『カサノバ』(Casanova)は2005年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画。18世紀のヴェネチアを舞台に、伝説のプレイボーイ、ジャコモ・カサノヴァの恋愛冒険を描きます。監督はラッセ・ハルストレム、主演はヒース・レジャー。華やかな映像と軽快なストーリーが魅力の作品です。
基本情報
- 邦題:カサノバ
- 原題:CASANOVA
- 公開年:2005年
- 製作国:米国
- 上映時間:112分
- ジャンル:ドラマ
あらすじ
18世紀のヴェネチアで、女性を虜にする魅力で知られるジャコモ・カサノヴァ(ヒース・レジャー)は、修道女との情事により教会から追われます。逃げ込んだ大学の講堂で、女性の解放を訴える男装の論客フランチェスカ・ブルーニ(シエナ・ミラー)と出会います。不貞や異端行為で死罪を宣告されるも、ヴェネチア総督のとりなしで釈放されたカサノヴァは、教皇庁の追及を逃れるため、良家の子女との結婚を命じられます。彼は名家の娘ヴィクトリア(ナタリー・ドーマー)を婚約者に選びますが、彼女の婚約を知ったフランチェスカの弟ジョヴァンニ(チャーリー・コックス)から決闘を申し込まれます。決闘の相手が実はフランチェスカだったと知り、カサノヴァは彼女に惹かれます。しかし、フランチェスカには婚約者パプリッツィオ(オリヴァー・プラット)がおり、カサノヴァは彼を騙し、フランチェスカに近づく策略を立てます。ヴェネチアのカーニバルを背景に、誤解と策略が絡み合う中、カサノヴァは真実の愛を見つけられるのでしょうか。
解説
『カサノバ』は、歴史上の人物ジャコモ・カサノヴァの伝説を基にしたロマンティック・コメディで、従来の重厚なカサノヴァ像とは異なり、軽快でユーモラスな物語が特徴です。監督のラッセ・ハルストレムは、『ショコラ』や『サイダーハウス・ルール』で知られる繊細な演出で、18世紀ヴェネチアの華やかな文化を再現しました。映画はエロティックな要素を控えめにし、恋愛と冒険をコミカルに描き、家族で楽しめる娯楽作に仕上げています。特に、ヴェネチアの街並みやカーニバルの場面は、豪華な美術と衣装で視覚的に魅力的です。ヒース・レジャーの魅力的な演技と、シエナ・ミラーの知的なヒロイン像が、物語に深みを加えています。興行収入は約3760万ドルと振るわなかったものの、ヴェネチア映画祭での初公開以降、美術や音楽が高く評価されています。アレクサンドル・デスプラの音楽は、場面を盛り上げ、物語の軽快さを引き立てます。本作は、恋愛コメディとしての気軽さと、歴史的背景の美しさを両立させた作品です。
女優の活躍
本作では、シエナ・ミラー、レナ・オリン、ナタリー・ドーマーが主要な女性キャラクターを演じ、それぞれの個性が物語を彩ります。
シエナ・ミラー(フランチェスカ・ブルーニ役)
フランチェスカは、知性と行動力を兼ね備えた女性で、女性の解放を訴える論客として登場します。シエナ・ミラーは、男装での討論シーンや剣技を披露する決闘シーンで、力強くも優雅な演技を見せます。カサノヴァを批判しながらも、彼の魅力に揺れる心情を繊細に表現し、ヒロインとしての存在感を発揮しました。彼女の演技は、従来のカサノヴァ映画の女性像を刷新し、独立した女性像を描き出しています。
レナ・オリン(アンドレア役)
フランチェスカの母親アンドレアを演じたレナ・オリンは、娘の幸せを願う母親像を温かく表現します。コメディ要素の強いシーンでも、落ち着いた存在感で物語に安定感を与えました。彼女の演技は、家族愛を強調し、物語の感情的な軸を支えます。
ナタリー・ドーマー(ヴィクトリア役)
富豪の娘ヴィクトリアを演じたナタリー・ドーマーは、若々しくも大胆なキャラクターを魅力的に演じます。カサノヴァに積極的にアプローチするシーンでは、コミカルで愛らしい演技が光ります。彼女の登場は、物語の軽快な雰囲気を高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装は、ジェニー・ビーヴァンによるデザインで、18世紀ヴェネチアの豪華さを反映しています。化粧と髪型も、当時の貴族文化を再現しつつ、キャラクターの個性を際立たせます。
シエナ・ミラー(フランチェスカ)
フランチェスカの衣装は、知的なヒロイン像を強調するものが多いです。男装シーンでは、シンプルな黒のジャケットとズボンで、活動的な印象を与えます。一方、女性らしい場面では、淡いブルーやグリーンのドレスに、繊細なレースや刺繍が施され、優雅さを演出。化粧はナチュラルで、知性と清潔感を強調し、赤みを抑えたリップと控えめなチークが特徴です。髪型は、討論シーンではタイトにまとめられたアップスタイルで、女性らしいシーンではゆるやかなカールで柔らかさを表現しました。
レナ・オリン(アンドレア)
アンドレアの衣装は、落ち着いた色合いのダークグリーンやワインレッドのドレスが中心で、母親としての威厳を表現。ビロードやシルクの生地に、金糸の装飾が施され、時代感を強調します。化粧は、年齢相応の落ち着いたトーンで、薄いファンデーションと控えめなアイメイクが特徴。髪型は、複雑なアップスタイルにパールやリボンをあしらい、貴族の風格を漂わせます。
ナタリー・ドーマー(ヴィクトリア)
ヴィクトリアの衣装は、若さと華やかさを強調するピンクやイエローの鮮やかなドレスが特徴。カーニバルシーンでは、ゴールドの装飾が施されたドレスで目を引きます。化粧は、若々しさを強調する明るいチークとピンクのリップで、華やかな印象。髪型は、ふわっとしたカールにリボンや花を飾り、愛らしい雰囲気を演出しました。
キャスト
- ジャコモ・カサノヴァ:ヒース・レジャー(日本語吹替:東地宏樹)
- フランチェスカ・ブルーニ:シエナ・ミラー(日本語吹替:岡寛恵)
- プッチ司教:ジェレミー・アイアンズ(日本語吹替:松橋登)
- パプリッツィオ:オリヴァー・プラット(日本語吹替:岩崎ひろし)
- アンドレア:レナ・オリン(日本語吹替:一柳みる)
- ルポ・サルヴァト:オミッド・ジャリリ(日本語吹替:仲野裕)
- ジョヴァンニ:チャーリー・コックス(日本語吹替:内田夕夜)
- ヴィクトリア:ナタリー・ドーマー(日本語吹替:高橋理恵子)
- 総督:ティム・マキナニー(日本語吹替:石田圭祐)
スタッフ
- 監督:ラッセ・ハルストレム
- 脚本:ジェフリー・ハッチャー、キンバリー・シミ
- 原案:キンバリー・シミ、マイケル・クリストファー
- 製作:マーク・ゴードン、ベッツィ・ビアーズ、レスリー・ホルラン
- 製作総指揮:スー・アームストロング、アダム・メリムズ、ゲイリー・レヴィンソン
- 撮影:オリヴァー・ステイプルトン
- 編集:アンドリュー・モンドシェイン
- 音楽:アレクサンドル・デスプラ
- 美術:デビッド・グロップマン
- 衣装:ジェニー・ビーヴァン
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