『地獄の花園』は2021年公開のアクションコメディ。平凡OL・直子(永野芽郁)の職場に元カリスマヤンキー・蘭(広瀬アリス)が中途入社し、OLたちの裏側派閥争いが勃発。鬼丸麗奈(小池栄子)は地上最強のOLとして乱入、拳と女子力でバトルを繰り広げる。笑いと爽快アクションが融合した痛快エンターテイメント。
基本情報
- 邦題:地獄の花園
- 公開年:2021年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:102分
- ジャンル:ドラマ、コメディ
- 配給:ワーナー・ブラザース映画
女優の活躍
本作において、鬼丸麗奈役を演じた小池栄子は、圧倒的な存在感で観客を魅了しました。小池はこれまで数多くの映画やドラマで活躍してまいりましたが、この作品では特に、アクションシーンでのダイナミックなパフォーマンスが光りました。鬼丸麗奈は、社内外で「地上最強のOL」と畏怖されるキャラクターで、喧嘩の強さだけでなく、意外な女子力の高さも持ち合わせており、小池の豊かな表現力が存分に発揮されています。例えば、激しいバトルシーンでは、スタントを最小限に抑え、本人が多くをこなすことでリアリティを高め、現場でも共演者から絶賛を集めました。
また、役柄のコミカルな側面を強調するアドリブも多く、脚本のバカリズム氏との息の合った演技が、作品のユーモアを支えています。小池のキャリアを振り返りますと、2000年代初頭のバラエティ番組でのブレイクから、近年は『アンダーニンジャ』や『おっずラブ』などのヒット作で深みのある演技を披露しており、本作はその集大成とも言える一作です。鬼丸麗奈を通じて、女性の強さと可愛らしさを融合させた魅力的なポートレイトを描き出し、観客に新たな小池栄子像を印象づけました。この活躍は、公開後の興行収入7億2000万円超えにも寄与し、彼女の多才さを改めて証明するものとなりました。
女優の衣装・化粧・髪型
小池栄子が演じる鬼丸麗奈のビジュアルは、作品のインパクトを象徴するもので、衣装、化粧、髪型が一体となって強烈な印象を与えます。まず、衣装については、標準的なOLスタイルをベースにしつつ、ヤンキー要素を加味したアレンジが施されています。具体的には、タイトな黒のスカートスーツに、白いブラウスを合わせ、首元には派手なスカーフを巻くスタイルが基本です。このスーツは、動きやすさを考慮したストレッチ素材を使用し、アクションシーンでの激しい動きに対応しています。また、足元はハイヒールながら、安定感のあるチャンキーヒールを選び、戦闘時の機敏さを損ないません。アクセサリーとして、ゴールドのネックレスや大ぶりのイヤリングを着用し、女子力の高さをアピールする一方で、袖口に刺繍入りのカフスを加えることで、隠れたヤンキーらしさを匂わせています。
化粧面では、眉なしメイクが最大の特徴です。通常のOLメイクとは異なり、眉を完全に剃り落としたような大胆なフェイスデザインで、目元を強調したスモーキーアイシャドウと赤いリップが際立ちます。この眉なしスタイルは、役の「最強」さを視覚的に表現し、威圧感を高めていますが、頰にピンクのチークをふんわりと入れ、唇にはグロスを重ねることで、意外な可愛らしさを演出。ヘアメイクデザイナーの小西神士氏によるこのメイクは、撮影中も耐久性を重視し、汗に強いウォータープルーフ素材を採用しました。これにより、長時間のアクション撮影でも崩れず、キャラクターのインパクトを維持しています。
髪型は、白髪のロングウィッグがトレードマークです。肩までかかるストレートヘアを白く染め、ヤンキー時代の名残を思わせるセンター分けにセット。戦闘時はポニーテールにまとめ、動きやすさを確保します。この白髪は、鬼丸麗奈の「伝説性」を象徴し、年齢を感じさせない小池の若々しい顔立ちと相まって、独特のクールビューティーを生み出しています。全体として、これらの要素は単なるコスチュームではなく、キャラクターのバックストーリーを語る重要なツールとなっており、小池の演技をより深く引き立てています。
あらすじ
物語は、三富士株式会社の平凡なOL・田中直子(永野芽郁)の日常から始まります。直子は、社内の華やかな表舞台とは裏腹に、ヤンキーOLたちの派閥争いに巻き込まれつつも、ヤンキー漫画を愛読する趣味で心の平穏を保っています。そんな職場に、中途採用として入社したのが、北条蘭(広瀬アリス)です。蘭は一見、穏やかなOLですが、実は全国屈指のカリスマヤンキー。スカジャンを羽織ったその姿で、瞬く間に社内のトップに君臨し、安藤朱里(菜々緒)率いる派閥を蹴散らします。朱里は「悪魔の朱里」と恐れられる開発部のエースで、コーンロウヘアと奇抜なメイクがトレードマーク。蘭の台頭により、全国のヤンキーOLたちが三富士社に集結し、壮絶なバトルロワイヤルが幕を開けます。
