アシュリー・ワグナー(Ashley WAGNER)はアメリカ合衆国の元フィギュアスケート選手であり、女子シングル競技で国際的に活躍したアスリートです。1991年5月16日にドイツのハイデルベルクで生まれ、軍人家庭の出身として幼少期を複数の国や州で過ごしました。5歳からスケートを始め、卓越した技術と表現力で知られ、3回転アクセルを含む5種類の3回転ジャンプを成功させるパワフルなスケーティングが特徴です。
主な成績として、2014年ソチ冬季オリンピック団体戦銅メダル、2016年世界フィギュアスケート選手権銀メダル、2012年四大陸フィギュアスケート選手権金メダル、そして全米選手権で2012年、2013年、2015年の3度優勝を果たしました。グランプリファイナルでは3度のメダル獲得を記録し、アメリカ女子シングル界のトップ選手として君臨しました。引退後の2019年以降は、解説者やコーチとして後進の指導に携わり、フィギュアスケート界に貢献しています。彼女のキャリアは、逆境を乗り越える強い精神力を象徴するもので、多くのファンに勇気を与えました。
プロフィール
- 名前:アシュリー・ワグナー(Ashley WAGNER)
- 生年月日:1991年5月16日(34歳)
- 出生地:ドイツ連邦共和国バーデン=ヴュルテンベルク州ハイデルベルク米軍駐屯地
- 身長:162cm
- SNSサイト:Instagram・Facebook・LinkedIn・X
選手情報
- 競技種目:フィギュアスケート
- カテゴリー:女子シングル
- 代表国:アメリカ合衆国
- コーチ:ジョン・ニックス、ラファエル・アルトゥニアン、ナディア・カナエワ
- 所属クラブ:ウィルミントンSC
- 引退:2019年
- ISUサイト:バイオグラフィ
生い立ち・教育
アシュリー・ワグナーは、1991年5月16日、ドイツのハイデルベルクにあるアメリカ陸軍基地で生まれました。父親のエリック・ワグナーはアメリカ陸軍の退役中佐で、軍務のため家族は頻繁に転勤を繰り返しました。このため、幼少期のワグナーはアメリカの6つの州と2つの国を転々とし、多様な文化に触れながら育ちました。こうした軍人家庭の環境は、彼女に強い自立心と適応力を養いました。母親のキンバリーは元教師で、家庭教育に熱心でした。弟のオースティンもフィギュアスケーターとして活躍し、家族全体がスポーツに親しむ家庭でした。
スケートとの出会いは5歳の頃、アラスカのアイスリンクで起こりました。当時、母親からバレエかスケートのどちらかを選ぶよう促され、ワグナーはスケートを選びました。初の大会で金メダルを獲得したこの経験が、彼女の情熱を燃え上がらせました。幼少期の転勤生活は、スケートの練習を中断させることもありましたが、逆に全国レベルのコーチングを受けられる機会を提供しました。1998年の長野冬季オリンピックでタラ・リピンスキーが金メダルを獲得する姿を見て、ワグナーはプロの夢を抱くようになりました。
教育面では、母親によるホームスクーリングを7ヶ月間受け、柔軟な学習環境を整えました。その後、バージニア州のウェスト・ポトマック高校に進学し、2007年から2008年の学年を修了しました。スケートのトレーニングを優先するため、ノーザン・バージニア・コミュニティ・カレッジのオンライン学習プログラムを利用し、さらにカリフォルニアのサドルバック・カレッジに在籍しましたが、卒業はしませんでした。英語のほか、幼少期のドイツ生活から少しのドイツ語を話せます。このような多角的な教育背景は、彼女の国際的な視野を広げ、競技生活を支えました。
- 1991年5月16日、ドイツ・ハイデルベルク生まれ
- 父親はアメリカ陸軍退役中佐、母親は元教師
- 弟オースティンは競技スケーター
- 5歳でスケート開始、初大会で金メダル
- 軍人家庭のため複数地域転勤
- 母親による7ヶ月のホームスクーリング
- ウェスト・ポトマック高校卒業
- ノーザン・バージニア・コミュニティ・カレッジとサドルバック・カレッジ在籍
- 英語と少しのドイツ語を話す
経歴
アシュリー・ワグナーの競技経歴は、ジュニア時代から輝かしいものでした。2002年から2003年のシーズンに、ジュニア全米選手権のインターミディエートレベルで17位となり、ノービスレベルに昇格しました。2005年から2006年のシーズンには、トリグラフ・トロフィーのジュニアクラスで優勝し、全米ジュニア選手権で4位に入賞。頭角を現し始めました。翌2006年から2007年のシーズンでは、ジュニアグランプリシリーズで2大会連続優勝を果たし、ファイナルで銀メダル、世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得しました。この活躍により、国際的に注目を集めました。
2007年から2008年のシーズンにシニアクラスへ移行し、エリック・ボンパール杯で3位、全米選手権で3位となり、四大陸選手権と世界選手権に初出場。2008年の世界選手権では14位でした。以降、2010年のバンクーバー冬季オリンピック代表選考で惜しくも逃しましたが、着実に実力を磨きました。転機となったのは2011年のコーチ変更で、バージニアからカリフォルニアへ移り、名コーチのジョン・ニックスのもとでトレーニングを開始。パワフルなジャンプと表現力を強化しました。
