「心の言葉」は、ファッションモデルとして活躍する押切もえの初の単行本として、2010年8月4日に小学館から出版されたフォトエッセイ。
2009年に16万部を超えるベストセラーとなった新書『モデル失格』の続編的な位置づけで、作者の30歳という人生の転機をテーマに、ポジティブなメッセージを撮りおろしの写真とともに綴った一冊です。
内容は、モデル業界での経験や日常の出来事から得た前向きな言葉が中心で、読者がどこを開いても元気になれるよう工夫されています。
帯に記された「これまでの私の人生の、うまくいかなかったこと全部に『ありがとう』を言おう」というフレーズが象徴するように、挫折を感謝に変える姿勢を強調。写真は素顔や自然体の押切もえを収め、ファッション誌で見る華やかなイメージとは異なる等身大の姿が魅力です。
全体として、自己啓発要素の強いフォトブックで、モデルとしての表現力と文章力を融合させた作品。出版当時、押切のファン層を中心に注目を集め、女性読者から共感を呼んだ点が特徴です。運命の出会いや撮影の裏話も織り交ぜ、読者に勇気を与える内容となっています。
体裁
本書の体裁は、単行本形式で、出版社は小学館。ISBNは978-4093423830。発売日は2010年8月4日(初版は8月9日とする情報もあり)で、定価は当時1,200円前後(税抜き)。ページ数は約128ページ程度で、標準的なフォトブックサイズ(A5判またはB5判、縦210mm×横148mm程度)で、ビジュアルを重視したレイアウトです。
内容はテキストと写真のバランスが取れており、フルカラーの撮りおろし写真が多数収録。文章は短めのエッセイ形式で、各ページにメッセージが添えられ、読みやすさを優先したデザイン。装丁はシンプルで温かみのあるカバーイラストを採用し、帯には作者のポジティブな言葉が印刷されています。
電子書籍版も後年配信され、Kindleなどで入手可能ですが、紙版の写真のクオリティが魅力。付録はなく、純粋なフォトエッセイですが、作者のサイン入り版が限定で流通したケースもあります。全体のボリュームは軽めで、1時間程度で読み終えられる手軽さが特徴です。
評判
「心の言葉」の評判は、全体的に好評で、Amazonや楽天ブックスでの平均評価は約4.5/5.0(レビュー数10件以上)。ポジティブな意見として、「言葉一つひとつが圧倒的にポジティブで、ネガティブな気持ちを吹き飛ばしてくれる」「等身大の押切もえが感じられ、好感が持てる」「Chapter4の本気の気迫に感動した」という声が多く、作者のモデル経験を活かした前向きなメッセージが共感を呼んでいます。
特に、女性読者からは「これまでの生き方について考えさせられた」「最高の本で、読んでとてもよかった」と、人生の励みになる点を評価。
出版当時のインタビューでも、ファッション誌のイメージを超えた素顔写真が「ここまで見せる!?」と驚きを与え、ファン以外からも支持を集めました。一方、ネガティブな評判では、「タイトルが直球すぎてマジメさが目立つ」「どこかで聞いたことのある前向きな言葉が多く、グラビア写真がモデル業の延長線上」「全体的にこんなもんかと思ってガッカリしたが、Chapter4で挽回」という指摘があり、内容の新鮮さに欠ける点が一部で批判されています。
読書メーターでは、ランキング上位に入ることはなかったものの、押切のファン層から「完全なYESマンにならずに読めた」とのバランスの取れたレビューも。メディアでは、楽天ブックスやAERAで取り上げられ、「30歳で生まれ変わるメッセージが熱い」と好意的に報じられました。
総じて、デビューエッセイとしての新鮮さとポジティブさが強みですが、文学的な深みを求める読者には軽めに感じられるようです。以降の押切の作品と比較し、初期の瑞々しさが光る一冊として位置づけられています。
目次
本書の目次は、公式に詳細が公開されていないため、レビューや内容から推定される章立てを基にまとめます。フォトエッセイ形式で、章ごとにテーマ別のメッセージと写真が配置されています。
- Chapter 1: 日常の気づき(モデル生活の裏側や小さな幸せについての言葉)
- Chapter 2: 挫折と感謝(過去のうまくいかなかった経験をポジティブに振り返る)
- Chapter 3: 出会いと成長(運命の出会いや人間関係のメッセージ)
- Chapter 4: 本気の気迫(作者の熱い思いが溢れるクライマックス部分、素顔の写真多め)
- エピローグ: 未来への言葉(30歳の転機とこれからの決意)
各章の冒頭に短い詩的なフレーズが挿入され、写真が文章を補完する構造です。詳細は本書で確認をおすすめします。
あらすじ
「心の言葉」はエッセイ形式のため、厳密なあらすじではなく、内容の流れをまとめます。
物語は押切もえの30歳という節目を軸に、モデルとしての日々から得たポジティブな言葉を写真とともに展開。冒頭では、日常の小さな出来事から「ありがとう」の大切さを語り、挫折体験(モデル失格のエピソード)を振り返ります。
中盤で、運命の出会いや人間関係の学びを共有し、ネガティブをポジティブに変えるマインドセットを強調。Chapter4では、作者の本気の気迫が炸裂し、素顔の写真で内面的な成長を描きます。全体を通じて、読者が共感できるエピソードが散りばめられ、撮影の裏話や熱い思いが語られます。
結末は、未来への希望で締めくくり、読者に元気を与える終わり方。フォトブックらしいビジュアルが物語を豊かにし、モデル業界の華やかさと内面的葛藤のバランスが取れています。
解説
「心の言葉」は、押切もえのモデル経験を基にしたフォトエッセイで、『モデル失格』の成功を受けての第二弾として位置づけられます。タイトルが示すように、心に響く言葉をテーマに、30歳の転機で「生まれ変わる」姿勢を表現。作者はインタビューで、「ここまで見せる!?」という素顔写真を強調し、ファッション誌の完璧なイメージを超えた等身大の姿を意図的に描いています。
内容的に、ポジティブシンキングの自己啓発書として機能し、挫折を感謝に変えるメッセージが現代の女性に共感を呼ぶ。ビジュアル的には、撮りおろし写真が文章を補完し、モデルとしての表現力が活きていますが、レビューで指摘されるように、Chapter4の気迫がピークで、前半の軽さが対比的に際立つ構造。
解説として、この本は押切もえの文筆家デビュー期の象徴で、後年の小説『浅き夢見し』への橋渡し役。社会的に、女性のキャリアやメンタルヘルスをポジティブに扱い、出版当時のAERA対談本『re★born』と連動して、30歳の再誕をアピール。全体として、励ましの側面が強く、文学的深みより実用性が魅力です。



レビュー 作品の感想や女優への思い