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混血児リカ

「見どころ」にPR表現を含みます。

『混血児リカ』1972年に公開された日本映画。日米混血の少女リカが性的虐待を受け、男への怨念を抱いて家出します。横浜で不良少女となり、友人を孕ませ捨てたヤクザのヒロシと死闘を繰り広げ、少年院送りとなります。脱走して復讐を果たそうとする物語で、凡天太郎の劇画を原作とし、エロスとアクションが満載のスケバン映画の異色作です。

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基本情報

  • 原題:混血児リカ
  • 公開年:1972年
  • 原作者:凡天太郎
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女優の活躍

本作『混血児リカ』の主演女優は青木リカさん。彼女の本名はシャロン・リー吉田で、1953年生まれのハーフの女性です。公開当時は19歳で、高校3年生の冬にオーディションで2位から繰り上がり主役に抜擢されました。学生時代に陸上競技や空手を経験していたため、激しいアクションシーンを自らこなすことができました。演技は新人らしく硬質で、池玲子さんのような濃厚な色気はありませんが、ハーフ独特のエキゾチックな存在感が際立っています。この作品でデビューし、シリーズ3作すべてに主演しました。NETの深夜番組『23時ショー』でカバーガールも務め、主題歌も歌唱しています。

しかし、女優継続の意欲は低く、1974年に東映の『学生やくざ』にゲスト出演した後、姿を消しました。彼女の活躍は1970年代のビッチ・ムーヴィー史上に輝くもので、自由奔放なリカ役を体当たりで演じ、権力や暴力に立ち向かう姿が印象的です。

批評家からは、演技の硬さが逆に惨めさや孤高の魅力を生み出していると評価されています。中野貴雄さんは、青年座の役者たちとの共演で作品の質を高めていると指摘しています。高護さんは、ヘヴィでダーティな世界観の中で彼女のナチュラルな存在が光ると絶賛しています。磯田勉さんは、新藤兼人の反米思想が彼女の役を通じて表現されていると分析しています。進藤七生さんは、彼女の演技が観客に惨めな感情を呼び起こすと述べています。藤木TDCさんは、多彩なジャンル要素の中で彼女の新生面を発見できると評しています。

彼女の活躍は、低予算ながら実験的な娯楽作品として、ポルノとスケバンの時代に貴重な足跡を残しました。オーディション抜擢の新人として、令和の目線ではコンプライアンスに抵触しそうな大胆な役柄をこなした点が、昭和のガールクラッシュを象徴しています。シリーズを通じて、リカのさすらいの旅や子守唄のような人間味を加え、単なるアクション女優以上の深みを加えています。彼女の歌唱した主題歌は、ビッチ歌謡の最高傑作とされ、ナチュラルな声質が作品の雰囲気を高めています。

全体として、青木リカさんの活躍は、1970年代の日本映画界に新風を吹き込んだものと言えます。彼女のエキゾチックな魅力が、混血児という設定を活かした独自のポジションを確立しました。アクションのキレの良さは、空手経験が基盤となっており、男どもをなぎ倒すシーンで特に発揮されています。デビュー作ながら、シリーズ化の原動力となった活躍は、凡天太郎の原作を忠実に体現したものです。

批評家たちの多様な意見からも、彼女の演技が作品の孤高の地位を支えていることがわかります。彼女の引退は惜しまれますが、短いキャリアの中でインパクトを残しました。

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女優の衣装・化粧・髪型

青木リカさんの衣装は、斬新なタトゥー・ルックが特徴です。これは原作者の凡天太郎さんがデザインしたもので、サイケデリックな刺青風の模様が施されたものです。フォーリーブスのシングルジャケットやモハメド・アリのリングガウンに似た先端ファッションで、ホットパンツ姿で登場します。刺青マントを翻しながらキックを繰り出す姿が印象的で、エロスを強調したデザインとなっています。

化粧は、タトゥー・ルックに沿ったエロティックなものを施しており、ハーフのエキゾチックな顔立ちを活かした濃いめのアイメイクやリップが想定されます。

髪型については詳細な記述はありませんが、1970年代のスケバン映画らしいワイルドでボリュームのあるスタイルで、アクションシーンに適した動きやすいものだったと思われます。

全体として、衣装は炎の女を象徴する真っ赤な要素を取り入れ、ドスを頼りの野郎たちへの怒りを視覚的に表現しています。このタトゥー・ルックは、シリーズを通じてリカのトレードマークとなり、復讐の象徴として機能します。予告編の映像からも、刺青マントをひるがえすダイナミックな姿が確認でき、衣装のインパクトが作品の魅力を高めています。化粧は、性的虐待のトラウマを反映したハードな印象を与え、髪型はさすらいの旅にふさわしいラフな感じです。

低予算のオール・ロケ撮影の中で、こうした衣装が視覚効果を最大限に発揮しました。批評家からは、このファッションがヘヴィでダーティな世界観を強調していると指摘されています。

