ボストン絞殺魔（Boston Strangler）とは、1960年代初頭にグレーター・ボストンで13人の女性を殺害した犯人に付けられた名前。犯行は、アルバート・デサルボの自白、別件の裁判で明らかになった詳細、そして彼と最後の被害者を結びつけるDNA証拠に基づいて、アルバート・デサルボによるものとされました。
デサルボが有罪判決を受けた後の数年間（しかし、このDNA証拠が出現する以前）、犯罪を捜査していた様々な関係者は、この殺人事件（「シルク・ストッキング殺人事件」と呼ばれることもある）が複数の人物によって行われたことを示唆していました。
出来事
1962年6月14日から1964年1月4日の間に、ボストン地域で19歳から85歳までの独身女性13人が殺害されました。ほとんどがアパートで性的暴行を受けたうえでの絞殺。当初、警察は一人の男が単独犯だと考えていました。家に押し入った形跡がないことから、女性たちは加害者が知り合いであったか、サービス業者であると信じていたかのどちらかであろうと推測されました。最初の数件の殺人の後、メディアで大々的に宣伝されたにもかかわらず、襲撃は続きました。多くの住民は催涙ガスを購入し、ドアに新しい鍵やデッドボルトを装着。殺人事件を受けて、その地域から引っ越した女性もいました。
殺人事件はボストンを含む複数の都市で発生したため、犯罪訴追のための管轄監視が複雑になりました。マサチューセッツ州検事総長のエドワード・W・ブルックは、さまざまな警察の調整を行ないました。彼は、超心理学者ピーター・ハーコスが超感覚的知覚を用いて事件を分析することを許可。この決定は物議を醸しました。ハーコスが「間違った人物の詳細な描写」を提供し、マスコミはブルックを嘲笑した。国民の多くはそう考えていましたが、警察はすべての殺人が一人の犯行だとは確信していませんでした。被害者の大多数と病院との明らかなつながりは広く議論されました。
殺人事件の最後の犠牲者は、1964年1月4日にボストンのアパートでレイプされ絞殺された19歳のメアリー・サリバン。彼女の首には3本の結束バンドが巻かれ、膣には箒の柄が突き刺さっていました。犯人は「新年おめでとう」と書かれたカードを彼女の左足に立てかけて放置。
逮捕
この事件には冤罪説もあるようですが、ここでは「アルバート・デサルボ、別名ボストン絞殺魔」と題するFBI のホームページから犯人の逮捕に関する記事を転載いたします。
アルバート・デサルボは、ボストン絞殺魔としても知られる自称連続殺人犯で、1967年2月24日にマサチューセッツ州の精神病院から脱走した際、監禁を避けるためにFBIの不法逃亡捜査の対象となった。デサルボは、数々の強姦事件で終身刑の判決を受け、控訴中の身として病院に収容されていた。地元当局は翌日、マサチューセッツ州リンでデサルボを逮捕した。https://web.archive.org/web/20071011225435/http://foia.fbi.gov/foiaindex/desalvo.htm
大衆文化で
- フィラデルフィア76ersの選手アンドリュー・トニーは、ボストン・セルティックスに対する卓越したパフォーマンスから「ボストン・ストラングラー」と呼ばれました。
- 1964年の映画『The Strangler』は未解決の殺人事件にインスパイアされたもの。
- ウィリアム・ゴールドマンの1964年の小説『No Way to Treat a Lady』とその1968年の映画化『殺しの接吻』は、どちらもボストン・ストラングラーの複数犯説にインスパイアされました。
- ロックンロールバンドのスタンデルズは、1965年のボストンをテーマにした曲『Dirty Water』の中で、”Have you heard about the Strangler? “や “I’m the man, I’m the man “というセリフでボストン・ストラングラーに言及。
- 1968年の映画『絞殺魔』では、トニー・カーティスがアルバート・デサルボを演じました。ヘンリー・フォンダが共演。
- 1995年の映画『コピーキャット』はボストン絞殺魔に言及。
- William Landayによる2007年の小説『The Strangler』では、ストラングラー対策チームの弁護士の家族を描写。
- Brian McGroryによる2007年の小説『Strangled』では、ボストンの新聞記者が40年以上経って、同じ殺人犯である可能性のある人物から証拠とメモを受け取り、警察が元の事件を解決していないという考えを抑えようとする様子が描かれています。
- 2008年公開の映画『ボストン ストッキングキラー ボストン連続絞殺魔』では、デヴィッド・ファウスティーノがデ・サルヴォ役を演じている
- 2010年公開のテレビ映画『The Front』では、アンディ・マクダウェルとダニエル・スンジャータが主演し、ボストン絞殺魔の最初の被害者であった可能性のある女性の1960年代の未解決殺人事件を再捜査する刑事を描写。
- ボストン絞殺魔はCBSの『アメリカン・ゴシック』の第1季第20話 “Strangler “に登場し、敵役の保安官ルーカス・バックによってメルリン・テンプルを排除するために召喚されました。ルーカスがコンベンションに出席するために町を離れると、アルバート・デ・サルボ-別名ボストン・ストラングラー-は、メルリンを殺そうとするだけでなく、それ以上のことをすることを決意。
- ボストン絞殺魔は、アンジー・ハーモンとサーシャ・アレクサンダーが主演するTNTの『リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線』の第1季第2話で中心人物として登場した。そのエピソードは「ボストン絞殺魔」と呼ばれ、オリジナルの絞殺魔の被害者と同じ名前の女性を殺した新たな連続殺人犯が登場。最終的に彼は、この事件を捜査していた最初の刑事の一人であり、彼が本物のボストン絞殺魔と信じていた男に濡れ衣を着せようとしたことが明らかになります。
- ボストン絞殺魔とゾディアック・キラーは、イメージ・コミックスの『ザ・ロバーツ』に登場。
- アルバート・デサルボの蝋人形は、イギリスのコメディ番組『サイコヴィル』のエピソードに登場。この蝋人形は、ジョン・ジョージ・ヘイ、ジョン・クリスティ、切り裂きジャックの蝋人形とともに、登場人物のデイヴィッド・サワーバッツに首を絞めて人を殺すよう説得するファンタジーのシークエンスで命を吹き込まれました。他の登場人物は、1968年の映画を参考に、彼が複数の人格をもっていると非難。
- 『女検死医ジョーダン』第2季の第13話「Strangled」では、登場人物たちがコールドケースパーティーを開き、ボストン・ストラングラーの手口に合致する2件の殺人事件の捜査をロールプレイします。
- ボストンのハードコアバンドがボストン・ストラングラーと命名。
- ローリング・ストーンズは1969年にアルバム『レット・イット・ブリード』に収録された「ミッドナイト・ランブラー」をリリース。この曲はアルバート・デサルボの緩やかな伝記であり、歌詞の中で「ボストン・ストラングラー」が一度言及されています。
- Stranglersと題された2016年のポッドキャストでは、ボストン絞殺事件の捜査について掘り下げ、デサルボの告白テープのクリップや、捜査主任フィル・ディナテールの息子など、捜査の鍵を握る人物の親族へのインタビューが放送されています。
- 『ボストン・キラー 消えた絞殺魔』は、キーラ・ナイトレイ、キャリー・クーン、アレッサンドロ・ニヴォラ、クリス・クーパー、デヴィッド・ダストマルキアン主演の2023年の米国映画。アメリカでは20世紀スタジオによって劇場公開されました。
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