直子は蘭とカフェ巡りを楽しむ中で友情を深め、徐々にこの混沌とした世界に染まっていきます。一方、佐竹紫織(川栄李奈)は「狂犬紫織」として知られ、営業部で短気な性格を爆発させ、神田悦子(大島美幸)は「大怪獣悦子」として製造部を牛耳る巨漢OLです。そんな中、突如として現れたのが、鬼丸麗奈(小池栄子)です。麗奈は、トムスン社所属の「地上最強のOL」で、タイマン300戦無敗の伝説を持つ女性。白髪と眉なしの異様なビジュアルで現れ、蘭のライバルとして社内を震撼させます。麗奈は喧嘩の腕だけでなく、ネイルやエステを欠かさない女子力の高さで、敵味方問わず魅了します。
クライマックスでは、直子、蘭、朱里、紫織、悦子らが連合を組み、麗奈率いるトムスン軍団と対決。オフィス街を舞台に、椅子やコピー機を武器としたド派手な乱闘が展開されます。直子はヤンキー漫画の知識を活かし、意外な作戦で勝利を掴み、職場に新たな秩序をもたらします。笑いあり、涙ありの痛快ストーリーは、OLたちの絆と成長を描きながら、現代の職場文化を風刺的に描き出しています。
解説
『地獄の花園』は、監督の関和亮氏と脚本のバカリズム氏によるタッグが光る作品で、ヤンキー文化と現代のオフィスワーカーを融合させた独自の世界観が魅力です。表面上はコメディアクションですが、根底には女性のエンパワーメントと職場のパワーバランスをテーマに据えています。主人公の直子が、最初は傍観者として描かれるものの、蘭や麗奈との出会いを通じて自らの強さを発見する過程は、観る者に勇気を与えます。特に、鬼丸麗奈のキャラクターは、強さと可愛らしさの二面性を体現し、従来のヤンキー像をアップデートした象徴です。小池栄子の演技により、麗奈は単なる戦士ではなく、自己肯定感の高さを示すロールモデルとなります。
また、バカリズム氏の脚本は、細やかなユーモアが散りばめられており、OLたちの喧嘩が「派閥の縄張り争い」として描かれることで、現実の社内政治をコミカルに風刺しています。ヤンキー漫画へのオマージュも満載で、『ビー・バップ・ハイスクール』や『湘南爆走族』などのクラシックを彷彿とさせつつ、女性版として再解釈。アクション監督の富田稔氏による振り付けは、女性らしいしなやかさを活かしたもので、ハイヒールでのキックやデスクを盾にした防御が新鮮です。音楽面では、宗形勇輝氏らのアップテンポなスコアがバトルを盛り上げ、主題歌のLiSAがサウンドプロデュースを手がけた松本孝弘氏のギターが、爽快感を増幅させています。
社会的な文脈で申し上げますと、本作は2021年の公開当時、コロナ禍によるリモートワークの増加の中で、オフィスの「リアルな人間関係」を再認識させる役割を果たしました。女性キャスト中心のキャスティングは、多様なジェンダー表現を促進し、興行的に成功した背景には、こうした現代性があります。総じて、娯楽性と批評性を両立させた傑作で、再視聴の価値が高い作品です。鬼丸麗奈の存在は、特に、女性の多層的な魅力を描く点で、映画史に一石を投じるでしょう。
キャスト
- 田中直子:永野芽郁
- 北条蘭:広瀬アリス
- 安藤朱里:菜々緒
- 佐竹紫織:川栄李奈
- 神田悦子:大島美幸(森三中)
- 鬼丸麗奈:小池栄子
- 松浦慎二:森崎ウィン
- 赤城涼子:遠藤憲一
- 工藤早苗:丸山智己
- 藤崎麻理:松尾諭
- 冴木妙子:勝村政信
スタッフ
- 監督:関和亮
- 脚本:バカリズム
- 音楽:宗形勇輝、植田能平、眞鍋昭大
- 製作:石原隆、細野義朗
- プロデューサー:加藤達也、櫻井雄一、山邊博文
- 企画原案:バカリズム、関和亮、櫻井雄一、加藤達也
- スタントコーディネーター:富田稔
- 撮影:奥平功
- 照明:渡辺良平
- 録音:反町憲人
- 美術プロデューサー:柴田慎一郎
- アートコーディネーター:渡部哲也
- 装飾:高桑道明
- 衣装統括:三田真一
- ヘアメイクデザイナー:小西神士
- ヘアメイク:塚原ひろの
- 編集:小野寺絵美
- VFXスーパーバイザー:菅原悦史
- カラリスト:宮下蔵
- 音楽プロデューサー:谷口広紀
- スクリプター:内田智美
- 助監督:戸塚寛人
- 共同プロデューサー:大塚健二
- ラインプロデューサー:木村和弘
- サウンドデザインスーパーバイザー&リレコーディングミキサー:浅利なおこ
- 主題歌:LiSA(サウンドプロデュース:松本孝弘)
- 配給:ワーナー・ブラザース映画
- 制作プロダクション:ソケット
- 製作:「地獄の花園」製作委員会(フジテレビジョン、S・D・P)
レビュー 作品の感想や女優への思い