青木リカさんの自然な体型が、ホットパンツのアクティブさを引き立てています。メイクの詳細はエロス中心ですが、新人らしいナチュラルさを残しています。髪型は、戦う女性のイメージに合ったショートやミディアムで、風になびくシーンが多いです。この衣装・化粧・髪型は、1970年代のビッチ・ムーヴィーの象徴として、後世に語り継がれています。

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あらすじ

日米の混血児であるリカは、幼少期から性的に虐げられ、男という獣への深い怨念を胸に家を出ます。横浜の街で有名な不良少女となったリカは、親友を孕ませて捨てた立花組のヒロシと激しい死闘を繰り広げます。その結果、少年院に送られることになります。

しかし、立花組がリカの友人たちに矛先を向けたことを知り、復讐の炎に燃えるリカは少年院を脱走します。脱走後のリカは、横浜の街を駆け巡り、ヤクザやごろつきたちを相手に、タトゥー・ルックを纏った姿で蹴り上げ、なぎ倒していきます。

物語は、エロスとアクションが交錯する中で、リカの孤独な戦いを描きます。原作の凡天太郎の劇画を基に、混血児としてのアイデンティティが強調され、男社会への反発がテーマとなっています。クライマックスでは、リカの復讐が頂点に達し、激しい対決が展開されます。

この第一作は、シリーズの基盤を築き、続く『混血児リカ ひとりゆくさすらい旅』では、少年院脱走後のリカが親友花子の狂人化を知り、黒幕の田中海運社長に挑みます。『混血児リカ ハマぐれ子守唄』では、脱走したリカが黒人女と娘ジュンを助け、隠密刑事五郎と出会い、愚連隊との戦いに巻き込まれます。あらすじ全体を通じて、リカのさすらいと正義の追求が一貫しています。

低予算ながら、横浜のロケ地を活かしたリアルな描写が魅力です。新藤兼人の脚本が、反米思想や女性の応援歌を織り交ぜています。リカの行動は、性的虐待のトラウマから生まれるもので、男への怒りが原動力です。少年院内の描写も詳細で、ボスとの衝突が緊張感を高めます。

脱走後の横浜港での出来事は、シリーズの象徴的なシーンです。あらすじは、復讐劇としてシンプルですが、アクションの連続が娯楽性を高めています。

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解説

本作は、1972年の東映スケバン映画ブームに触発され、東宝と近代映画協会が製作した異色作です。凡天太郎の『週刊明星』連載漫画を原作とし、劇画ブームの影響を受けています。

当初はテレビドラマ企画でしたが、スポンサーがつかず映画化されました。低予算のオール・ロケで、キャスティングは華やかさに欠けますが、劇団青年座の役者たちがユニット出演し、質を高めています。

監督の中平康さんは、中平プロ設立後の借金返済のため商業作を引き受けました。脚本の新藤兼人さんは、注文仕事として関与し、反米思想や女性の応援歌を込めています。批評家の中野貴雄さんは、東映のスケバン映画とは編集・構成・アクションが優れ、青年座の役者が上手いため、フランス料理店が作ったたこ焼きのようだと評しています。高護さんは、東映のメジャー路線とは一線を画したヘヴィでダーティな作品で、70年代のビッチ・ムーヴィー史上に輝く孤高の傑作だと絶賛しています。磯田勉さんは、新藤兼人の思想が読み取れ、安っぽさが負のパワーを生むと分析しています。進藤七生さんは、腹が立つより惨めな気持ちに襲われると述べています。藤木TDCさんは、多彩なジャンル要素を取り込んだ良質で実験的な娯楽作品で、新藤兼人、中平康、吉村公三郎の新生面を発見できると評価しています。製作背景として、東宝の長期不況で外部プロ作品を積極配給し、スケバン映画のマネとして企画されました。

クランクインは1972年10月22日、アップは11月15日です。音楽の竹村次郎さんが、独特の雰囲気を加えています。シリーズ化され、1973年に2作が公開されました。2025年4月16日にDVDとして再リリースされ、予告編やスチールギャラリーが特典です。全体として、ポルノとスケバンの時代に貴重な作品で、令和の視点ではコンプライアンスおかまいなしのガールクラッシュとして再評価されています。解説では、アクションの優位性とダーティな世界観が強調されます。

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キャスト

  • 青木リカ:リカ役(主演)
  • 長本和子
  • 宗田マサミ
  • 佐藤文紀
  • 津嘉山正種
  • 内田良平
  • 森塚敏(劇団青年座)

スタッフ

  • 監督:中平康
  • 脚本:新藤兼人
  • 原作:凡天太郎
  • 製作:安西一人、高島道吉
  • 音楽:竹村次郎
  • 撮影:杉田安久利
  • 制作会社:オフィス二○三(近代映画協会)
  • 配給:東宝

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