オーストラリアの荒野に佇む古びたパブ「ロイヤルホテル」で働くことになった二人のアメリカ人女性バックパッカーが、男性中心の環境で直面するパワハラやセクハラを描いたスリラー映画。
ジュリア・ガーナーとジェシカ・ヘンウィックが主演し、キティ・グリーンが監督を務めます。2016年のドキュメンタリー「Hotel Coolgardie」に着想を得た作品で、女性の視点から恐怖と怒りを表現しています。
基本情報
- 邦題：ロイヤルホテル
- 原題：The Royal Hotel／Royal Hotel
- 公開年：2023年
- 製作国・地域：オーストラリア
- 上映時間：91分
- ジャンル：スリラー
- 配給：アンプラグド
女優の活躍
ジュリア・ガーナーは、本作『ロイヤルホテル』で主人公ハンナを演じ、彼女の演技は高く評価されています。ハンナは警戒心が強く、周囲の男性たちの行動に敏感に反応するキャラクターです。ガーナーは、微妙な表情の変化や身体言語で内面的な緊張を表現し、観客に強い没入感を与えます。特に、物語の後半でエスカレートする脅威に対しての彼女の対応は、静かな強さを強調しており、批評家から「抑圧された女性の怒りを体現した」と称賛されています。
ジェシカ・ヘンウィックは、ハンナの親友リブを演じ、ガーナーと対照的な役割を果たします。リブはより楽観的で、状況を軽く受け止める傾向があり、ヘンウィックの自然体な演技がそのキャラクターを活気づけています。彼女の活躍は、友情の絆を強調するシーンで顕著で、危機的な場面でのサポート役として物語のバランスを取っています。批評では、ヘンウィックの微妙なニュアンスが、女性同士の連帯感を深めていると指摘されています。
両女優の共演は、映画の緊張感を高める重要な要素です。ガーナーとヘンウィックの化学反応は、バックパッカーとしてのリアルな友情を描き出し、男性中心社会での女性の孤立を強調します。彼女たちの活躍は、フェミニスト的なテーマを支え、観客に強い印象を残します。
女優の衣装・化粧・髪型
ジュリア・ガーナーの衣装は、バックパッカーらしいカジュアルで実用的なものが中心です。Tシャツやショートパンツ、ジーンズなどのシンプルな服装が多く、オーストラリアの荒野の暑さと埃っぽさを反映しています。これらの衣装は、彼女のキャラクターの警戒心を表すように、動きやすく防御的な印象を与えます。化粧はナチュラルメイクで、汗や汚れが目立つシーンが多く、過度な装飾を避けています。髪型は主にポニーテールや緩いまとめ髪で、作業中の実用性を優先したスタイルです。
ジェシカ・ヘンウィックの衣装も同様に、日常的なバックパッカー風です。タンクトップやカットオフデニムが登場し、自由奔放な性格を象徴しています。化粧は軽めのファンデーションとリップで、ナチュラルさを保ちつつ、夜のバーシーンでは少し強調された目元が見られます。髪型はロングヘアを自然に下ろしたものが多く、風に揺れる様子が開放感を演出します。これらの要素は、彼女の楽観的なキャラクターを視覚的に支えています。
全体として、女優たちの衣装・化粧・髪型は、物語のリアリズムを高めています。辺鄙なパブの環境に溶け込むよう設計されており、華美さを排除したアプローチが、女性の脆弱さと強さを強調します。こうしたビジュアルは、映画のテーマである女性差別をより現実的に描き出しています。
あらすじ
アメリカからオーストラリアに旅行に来たハンナとリブは、資金が底をつき、仕事を探します。紹介されたのは、荒野の奥地にある古いパブ「ロイヤルホテル」です。そこは男性中心の鉱山労働者たちが集まる場所で、二人はバーテンダーとして住み込みで働くことになります。最初は好奇心を持って受け入れますが、店長のビリーや常連客たちの粗野な態度に戸惑います。
日が経つにつれ、パワハラやセクハラがエスカレートします。ハンナは警戒を強め、リブは状況を軽く見ようとしますが、客たちの飲酒後の行動が脅威となります。特に、マッティという若い男性の執拗なアプローチが緊張を高めます。二人は互いに支え合いながら、この環境を乗り越えようとしますが、孤立した場所での不安が募ります。
クライマックスでは、事態が爆発し、二人は自らの力で対処せざるを得なくなります。友情の絆が試され、女性としての怒りが噴出します。最終的に、彼女たちはこの経験から成長し、脱出を試みます。このあらすじは、女性の視点から描かれたサバイバルストーリーです。
解説
『ロイヤルホテル』は、2016年のドキュメンタリー「Hotel Coolgardie」に着想を得ており、実在の女性バックパッカーたちの体験を基にしています。監督のキティ・グリーンは、前作「アシスタント」でセクシャルハラスメントをテーマにし、本作でも女性の視点から男性中心社会の闇を描きます。オーストラリアの辺鄙な場所を舞台に、日常的な差別が恐怖に変わる過程を丁寧に追います。
映画の魅力は、心理的な緊張感にあります。暴力的なシーンを最小限に抑え、言葉や視線によるハラスメントを強調することで、観客に現実的な恐怖を感じさせます。フェミニスト・スリラーとして、女性の怒りと連帯をテーマにし、社会的な問題を反映しています。批評家からは、抑圧された感情の爆発がカタルシスを生むと評価されています。
撮影地であるオーストラリアの荒野は、孤立感を象徴します。音楽や照明も緊張を高め、物語のテンポをコントロールします。本作は、女性監督と女優のコラボレーションにより、ジェンダー問題を深く掘り下げ、現代社会への警鐘を鳴らしています。
キャスト
- ハンナ：ジュリア・ガーナー
- リブ：ジェシカ・ヘンウィック
- ビリー：ヒューゴ・ウィーヴィング
- マッティ：トビー・ウォレス
- ティース：ジェームズ・フレッチヴィル
- ドリー：ハーバート・ノードラム
- ライフガード：ニック・スレーター
- トーリー：ブリー・デスパイン
- キャロル：ヴァレリー・ベリー
- ウェイン：ダニエル・ヘンシャル
スタッフ
- 監督：キティ・グリーン
- 脚本：キティ・グリーン、オスカー・レディング
- 製作：リズ・ワッツ、エミール・シャーマン、イアン・カニング、キャス・シェルパー
- 製作総指揮：サイモン・ギリス
- 撮影：マイケル・レイサム
- 美術：リア・ポップル
- 衣装：マリオット・カー
- 編集：カラス・ラスールザデガン
- 音楽：ジェド・パーマー
- 製作会社：シーソー・フィルムズ、ハンウェイ・フィルムズ
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