『死刑台のエレベーター』は1958年に公開されたフランスのクライム・スリラー映画。ルイ・マル監督のデビュー作で、ジャンヌ・モローのブレイク作でもあります。完璧犯罪を企てた恋人たちが、予期せぬトラブルにより運命に翻弄される様子を描きます。マイルス・デイヴィスの即興ジャズ音楽とモノクロの夜のパリが織りなす雰囲気は、ヌーヴェル・ヴァーグの先駆けとして高く評価されています。上映時間92分で、緊張感あふれるストーリーと洗練された映像が魅力です。
基本情報
- 邦題:死刑台のエレベーター
- 原題:Ascenseur pour l’échafaud
- 英題:Elevator to the Gallows
- 公開年:1958年
- 製作国・地域:フランス
- 上映時間:92分
- ジャンル:クライム、スリラー
冒頭で男女ともジュテーム連発。固定電話時代の愛の確認は面倒ですが、情熱的でもあります。
若い男性が社長を射殺した直後、ベランダから黒猫が覗いていました。
ドイツ人妻役を演じたエルガ・アンデルセンは短時間の出演でしたが、主演のジャンヌ・モローよりも、はるかに色っぽく綺麗でした。
女優の活躍
ジャンヌ・モローは本作でフロランス・カララを演じ、大きな注目を集めました。それまで多くの作品に出演していましたが、本作で自然な演技と表情豊かな演技力が開花し、国際的なスターへの道を歩み始めました。夫の殺害計画を立てる計算高い女性から、恋人を待ちわびる不安に駆られる姿まで、微妙な感情の変化を細やかに表現しています。
セリフが少ない中、視線や表情だけで内面的な葛藤を伝え、観る者を引き込む力強い演技です。ルイ・マル監督はモローの自然な美しさを活かし、従来の重いメイクを避けた撮影で彼女の魅力を最大限に引き出しました。この役は、彼女のキャリアにおける転機となったと言えます。
女優の衣装・化粧・髪型
ジャンヌ・モローの衣装は、1950年代のエレガントなスタイルを体現しています。トレンチコートを羽織った姿が印象的で、パリを夜にさまようシーンでは洗練されたシルエットが際立ちます。シャネル風のスーツやシンプルなドレスも登場し、上品でありながら妖艶な雰囲気を醸し出します。衣装デザインにはピエール・カルダンの影響も見られ、モダンで洗練された印象を与えます。
化粧は控えめで、自然な美しさを強調したものになっています。監督の意向により重いメイクを避け、素顔に近い状態で撮影されたため、リアルで親しみやすい表情が魅力です。唇や目の強調は最小限に抑えられ、夜の街灯の下での自然光が彼女の表情を際立たせます。
髪型はブロンドのショートヘアや柔らかなウェーブがかかったスタイルで、時代を反映したエレガントさがあります。乱れやすい夜の散策シーンでも、洗練された印象を保ち、キャラクターの内面的な動揺と外見のコントラストを美しく描き出しています。
あらすじ
武器商社の社員ジュリアン・タヴェルニエは、社長夫人フロランス・カララと不倫関係にありました。二人は社長シモンを自殺に見せかけて殺害する完全犯罪を計画します。ジュリアンは土曜日の夜、会社に残りロープを使って窓から侵入し、シモンを射殺して自殺を装います。
会社を出たジュリアンは、証拠のロープを忘れたことに気づき、戻ろうとしますが、エレベーターに閉じ込められてしまいます。一方、フロランスは待ち合わせの場所でジュリアンを待っていますが、彼が現れないため不安に駆られ、夜のパリをさまよいます。
その頃、チンピラのルイと恋人のベロニクがジュリアンの車を盗み、モーテルでドイツ人夫妻を殺害してしまいます。事件はジュリアンに結びつき、警察の捜査が始まります。フロランスは真相を探り、ルイたちに辿り着きますが、すべてが思わぬ方向へ進んでいきます。
解説
本作はルイ・マル監督の長編デビュー作として、フランス映画史に重要な位置を占めています。ヌーヴェル・ヴァーグの萌芽を感じさせる作品で、従来の犯罪映画の枠を超えた革新的なスタイルが特徴です。マイルス・デイヴィスの即興演奏によるジャズスコアは、映画の雰囲気を高め、孤独や不安を音で表現する画期的な試みでした。この音楽は映像と密接に結びつき、観る者の感情を揺さぶります。
アンリ・ドカエの撮影も秀逸で、特に自然光を活用した夜の街並みはリアリティーと詩情を兼ね備えています。完璧を期した犯罪が偶然の連鎖で崩れていく様子は、人間の運命の脆さを描き出します。また、若者たちの無軌道な行動が絡むことで、社会の様々な階層を横断する物語となっています。
ジャンヌ・モローの存在感は本作の大きな魅力です。彼女の演技は後のヌーヴェル・ヴァーグ女優像に影響を与え、自然主義的な美しさが新鮮でした。クライム・スリラーでありながら、心理描写や雰囲気重視の点で芸術性が高く、今日でも色褪せない魅力を持っています。ルイ・デリュック賞受賞作として、当時の批評家からも高評価を得ました。
キャスト
- フロランス・カララ:ジャンヌ・モロー
- ジュリアン・タヴェルニエ:モーリス・ロネ
- ルイ:ジョルジュ・プージュリイ
- ベロニク:ヨリ・ベルタン
- シモン・カララ:ジャン・ウォール
- シェリエ警部:リノ・ヴァンチュラ
- ドイツ人妻:エルガ・アンデルセン
スタッフ
- 監督:ルイ・マル
- 原作:ノエル・カレフ
- 脚本:ロジェ・ニミエ、ルイ・マル
- 製作:ジャン・スイリエール
- 音楽:マイルス・デイヴィス
- 撮影:アンリ・ドカエ
- 編集:レオニード・アザー
本作は、緊張の連続と美しい映像、忘れがたい音楽が融合した傑作です。観るたびに新たな発見がある作品と言えるでしょう。



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