『ショーガール』はラスベガスの華やかなショービジネス界を舞台に、野心的な女性ノミ・マローンがストリップダンサーからトップショーガールへ上り詰める過程を描いたエロティック・ドラマ。
セックス産業の裏側で繰り広げられるライバル争い、誘惑、搾取、そして道徳的曖昧さを風刺的に表現しています。監督はポール・ヴァーホーヴェン、主演にエリザベス・バークレー。1995年に米国で公開され過激な描写が話題を呼びました。
基本情報
- 邦題:ショーガール
- 原題:SHOWGIRLS
- 公開年:1995年
- 製作地:米国
- 上映時間:131分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
『ショーガール』では、主演のエリザベス・バークレーがノミ・マローン役を熱演しています。彼女はテレビシリーズ「Saved by the Bell」からの映画デビュー作として、この役に挑みました。ノミの野心と脆弱性を表現するために、激しいダンスシーンやフルヌードを披露し、過剰とも言える感情表現でキャラクターの内面的な葛藤を体現しています。しかし、当時の批評では演技が未熟と指摘され、彼女のキャリアに一時的な打撃を与えましたが、後年になってその大胆さが再評価されています。バークレーはダンスのトレーニングを積み、身体的なパフォーマンスで観客を魅了します。特に、ステージでのエネルギッシュな動きは、彼女の献身的な活躍を示しています。
ジーナ・ガーションはクリスタル・コナーズ役で、ノミのライバルとして存在感を発揮します。ガーションはこの役を過剰に演じ、ビッチーで魅力的なキャラクターを楽しく描き出しています。彼女の演技は監督の意図を理解し、キャンプ的な要素を加えてシーンを盛り上げます。例えば、ノミとの対立シーンでは、挑発的な視線とセリフで緊張感を生み出し、映画のエロティックな雰囲気を高めています。ガーションのパフォーマンスは批評家から高く評価され、彼女のキャリアを後押ししました。
ジーナ・ラヴェラはモリー・アブラムス役で、ノミの親友として登場します。彼女の演技は映画の中で数少ない共感を呼ぶキャラクターを支え、レイプシーンなどの過酷な場面で感情の深みを加えています。このシーンは撮影に9時間かかり、彼女の献身が光ります。ラヴェラの自然な演技は、映画のダークな側面を強調し、他の女優たちの派手な活躍と対比を成しています。
その他の女優たちも、ショーガールやストリッパーとして活躍します。例えば、リン・トゥッチはヘンリエッタ役でコミカルな要素を加え、映画の風刺性を支えています。全体として、女優たちは過激なヌードやダンスを通じて、セックス産業の現実を体現し、映画のテーマを深めています。彼女たちのパフォーマンスは、当初の失敗作という評価から、カルト映画としての地位を確立する原動力となりました。バークレーやガーションのような主演女優たちは、特に身体的な挑戦を通じて、役柄の複雑さを表現しています。これらの活躍は、映画のエロティシズムとドラマチックな展開を支え、観客に強い印象を残します。女優たちの努力は、監督のビジョンを具現化し、物語の説得力を高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の女優たちの衣装は、ラスベガスのショービジネスを象徴する派手で露出度の高いものが特徴です。エリザベス・バークレーのノミは、物語の冒頭ではジーンズやシンプルなトップスなどのカジュアルなドリフター風衣装を着用しますが、ストリップクラブに移ると最小限のランジェリーやGストリングに変わります。ショーガールとして活躍するシーンでは、トップレスのスパンコール付きボディスーツや羽根飾りの付いた華やかなコスチュームを纏い、ボディラインを強調したデザインが目立ちます。これらの衣装は、セクシーさとパワーを表現するために、輝く素材や大胆なカットが用いられています。
ジーナ・ガーションのクリスタルは、スターらしい豪華な衣装が多く、ゴッデス・レビューでは金色のスパンコールドレスやフェザーヘッドピースを着用します。彼女の衣装はノミのものより洗練されており、ビッチーな魅力を引き立てる赤や黒のランジェリーが登場します。モリー役のジーナ・ラヴェラは、縫製係として実用的なエプロンやカジュアルウェアが主ですが、親しみやすいイメージを保っています。
化粧については、女優たちはボールドで劇的なメイクが施されています。バークレーのノミは、重いアイライナーと光沢のあるリップグロスで目元と唇を強調し、ステージ上ではラメ入りのシャドウで輝きを加えています。ガーションはスモーキーアイと鮮やかな赤リップで、挑発的な表情を際立たせます。髪型は、ステージシーンでボリュームのあるカールやポニーテールが一般的です。ノミの髪は初期のディシェベルド(乱れた)スタイルから、ショーではウェーブのかかったロングヘアに変わり、動きやすさとセクシーさを兼ね備えています。ガーションのクリスタルは、エレガントなアップスタイルやカールで、スターらしい華やかさを演出します。これらの要素は、映画の視覚的な魅力の大部分を占め、キャンプ的な美学を強調しています。衣装デザイナーの仕事が、女優たちのパフォーマンスを支え、映画のアイコン的なイメージを生み出しています。全体として、これらのスタイリングは、物語のテーマである華やかさと偽りの世界を視覚的に表現しています。
