ディカープリは、カプコンの対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズに登場するキャラクター。ベガ親衛隊「Dolls」の一人で、キャミーのクローン。サイコパワーを操り、ダガーを武器に戦う。
生い立ち・教育
ディカープリは、ストリートファイターシリーズにおける悪の組織「シャドルー」が生み出した人工的な存在であり、キャミーのクローンとして作られました。彼女の名前はロシア語で「12月」を意味する「декабрь(Decabr)」に由来するコードネームですが、綴りは「Decapre」とされています。 シャドルーによって製造された12人のベガ親衛隊「Dolls(ドールズ)」の一人で、キャミーの遺伝子を基に作られたため、外見はほぼ瓜二つです。ただし、肌や髪の色素が薄く、感情をあまり表に出さない平坦な口調が特徴です。
ディカープリの生い立ちは、シャドルーの科学技術によって人工的に生み出されたことに始まります。彼女は生まれながらにして戦闘員としての役割を課せられ、通常の人間のような幼少期や教育の機会は与えられませんでした。シャドルーの施設内で、戦闘訓練とサイコパワーの制御に関する厳格なプログラムを通じて育成されました。この過程で、彼女はベガの洗脳下に置かれ、自我を抑圧された状態で忠実に任務を遂行するように仕向けられました。しかし、ディカープリの洗脳は不完全で、極度の興奮状態ではコントロールが効かなくなることがあり、これが彼女の性格に影響を与えています。
教育という観点では、ディカープリは一般的な学問的知識を学ぶ機会はなく、シャドルーによる戦闘技術とサイコパワーの操作に特化した訓練を受けました。彼女の「教育」は、戦場での効率的な戦い方や、敵を迅速に排除するための戦術に限定されており、シャドルーの科学者たちによって施された強化措置により、身体能力やサイコパワーの使用能力が飛躍的に向上しています。特に、両腕に装備されたガントレットから繰り出されるダガーを使った戦闘スタイルは、彼女の訓練の成果と言えるでしょう。
経歴
ディカープリは『ストリートファイターZERO3』で初めて登場し、当初は演出用のサブキャラクターとして扱われていました。この時点では、ベガ親衛隊の一人としての役割が主で、具体的な設定や背景はあまり明かされていませんでした。その後、『ウルトラストリートファイターIV』(以下『ウルIV』)でプレイヤーキャラクターとして正式に参戦し、詳細な設定が追加されました。
『ウルIV』では、ディカープリはシャドルーの総帥ベガの命令に従い、キャミィの抹殺を目的として行動します。彼女の戦闘スタイルは、キャミーと共通の基本モーションを持ちつつ、独自の必殺技である「ラピットダガー」やサイコパワーを用いた飛び道具を駆使するもので、上級者向けのテクニカルなキャラクターとして設計されました。 しかし、彼女の身体は長期間の薬物投与による強化が施されており、薬物が途絶えると生命維持が困難になるという設定が加えられ、シャドルーへの依存度の高さが描かれています。
『ストリートファイターV』(以下『ストV』)では、ディカープリはプレイヤーキャラクターとしては登場せず、ストーリーモードのサブキャラクターとして再登場。キャミーのストーリーでは、彼女と対決する場面があり、シャドルー基地での戦いでは、サイコパワーの供給が停止したことで一時的に自我を取り戻す場面が描かれています。この時点で、彼女の外見は銀髪になり、仮面や衣装も変更され、新たなガントレットでサイコパワーを射出するダガーを使用する姿が描かれました。
『ストリートファイター6』(以下『スト6』)のワールドツアーモードでは、ディカープリのその後の運命が明かされます。シャドルーの崩壊に伴い、ベガ親衛隊は解散し、ディカープリは洗脳から解放されてデルタレッドに所属するようになります。キャミーとの関係も改善し、時には一緒にランチを楽しむなど、和解に至った様子が伺えます。 この変化は、彼女がシャドルーの呪縛から解放され、新たな人生を歩み始めたことを示しています。
私生活
ディカープリの私生活については、ストリートファイターシリーズの公式設定で詳細に語られることはほとんどありません。彼女はシャドルーによって人工的に作られた存在であり、通常の人間のような家庭や個人的な生活を持つ機会は与えられていませんでした。 シャドルーの洗脳下では、任務遂行が彼女の存在意義の全てであり、感情や個人の欲望を表現する余地はほぼなかったと言えます。
しかし、彼女の性格には独特な一面があり、基本的には物静かですが、怒りっぽく、物事が上手くいかないと癇癪を起こすトラブルメーカー的な側面が描かれています。 この性格は、洗脳の不完全さや、サイコパワーの影響による精神的な不安定さに起因していると考えられます。『スト6』でデルタレッドに所属した後は、キャミーとの関係が改善し、日常的な交流を持つようになったことが示唆されていますが、具体的な私生活の詳細は描かれていません。彼女の人生は、戦闘と任務に縛られた過去から、徐々に人間らしい生活を取り戻しつつある段階にあると言えるでしょう。
出演作品
- 『ストリートファイターZERO3』(1998年):演出用のサブキャラクターとして初登場。ベガ親衛隊の一人として、ユーリやユーニと共に登場するが、プレイヤーキャラクターとしては使用不可。
- 『ウルトラストリートファイターIV』(2014年):プレイヤーキャラクターとして初参戦。キャミーのクローンとしての設定が追加され、サイコパワーを用いたダガー攻撃やタメ技主体の戦闘スタイルが特徴。
- 『ストリートファイターV』(2016年):ストーリーモードのサブキャラクターとして登場。キャミーとの対決や、シャドルー基地での自我の回復が描かれる。プレイヤーキャラクターとしては使用不可。
- 『ストリートファイター6』(2023年):ワールドツアーモードで言及され、シャドルー解散後にデルタレッドに所属し、キャミーと和解したことが明かされる。直接の登場はなし。
まとめ
ディカープリは、ストリートファイターシリーズにおいて、キャミーのクローンとして生み出されたシャドルーの戦闘員です。サイコパワーを操り、ダガーを武器に戦う彼女は、シャドルーの洗脳下で過酷な運命を背負いましたが、『スト6』でデルタレッドに所属し、新たな人生を歩み始めます。彼女の物語は、自由と自我を取り戻す過程を描いた感動的なもので、シリーズの中でも独特な存在感を持っています。
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