- 原題：97 Minutes
- 公開年：2023年
- 製作国：英国、米国、カナダ
- 上映時間：93分
- ジャンル：スリラー
見どころ
刻一刻と迫る墜落の時、大惨事を回避すべく奮闘する潜入捜査官、飛行機を撃ち落とそうとするNSA長官。高度1万フィートで繰り広げられる駆け引きにハラハラ。
あらすじ
ニューヨーク行きの767便が、国際テロリストによってハイジャックされる事件が発生します。機長は銃撃により瀕死の状態に陥り、飛行機は燃料が尽きる97分後に墜落する危機に直面します。テロリストの一人であるアレックスは、実はインターポールの潜入捜査官であり、乗客の命を救うため密かに動き始めます。アレックスは機内にいる医師のキムを呼び出し、機長の治療を依頼しつつ、テロリストたちを出し抜く策を練ります。
一方、地上の管制塔では、NSA長官ホーキンスが、飛行機が地上に壊滅的な被害を及ぼす前に、乗客ごと撃墜する計画を進めます。刻一刻と迫るタイムリミットの中、アレックスは乗客を救うため、そして自らの正体を隠しながら、緊迫した状況でのサバイバルを繰り広げます。果たして、乗客たちは無事に生還できるのか、最悪の事態を回避できるのか、スリリングな展開が続きます。
解説
「97ミニッツ フォールアウト」は、航空機内でのハイジャックを題材にしたスリラー映画で、限られた時間内に展開する緊張感を最大の魅力としています。タイトルに冠された「97分」という時間制約が、物語の緊迫感を一層高めており、観客はアレックスがどのように危機を切り抜けるのか、息を呑んで見守ることになります。監督のティモ・ヴオレンソラは、過去に「アイアン・スカイ」シリーズで知られ、B級映画らしい大胆な演出とスリリングな展開を得意とします。本作でも、限られた空間である飛行機内でのアクションシーンや、登場人物たちの心理戦を巧みに描き出しています。
物語は、説明を最小限に抑え、冒頭からハイジャックが進行中の状況に突入するスタイルを採用しています。この手法は、観客を即座に物語の中心に引き込む一方で、登場人物の背景や動機が徐々に明らかになる構成が、賛否両論を呼んでいます。一部のレビューでは、キャラクターの掘り下げが不足しているとの指摘もありますが、映像の迫力やアクションの緊張感は高く評価されています。また、アレックスの正体や動機にまつわる意外な展開が、物語に深みを加え、単なるアクション映画に留まらない魅力を持っています。
本作は、典型的なスカイパニック映画の要素を踏襲しつつ、潜入捜査官という設定や、地上と機内の二重の危機を描くことで独自性を出しています。観客は、アレックスがテロリストと対峙するだけでなく、NSAの冷酷な判断とも戦わなければならない状況に、強い緊張感を感じることでしょう。全体的にB級映画の枠組みながら、キャストの熱演とテンポの良い展開で、エンターテインメント性が高い作品に仕上がっています。
女優の活躍
本作で主要な女性キャラクターは、マイアンナ・バーリングが演じる医師のキムです。キムは、ハイジャックされた飛行機内で、瀕死の機長を治療する重要な役割を担います。マイアンナ・バーリングは、「トワイライト・サーガ」シリーズや「オフィシャル・シークレット」などで知られる実力派女優で、本作でも冷静かつ勇敢な医師としての存在感を発揮しています。キムは、テロリストに脅されながらも、限られた医療器具で機長の命を救おうとする姿が描かれ、物語の緊張感を支えるキーパーソンとなります。彼女の演技は、恐怖と責任感の間で揺れる人間的な側面を丁寧に表現しており、観客に感情移入を促します。特に、緊迫した状況下での機転や、乗客を落ち着かせるための行動は、物語にリアリティを加えています。
キムのキャラクターは、アクションを直接的に担うアレックスとは異なり、医療の専門知識と冷静な判断力で危機に立ち向かう点で、物語に多様性をもたらしています。マイアンナ・バーリングの繊細な演技は、キムが単なる脇役ではなく、物語の重要な柱であることを強調しています。彼女の活躍は、アクション映画における女性キャラクターのステレオタイプを打破するものとは言えないものの、限られた出番の中で強い印象を残しています。
女優の衣装・化粧・髪型
マイアンナ・バーリング演じるキムの衣装は、医師としての現実感を重視したシンプルなデザインが特徴です。彼女は、飛行機内の乗客として登場するため、カジュアルでありながらも品のある服装を着用しています。具体的には、ダークカラーのトップスに、動きやすいパンツスタイルが採用されており、緊急時に迅速に対応できる実用性が考慮されています。衣装は、過度な派手さを排除し、キムのプロフェッショナルな性格を反映したものになっています。
化粧に関しては、ナチュラルメイクが中心です。ハイジャックという極限状態を表現するため、派手なメイクは避け、薄いファンデーションと控えめなリップカラーが使用されています。緊迫した状況での汗や疲労感を表現するため、物語が進むにつれてメイクがやや乱れる演出も見られ、リアリティを高めています。彼女の表情や目の動きが強調されることで、恐怖や決意といった感情が観客に伝わりやすくなっています。
髪型は、シンプルなショートが基本です。この髪型は、医師としての清潔感と、緊急時に動きやすい実用性を兼ね備えており、キムのキャラクター性を補強しています。物語の後半で、アクションシーンや混乱の中で髪がやや乱れる様子が、彼女の奮闘を視覚的に表現しています。全体的に、キムの衣装・化粧・髪型は、派手さよりも機能性とキャラクターの現実感を優先した選択がなされており、物語の緊張感を損なわない工夫が施されています。
キャスト
- アレックス：ジョナサン・リース＝マイヤーズ（インターポールの潜入捜査官。テロリストとして潜入しながら乗客を救う複雑な役どころ。）
- ホーキンス：アレック・ボールドウィン（NSA長官。飛行機の撃墜を指示する冷徹な指揮官。）
- キム：マイアンナ・バーリング（機内の医師。瀕死の機長を治療し、乗客の命を救うために尽力。）
- スチュアート：ピーター・ブルック（テロリストの一人で、アレックスと対立するキーマン。）
- カタルジナ・コジェチェク：ライカ（テロリストの一人、女性）
スタッフ
- 監督：ティモ・ヴオレンソラ（「アイアン・スカイ」シリーズで知られるフィンランド出身の監督。）
- 脚本：パヴァン・グローバー（「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」などを手掛けた脚本家。）
- プロデューサー：ジェイク・シール（「007 慰めの報酬」などアクション映画に実績。）
- プロデューサー：アラステア・バーリンガム（「ミッドウェイ」「ムーンフォール」など大作に関与。）
- プロデューサー：マルセル・デ・ブロック（「ヒットマンズ・ボディガード」を手掛けたプロデューサー。）
- 作曲：イアン・リヴィングストン（「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の音楽で知られる。）
総評
「97ミニッツ フォールアウト」は、時間制約を活かしたスリリングなスカイアクション映画。ジョナサン・リース＝マイヤーズやアレック・ボールドウィンの熱演、マイアンナ・バーリングの人間味あふれる演技が光り、緊張感あふれる展開が観客を引き込みます。キャラクターの背景描写がやや希薄な点は否めませんが、アクションとサスペンスのバランスは良く、B級映画の枠を超えたエンターテインメント性を提供します。航空パニック映画のファンや、手に汗握るスリラーを求める観客におすすめの作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い