2011年から2012年のシーズン、全米選手権で初優勝を飾り、四大陸選手権でも金メダルを獲得。スケートアメリカとエリック・ボンパール杯で優勝し、グランプリファイナルで銀メダル。2012年から2013年のシーズンも全米連覇、グランプリシリーズ2勝、ファイナル銀メダルと快進撃を続けました。2013年から2014年のシーズン、ソチ冬季オリンピック団体戦で銅メダルに貢献。個人戦では5位でしたが、チームの成功が彼女の自信を高めました。
2014年から2015年のシーズン、グランプリファイナル銅メダル、全米3位。2015年から2016年のシーズン、全米3連覇を達成し、世界選手権で銀メダルを獲得。アメリカ女子としてミシェル・クワン以来の快挙でした。2016年から2017年のシーズンも安定した成績を残しましたが、2017年から2018年のシーズン、全米4位で平昌オリンピック代表から外れ、物議を醸しました。2019年1月、プロ転向と引退を発表。キャリアを通じて、3回転ルッツ、フリップ、ループ、ザルツホップ、トウループを成功させる技術を誇り、アメリカフィギュアスケート界の支柱となりました。
- 2002-2003:ジュニア全米インターミディエート17位
- 2005-2006:トリグラフ・トロフィー優勝、全米ジュニア4位
- 2006-2007:ジュニアグランプリ2勝、ファイナル銀、世界ジュニア銅
- 2007-2008:シニア移行、エリック杯3位、全米3位、世界14位
- 2011-2012:全米初優勝、四大陸金、スケートアメリカ優勝、エリック杯優勝、ファイナル銀
- 2012-2013:全米連覇、グランプリ2勝、ファイナル銀
- 2013-2014:ソチオリンピック団体銅、個人5位
- 2014-2015:グランプリファイナル銅、全米3位
- 2015-2016:全米3連覇、世界銀メダル
- 2017-2018:全米4位、平昌代表外れ
- 2019年:引退発表
私生活
アシュリー・ワグナーの私生活は、競技生活と密接に結びつき、軍人家庭の影響を強く受けています。父親の転勤により、幼少期から安定した生活とは無縁でしたが、それが彼女のレジリエンス(回復力)を育てました。家族はいつも支えとなり、母親の教育熱心さと父親の規律正しさが、ワグナーの性格形成に寄与しました。弟のオースティンとはスケートを通じて絆を深め、互いに励まし合いました。経済的には、裕福な家庭ではなく、ショッピングモールのアルバイトや先輩スケーターのマイケル・ワイスの奨学金でトレーニング費用を賄いました。この自力本願の精神は、彼女のモットー「ほとんどではなく、必ず」を体現しています。
恋愛面では、2019年時点でシングルとされ、過去に同僚のジョン・カウフリンと交際の噂がありましたが、詳細は不明です。しかし、2019年7月、17歳の時にカウフリンから性的暴行を受けたことを公表。カウフリンは前年に自殺していましたが、この告白はフィギュアスケート界のセーフガード強化に貢献し、ワグナーはU.S. Figure Skatingの安全セミナーで自身の経験を共有しました。また、親友のスケーター、アダム・リッポンを「ボーイフレンド」と冗談めかして呼ぶエピソードもあり、彼女のユーモアあふれる性格が垣間見えます。引退後、ボストンに移住し、精神的な休息を取っています。2017年にはESPNのThe Body Issueでヌードポーズを取り、スケーターの身体美をアピール。プライベートでは、アイスクリームとドーナツが大好きで、SNSで日常を共有しています。
- 軍人家庭出身、自立心強い
- 父親エリック:陸軍退役中佐
- 母親キンバリー:元教師
- 弟オースティン:競技スケーター
- アルバイトと奨学金で費用賄う
- 2019年:性的暴行被害公表
- 親友アダム・リッポンとの親密な友情
- 引退後ボストン在住
- ESPN The Body Issueヌード出演
- アイスクリームとドーナツ好き
出演作品
引退後のアシュリー・ワグナーは、メディアやエンターテイメント分野で活躍を広げています。2020年の欧州フィギュアスケート選手権でNBCのカラコメンテーターとしてデビュー。以降、2024年の全米選手権では旧トレーニングメイトのアダム・リッポンと共に解説を務め、鋭い分析で視聴者を魅了しました。パンデミック前にはアイスショーに出演し、プロとしてのパフォーマンスを披露。ボストンでは「Skate and Sculpt」と名付けたパワー・スケーティングクラスを主宰し、基礎スキルのある退役スケーター向けに週1回のレッスンを提供。人気を博し、完売続きで他都市展開を計画中です。
また、2017年のESPN The Body Issue誌でヌードを披露し、スケーターの身体の美しさと強靭さを表現。ドキュメンタリーやインタビューにも頻繁に出演し、自身のキャリアや性的暴行被害について語っています。U.S. Figure Skatingの安全教育セミナーでは講師として参加し、後進指導に注力。SNSでは65,000人以上のフォロワーを抱え、日常やモチベーションを発信。こうした活動を通じて、競技者からメンターへの転身を果たしています。
- 2020年:欧州選手権NBCコメンテーター
- 2024年:全米選手権NBC解説(アダム・リッポン共演)
- パンデミック前:アイスショー出演
- Skate and Sculptクラス主宰(ボストン)
- 2017年:ESPN The Body Issueヌード
- U.S. Figure Skating安全セミナー講師
- SNSで日常発信(Facebook 65,975 likes)
- ドキュメンタリー・インタビュー出演
レビュー 作品の感想や女優への思い