情熱的で歴史豊かな都市、イタリアのナポリ(Napoli)について解説しています。
イタリア南部カンパニア州の州都ナポリは、地中海に面した美しい港湾都市。都市部の人口は約90万人、大都市圏では約300万人を超え、イタリアで3番目に大きな都市。紀元前8世紀頃、ギリシャ人によって植民都市として創設され、「新都市」を意味するネアポリスと名付けられました。ベスビオ火山の麓に位置し、近隣にはポンペイやヘルクラネウムの古代遺跡が広がっています。
歴史的中心部はユネスコ世界遺産に登録されており、バロック様式の教会や城塞、狭い路地が織りなす独特の景観が魅力です。世界で最も有名なマルゲリータピッツァの発祥の地として知られ、活気あふれるストリート、情熱的な音楽(「オーソレミオ」)、豊かな料理文化が人々を引きつけます。カプリ島やイスキア島への玄関口でもあり、観光客で賑わっています。しかし、混沌とした交通や治安の課題も抱えています。それでも、ナポリはイタリア南部の魂とも言える、情熱的で魅力的な都市です。
歴史
ナポリの歴史は古く、紀元前9世紀頃にギリシャ人がメガリデ島(現在のカステル・デル・オーヴォ付近)にパルテノペ(Parthenope)を建設したのが始まりです。紀元前470年頃(または前600年頃)、クマエのギリシャ人により本格的な都市ネアポリス(Neapolis)が築かれました。ギリシャ文化が色濃く残り、ローマ時代(前326年征服後)には文化・保養地として栄え、ヴィルギリウスやホラティウスが愛した地となりました。ローマ帝国崩壊後、ビザンツ帝国の影響下でナポリ公国(Duchy of Naples、661-1139)が成立し、独立的な自治を保ちました。
11世紀末にノルマン人により征服され、以降アンジュー朝(1266年~)、アラゴン朝・スペイン支配(15-17世紀)が続き、王国ナポリの首都として繁栄しました。この時代、人口30万人超のヨーロッパ最大級の都市となり、バロック芸術・建築(サン・ジェロモ教会、サンタ・キアーラ教会、カステル・ヌオーヴォ)が花開きました。スペインの植民地富により華やかでしたが、貧富格差も拡大。18世紀、ブルボン朝(両シチリア王国)が支配し、啓蒙主義が進みました。1799年にナポレオン軍が侵攻し短命のパルテノペ共和国が樹立されましたが、すぐに復古。19世紀、統一運動(リソルジメント)で1860年にガリバルディ軍が占領、1861年のイタリア統一で王国が消滅し、ナポリはイタリア王国の一部となりました。
20世紀、第二次世界大戦ではナチス占領下でイタリア初の反ファシスト蜂起(1943年「ナポリの四日間」)を起こし解放されました。戦後、工業化・都市化が進みましたが、地震(1980年イタリア南部地震)、カモッラ(ナポリマフィア)の影響、失業問題が課題に。近年は観光・文化復興が進み、ユネスコ遺産(1995年登録)を活かした再生が見られます。ギリシャ・ローマ・スペイン・フランスの影響が混じった多層的な文化が、ナポリの独自性を形成しています。歴史の積み重ねが、今日の活気と混沌を生み出しているのです。
映画のロケ地
ナポリは映画の舞台として古くから人気で、情熱的・庶民的な街並みが魅力的に描かれます。代表作とロケ地を挙げます。
- パルテノペ ナポリの宝石(2025年):パオロ・ソレンティーノ監督が、ナポリを舞台に美しく聡明な女性パルテノペの人生を描きます
- 食べて、祈って、恋をして(2010年、ジュリア・ロバーツ主演):有名なアンティカ・ピッツェリア・ダ・ミケーレ(Forcella地区、1870年創業)で主人公がピザを堪能するシーンが有名。マルゲリータを頬張る姿が印象的です。
- リプリー(1999年、マット・デイモン、ジュード・ロー、グウィネス・パルトロー):ナポリ湾や周辺(一部イスキア島)が舞台。豪華なイタリア生活と心理サスペンスが交錯。
- Hand of God 神の手が触れた日(2021年):パオロ・ソレンティーノ監督。1980年代のナポリ(マラドーナ時代)を自伝的に描き、ピアッツァ・デル・プレビシート(当時車進入可)、ガッレリア・ウンベルトI、ヴィア・トレド、カルッチョーロ海岸、ポシッリポの絶景が登場。家族の悲劇とサッカーの熱狂が融合。
