1992年製作の香港映画『香港淫殺倶楽部/ポイズン・ガールズ あぶないカ・ラ・ダ』（原題：赤裸羔羊）は、過激なアクションとエロティックな要素が融合したカルト的人気の作品。日本では劇場未公開でビデオスルー、DVD邦題は『ネイキッド・キラー 氷のような女』。
基本情報
- 邦題：香港淫殺倶楽部 ポイズン・ガールズ あぶないカ・ラ・ダ／ネイキッド・キラー 氷のような女
- 原題：赤裸羔羊
- 英題：Naked Killer
- 公開年：1992年
- 製作国：香港
- 上映時間：100分
- ジャンル：アクション
女優の活躍
本作の主演を務めるチンミー・ヤウ（邱淑貞）は、キティ役として圧倒的な存在感を発揮しています。彼女は冷酷で魅力的な女暗殺者を演じ、激しいアクションシーンと妖艶な演技で観客を引き込みます。特に、男性を誘惑しながら殺害するシーンでは、彼女の美貌と演技力が際立ち、物語の中心として作品のトーンを決定づけています。チンミー・ヤウは香港映画界で長く活躍し、『カジノ・レイダース』や『皇家戦士』などでも知られるスター女優ですが、本作では特に過激な役柄に挑戦し、その大胆さが話題となりました。
共演のキャリー・ン（吳家麗）は、プリンセス役で冷徹かつカリスマ性のある暗殺者を演じ、チンミーとの対決シーンで緊張感を高めています。彼女のミステリアスな雰囲気とアクションのキレが、物語に深みを加えています。また、脇を固める女優たちも、それぞれの個性を活かし、物語の過激な世界観を彩っています。
チンミーとキャリー・ンの化学反応は、本作の大きな魅力の一つであり、特に女性同士の心理戦やアクションシーンでの息の合った演技は見どころです。両者ともに、香港映画の過激なスタイルを体現するパフォーマンスで、カルト映画としての本作の地位を確立しました。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装は、1990年代初頭の香港映画らしい派手で挑発的なデザインが特徴です。
チンミー・ヤウ演じるキティは、タイトなレザーのボディスーツやミニスカート、ハイヒールなど、セクシーで攻撃的なスタイルを多用。彼女の衣装は、暗殺者としての危険さと女性としての魅力を強調するもので、赤や黒といった強烈な色合いが目立ちます。化粧は、濃いアイラインと鮮やかなリップで、キティの冷酷さと妖艶さを際立たせています。髪型は、ショートカットのウィッグやロングヘアをシーンに応じて使い分け、彼女の多面的なキャラクターを表現。特にアクションシーンでは、動きやすさを考慮したタイトなヘアスタイルが採用されています。
一方、キャリー・ン演じるプリンセスの衣装は、よりゴージャスで支配的な印象を与えるデザインです。彼女はゴールドやシルバーのドレス、またはボディラインを強調したスーツを着用し、威厳ある暗殺者としての存在感を放ちます。化粧は、シャープな眉とスモーキーなアイシャドウで、冷徹なイメージを強化。髪型はエレガントなアップスタイルやウェーブのかかったロングヘアで、彼女の威圧的な魅力を引き立てます。
本作の衣装やメイクは、ディズニー映画のような派手さと過剰さを意識したデザインで、視覚的なインパクトを強く残します。これにより、女優たちのキャラクターが一層際立ち、カルト映画としての独特な美学を形成しています。
あらすじ
物語は、香港を舞台に、若く美しい女性暗殺者キティ（チンミー・ヤウ）の活躍を描きます。キティは、恋人いじめをする男性を容赦なく攻撃する過激な性格の持ち主。ある日、彼女は男性を刺して重傷を負わせ、警察官のティナム（サイモン・ヤム）に追われますが、巧みに事実を操作し、彼と関係を築きます。ティナムは、誤って弟を撃ってしまったトラウマから、銃を持つと嘔吐するようになり、インポテンツにも悩まされています。一方、キティは暗殺者のプリンセス（キャリー・ン）にスカウトされ、プロの殺し屋として訓練を受けます。彼女は暗殺技術を磨きながら、プリンセスとの師弟関係やライバル関係に直面。やがて、キティとティナムの関係は複雑化し、プリンセスとの対決が物語のクライマックスへと向かいます。過激なアクションとエロティックな要素が交錯する中、キティは自身の運命を切り開いていきます。物語は、裏社会の闇と人間関係の複雑さを描きつつ、過剰な暴力とユーモアを織り交ぜた展開で観客を魅了します。
解説
『香港淫殺倶楽部/ポイズン・ガールズ あぶないカ・ラ・ダ』は、1990年代の香港映画の特徴である過激なアクションとエロティシズムを融合させた作品で、カルト映画としての地位を確立しています。監督のクラレンス・フォクは、過剰なビジュアルと大胆なストーリーテリングで知られ、本作でもそのスタイルが存分に発揮されています。
脚本と製作を担当したウォン・ジン（王晶）は、香港映画界で商業的成功を収めたプロデューサーであり、彼の過激なセンスが本作のトーンを決定づけています。本作は、女性が主導するアクション映画として、フェミニズム的な視点や女性のエンパワーメントを部分的に描きつつも、男性視線によるエロティックな描写が強調されており、賛否両論を呼ぶ内容となっています。
物語の構造は、師弟関係やライバル関係を通じてキャラクターの成長を描く一方で、香港映画特有の荒唐無稽な展開やユーモアが随所に散りばめられています。特に、ダンベルでの目潰しやソーセージを食べるシーンなど、過激さとコミカルさが共存する場面は、カルト映画としての魅力を高めています。視覚的には、派手な衣装やセットデザインが1990年代の香港ポップカルチャーを反映し、現代の観客にもレトロな魅力として映ります。
本作は、香港映画の過激なスタイルを愛好するファンにとって、時代を象徴する一作として評価されていますが、暴力や性的描写の過激さから、一般受けは難しい側面もあります。それでも、チンミー・ヤウやキャリー・ンの強烈なパフォーマンスと、独特な美学が、カルトクラシックとしての地位を不動のものとしています。
キャスト
- チンミー・ヤウ – キティ：若く大胆な女暗殺者。過激な性格と妖艶な魅力で物語を牽引。
- キャリー・ン – プリンセス：冷酷でカリスマ性のある暗殺者。キティの師匠でありライバル。
- サイモン・ヤム – ティナム：トラウマを抱える警察官。キティとの関係に葛藤。
- ケネス・スマイス – 脇役として裏社会のキャラクターを演じる。
- 盧惠光 – アクションシーンで活躍する裏社会のメンバー。
- ユー・コックローク – 物語の進行を支える脇役。
- ホイ・シウホン – 裏社会のキャラクターとして登場。
スタッフ
- 監督：クラレンス・フォク – 香港映画界でアクションとエロティシズムを融合させた作品で知られる。
- 脚本・製作：ウォン・ジン（王晶） – 香港映画のヒットメーカー。過激なストーリーテリングが特徴。
- 撮影：リー・キットミン – 派手なビジュアルを強調した撮影技術。
- 音楽：ウィリアム・フー – 緊張感とドラマチックな雰囲気を高めるスコアを提供。
- 編集：パン・シュン – アクションシーンのテンポを支える編集。
- 美術：ジェイソン・モク – ディズニー映画のような派手なセットデザインを担当。
レビュー 作品の感想や女優への思い