ロードアイランド州は米国東北部に位置する最小の州で、面積約3,140平方キロメートル、人口約110万人(2024年)。州都プロビデンスは文化・学術の中心で、海岸線643kmを誇る「大洋の州」として知られる。出身女優たちは、ロードアイランドの芸術的環境の影響を受け、独自のキャリアを構築。とくにヴィオラ・デイヴィスは、現代ハリウッドを代表する女優として、ロードアイランドの誇りとなっている。
歴史
ロードアイランド州は、アメリカ合衆国の独立13州の一つ。1636年にロジャー・ウィリアムズによって設立されました。彼は宗教的自由を求めてマサチューセッツ湾植民地から追放され、ナラガンセット族から土地を購入してプロビデンスを築きました。この州は、宗教的寛容さと個人の自由を重視する理念に基づいており、初期のアメリカにおける宗教的自由の先駆けとなりました。州名の由来には諸説あり、1524年にイタリア人探検家ジョバンニ・ダ・ヴェラッツァーノが島を「ロードス島」に似ていると記した説や、1610年代にオランダ人探検家アドリアン・ブロックが赤い粘土や紅葉から「赤みを帯びた島(ロドリッチ)」と表現した説があります。
17世紀には、ロードアイランドは貿易と海運の中心地として発展しました。特に18世紀には、奴隷貿易を含む三角貿易で繁栄し、ニューポートは重要な港湾都市となりました。しかし、奴隷制度に対する反対運動も早く、1774年には奴隷輸入を禁止する法律を制定し、1784年には奴隷の段階的解放を定めました。独立戦争では、ロードアイランドは独立を強く支持し、1776年のアメリカ独立宣言に署名した13植民地の一つとなりましたが、連邦憲法の批准は1790年と最も遅く、強い自治意識を持っていたことが伺えます。
19世紀には、産業革命により繊維産業が急成長し、州内には多くの工場が建設されました。サミュエル・スレーターが1793年にポータケットにアメリカ初の水力紡績工場を設立したことは、米国産業史の重要な節目です。20世紀に入ると、工業は衰退し、観光業やサービス業が経済の中心となりました。現在、ロードアイランドは歴史的建造物や海辺の観光地としての魅力で知られています。
芸術
ロードアイランド州は、芸術と文化の中心地としても名高いです。特に、プロビデンスにあるロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、米国を代表する美術学校の一つで、1877年に設立されました。RISD美術館は、印象派から現代アートまで幅広いコレクションを誇り、年間を通じて展覧会やワークショップを開催しています。ニューポート市には、17世紀から19世紀の歴史的建築物が数多く残されており、ゴールデン・エイジと呼ばれる19世紀後半の豪華な別荘「マーブルハウス」や「ザ・ブレイカーズ」は、建築芸術の傑作として観光客に人気です。これらの建物は、ヴァンダービルト家などの富豪が建てたもので、当時の贅沢な生活を垣間見ることができます。
州内では、毎年多くの芸術イベントが開催されます。プロビデンスの「ウォーターファイア」は、川沿いに設置された火籠に火を灯すアートインスタレーションで、音楽と光が織りなす幻想的な雰囲気が特徴です。また、ニューポートではジャズフェスティバルやフォークフェスティバルが開催され、ボブ・ディランやジョニ・ミッチェルなどの伝説的アーティストが過去に公演を行いました。これらのイベントは、州の芸術文化の多様性と活気を象徴しています。
登場する映画
ロードアイランド州は、その美しい海岸線や歴史的建造物を背景に、数々の映画のロケ地として選ばれてきました。以下に代表的な作品を挙げます。
- ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年):ラース・フォン・トリアー監督のミュージカル映画で、ビョークが主演。プロビデンスの工業的な風景が物語の暗い雰囲気を強調しています。
- メリーに首ったけ(1998年):ファレリー兄弟監督のコメディ映画で、プロビデンスの街並みやロードアイランドの風景が背景として使われています。
- アミスタッド(1997年):スティーヴン・スピルバーグ監督の歴史ドラマで、1839年の奴隷船反乱事件を描いています。ニューポートの歴史的建造物や港が撮影に使用されました。
- ホーカス ポーカス(1993年):ハロウィンをテーマにしたファンタジーコメディで、プロビデンスの歴史的な街並みが登場します。
- ミスティック・ピザ(1988年):ジュリア・ロバーツの出世作となった青春映画で、ミスティック地区のピザ屋を舞台に若者たちの恋愛と成長が描かれます。ミスティックの街並みが印象的です。
これらの映画は、ロードアイランドの多様な景観や歴史的魅力を活かし、物語に深みを加えています。特にニューポートやプロビデンスの街並みは、映画製作者にとって魅力的なロケ地として重宝されています。
出身女優
ロードアイランド州出身の女優は多くはありませんが、個性的で才能ある人物がいます。以下に代表的な女優を紹介します。
- オリビア・カルポ:1992年5月8日、ロードアイランド州プロビデンス郡クランストンに生まれました。モデルではミス・ユニバース2012、映画では、『ダメ男に復讐する方法』(2014年)で知られる。2017年8月に父や従兄弟と共に、ロードアイランド州ノースキングスタウンにレストラン「Back 40」を開業。
- デブラ・メッシング:1968年生まれ。ニューヨークのブルックリンで生まれ、3歳のときに両親らとともにロードアイランド州イースト・グリニッジへ移住。TV番組『ウィル&グレイス』でグレイス・アドラー役を演じ、エミー賞を受賞しました。ニューヨーク大学で演技を学び、舞台やテレビで活躍後、ハリウッド映画『セレブな彼女の落とし方』(2008年)などにも出演。彼女のユーモアと親しみやすい演技は多くのファンを魅了。
- ヴィオラ・デイヴィス:1965年8月11日生まれ。サウスカロライナ州生まれですが、Rhode Island Collegeで演劇を専攻して1988年に卒業。その後ジュリアード音楽院で4年学んだ後、ロードアイランド州セントラルフォールズでキャリアをスタート。アカデミー賞受賞女優で、『フェンス』(2016年)で主演女優賞を受賞。『ヘルプ』(2011年)や『ダウト』(2008年)でも高い評価を受け、力強い演技で知られています。彼女は社会問題にも積極的に取り組む影響力のある人物です。
これらの女優は、ロードアイランドの芸術的環境の影響を受け、独自のキャリアを築きました。特にヴィオラ・デイヴィスは、現代ハリウッドを代表する女優として、ロードアイランドの誇りとなっています。
まとめ
ロードアイランド州は、面積は小さいながらも、豊かな歴史、芸術、文化、そして映画の舞台としての魅力を持つ州です。宗教的自由を掲げた設立の歴史、RISDを中心とする芸術文化、映画のロケ地としての活用、そして才能ある女優の輩出は、ロードアイランドがアメリカ文化に大きく貢献していることを示しています。観光地としても、プロビデンスやニューポートの美しい景観や歴史的建造物は訪れる価値があります。
レビュー 作品の感想や女優への思い