ほかに、『ゴモラ』(2008年、犯罪ドラマ)、『愛は、365の日々で』(2020年、エロティック)、『The Bourne Supremacy』(アクション)、『ナポリ湾』(1960年、ソフィア・ローレン&クラーク・ゲーブル)など。
イタリア古典映画では次のような作品があります。
- L’oro di Napoli(1954年、エピソード映画):ヴィットーリオ・デ・シーカ監督。サン・グレゴリオ・アルメーノ通り(プレセピオ工房街)や湾岸が登場。
- Miseria e Nobiltà(1954年):トト主演。ナポリ中心部で貧乏貴族のコメディを展開。
ソフィア・ローレン&マルチェロ・マストロヤンニの『ああ結婚』(1964年)では、ピアッツァ・デル・ジェズ周辺の宮殿(Palazzo Pandola)などが使用され、情熱的な夫婦劇が描かれます。
ロケ地として定番もいくつかあります。
- ピアッツァ・デル・プレビシート(広大な広場)
- スパッカナポリ(歴史的直線路地)
- カステル・デル・オーヴォ(卵城、海上要塞)
- サンセヴェロ礼拝堂(ヴェール・オブ・クライスト像)
- ヴォメロ地区、ポジッリポの丘からの湾ビュー
これらナポリの混沌と美が、ドラマチックな物語を支えています。
出身女優・モデル
ナポリ出身(または深いつながり)の著名な女性を紹介します。
- ヴァレリア・ゴリーノ(Valeria Golino、1965年ナポリ生まれ):国際的に活躍する女優・監督。ギリシャ系母親の影響で多言語堪能。『レインマン』(1988年、トム・クルーズ共演)で注目を集め、アカデミー賞助演女優賞ノミネート級の存在感。イタリア映画では『The Portuguese Nun』(監督作)など内省的な役を得意とし、ナポリの情熱的なルーツが演技に反映されています。
- ロベルタ・カプア(Roberta Capua、1968年ナポリ生まれ):モデル・女優・テレビ司会者。1986年ミス・イタリア優勝、ミス・ユニバース準優勝。身長180cmのスタイルでファッション界で活躍後、テレビで人気を博しています。
- ソフィア・ローレン(Sophia Loren、1934年ローマ生まれ):厳密な出生地はローマですが、幼少期をナポリ近郊ポッツオーリで過ごし、ナポリで育ちました。家族はナポリ圏出身で、戦中戦後の貧困生活をナポリで体験。『It Started in Naples』(1960)などナポリを舞台にした作品多数。ナポリ名誉市民にも認定され、世界的なイコンとして「ナポリの娘」と称されます。美貌と演技力でアカデミー賞主演女優賞受賞(『ふたりの女』)。
- エレオノーラ・ブラウン(Eleonora Brown、1948年ナポリ生まれ):子役としてデ・シーカ監督『ふたりの女』(1960年、ソフィア・ローレン主演)で母娘の悲劇を演じ、国際的に評価されました。
これらの女性は、ナポリの情熱・強さを体現しています。
出身女性アスリート
ナポリ出身の女性アスリートは、バレーボールやパラスポーツで活躍しています。
- クリスティーナ・キリケッラ(Cristina Chirichella、1994年ナポリ生まれ):バレーボール選手、身長195cmのミドルブロッカー。イタリア代表として2016年リオ五輪、2014年世界選手権などに出場。強力なブロックと攻撃でチームの要です。
- アントネッラ・デル・コア(Antonella Del Core、1980年ナポリ生まれ):バレーボール選手。イタリア代表として欧州選手権優勝など活躍。スパイカーとしてスピードとパワーを発揮しました。
- ヴァレンティーナ・ペトリッロ(Valentina Petrillo、1973年ナポリ生まれ):パラリンピック陸上選手(視覚障害T12クラス)。元男子アスリートとして競技を続け、トランスジェンダーとして女性カテゴリで出場(2024パリパラリンピックなど)。100m・200m・400mで記録を更新し、勇気ある挑戦で注目を集めています。
ナポリ出身のアスリートは少ないですが、チームスポーツやパラスポーツでイタリア代表に貢献しています。
おわりに
ナポリは歴史・文化・人々が織りなす魅力的な都市です。訪れる際は、ピッツァを味わい、湾の景色を楽しんでください。ご質問があればお知らせください。


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