あらすじ
謎めいた若い女性ノミ・マローンは、ラスベガスへヒッチハイクで到着します。彼女はショーガールになる夢を抱きながら、まずはストリップクラブ「チーターズ」で働き始めます。そこで出会った縫製係のモリー・アブラムスとルームシェアを始め、友情を深めます。モリーの紹介でスターダスト・カジノのショー「ゴッデス」を観たノミは、トップダンサーのクリスタル・コナーズに憧れますが、クリスタルはノミの職業を侮辱します。
ノミは喧嘩で逮捕された後、クリスタルとエンターテイメントディレクターのザック・ケアリーにラップダンスを披露し、注目を集めます。ゴッデスのオーディションを受け、屈辱的な扱いを受けながらも合格します。クリスタルはノミを売春の罠にかけますが、ノミはザックを誘惑してクリスタルのアンダースタディになります。ノミはクリスタルを階段から突き落として負傷させ、トップの座を奪います。
一方、モリーはミュージシャンのアンドリュー・カーバーから暴行を受けます。ノミは復讐としてカーバーを襲い、自分の過去の秘密をザックから知らされます。ノミはクリスタルに謝罪し、キスを交わした後、ラスベガスを去ります。物語はノミの野心と代償を描き、華やかな世界の暗部を露わにします。このあらすじは、ノミの成長と転落を軸に、ライバル関係や性的搾取を織り交ぜています。ノミの旅は、夢の実現と道徳的ジレンマを強調し、クライマックスでは暴力と贖罪が交錯します。全体を通じて、ラスベガスのショービジネスの残酷さが描かれ、ノミのキャラクターが複雑に変化していきます。
解説
「ショーガール」は、ポール・ヴァーホーヴェン監督による1995年のアメリカ映画で、エロティックドラマとして知られています。この作品は、ラスベガスのショービジネスを舞台に、セックス産業の華やかさと裏側の搾取を描いた風刺的な内容です。当初は過激なヌード、暴力、性的描写のためにNC-17指定を受け、興行的に失敗しました。予算4500万ドルに対して興収は3780万ドルにとどまり、批評家からは酷評されましたが、後年になってカルト映画として再評価されています。
テーマとしては、アメリカンドリームの暗部を批判的に扱っています。主人公ノミの野心は、成功のための手段を選ばない姿勢として描かれ、 patriarchial(家父長制)的搾取や道徳的曖昧さを風刺します。監督のヴァーホーヴェンは、ヨーロッパ的な視点からアメリカのショービジネスを皮肉り、過剰なキャンプスタイルで表現しています。脚本のジョー・エステルハスは、セリフの荒々しさで知られ、女性の対話が非現実的と指摘されましたが、それが映画の独特な魅力を生んでいます。
批評では、ロジャー・エバートが女性のダンスを称賛しつつ、全体のトーンを批判しました。一方、クエンティン・タランティーノは高く評価しています。映画のスタイルは、視覚的に美しく、ダンスシーンはエネルギッシュですが、キャラクターの嫌悪感が強い点が問題視されました。遺産として、ホームビデオで1億ドル以上の収益を上げ、ファンコミュニティが育っています。現代では、フェミニズムの観点から再解釈され、女性のエンパワーメントやセックスワークの現実を議論する材料となっています。この映画は、失敗作からカルトクラシックへ転じた典型例で、過激さが時代を超えて魅力を発揮します。解説として、ヴァーホーヴェンの他の作品(「ベーシック・インスティンクト」など)と比較すると、風刺の鋭さが際立ちます。全体のナラティブは予測不能で、観客の感情を揺さぶります。この作品は、映画史上で議論を呼ぶ存在として位置づけられています。
キャスト
- エリザベス・バークレー:ノミ・マローン(主人公、野心的なダンサー)
- ジーナ・ガーション:クリスタル・コナーズ(トップショーガール、ノミのライバル)
- カイル・マクラクラン:ザック・ケアリー(エンターテイメントディレクター)
- グレン・プラマー:ジェームズ・スミス(バウンサー、ノミの振付師)
- ロバート・ダヴィ:アル・トレス(ストリップクラブオーナー)
- アラン・ラチンス:トニー・モス(ゴッデス監督)
- ジーナ・ラヴェラ:モリー・アブラムス(ノミのルームメイト、縫製係)
- リン・トゥッチ:ヘンリエッタ(コメディアン)
- グレッグ・トラヴィス:フィル(マネージャー)
- パトリック・ブリストウ:マーティ(アシスタント)
スタッフ
- 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
- 脚本:ジョー・エステルハス
- 製作:チャールズ・エヴァンズ、アラン・マーシャル
- 撮影:ヨスト・ヴァカノ
- 編集:フランク・J・ユリオステ
- 音楽:デイヴィッド・A・スチュワート
- 美術:アラン・キャメロン
- 衣装デザイン:エレン・ミロジニック
- 振付:マーガレット・オカ
- 製作総指揮:マリオ・カサール



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