『グッドニュース』は実在のよど号ハイジャック事件をモチーフに、情報機関と空軍が交差するブラックコメディ。1970年、東京を出発した日本の旅客機が赤軍派の若者たちに乗っ取られ、平壌行きを要求されます。ソウルでは正体不明の解決屋が中央情報部の命令を受け、板付空港や金浦国際空港を舞台に奇策を重ねて機体を地上に降ろそうとします。
基本情報
- 邦題:グッドニュース
- 原題:굿뉴스
- 英題:Good News
- 公開年:2025年
- 製作国・地域:韓国
- 上映時間:136分
- ジャンル:サスペンス、アクション、コメディ
女優の活躍
チョン・ドヨンは韓国のファーストレディーとして、物語の終盤近く、上映開始からおよそ100分を過ぎたあたりに数分間だけ登場します。長い作戦の末に事態が一つの局面を迎えた場面で、静かに姿を現し、周囲の空気を一瞬で引き締めます。
声を大きく上げることも、表情を大きく動かすこともありません。短い視線のやり取りと、わずかな頷きだけで、権力の中心にいる人物の存在感を示します。メインの三人(ソル・ギョング、ホン・ギョン、リュ・スンボム)が繰り広げる慌ただしいやり取りのあとで現れるため、その抑制された演技がより際立ちます。
出演時間が極端に短いにもかかわらず、白い装いと落ち着いた所作によって、画面の中で異質な空間を作り出しています。事件の混乱から一歩離れた場所にいる人物として、物語に政治的な奥行きを加えている点が印象的です。
女優の衣装・化粧・髪型
チョン・ドヨンが演じる韓国ファーストレディーの外見は、物語の終盤、上映開始からおよそ100分を過ぎた数分間の登場に限定されています。その短い時間のなかで、衣装・化粧・髪型はすべて「抑えた白」で統一され、周囲の慌ただしさとは異なる静かな空間を作り出しています。
衣装は帽子、イヤリング、ジャケット、手袋、シャツ、スカート、ストッキング、靴に至るまで、すべて白色です。派手な柄や光沢の強い素材は使われず、マットな質感の布地が基調になっています。ジャケットは肩のラインがはっきりしたテーラードで、シャツの襟は控えめに開いています。スカートは膝下の丈で、歩き方に余裕を残すシルエットです。手袋は手首までを覆い、手の動きを最小限に抑える役割を果たしています。ストッキングと靴も白で揃えてあり、足元まで視線が途切れません。全体として、公の場に立つ人物が「整然としていること」そのものを示す装いです。
化粧はかなり抑えめです。肌の色味は自然で、ファンデーションを厚く重ねた痕跡はほとんどありません。アイラインは薄く、マスカラも控えめです。口紅は白に近い肌色寄りで、口の形を強調しません。目元に影を残しつつも、疲れた印象を強く出しすぎないバランスに調整されています。白い衣装の中で顔が浮かないよう、全体のトーンを落としている点が特徴です。
髪型は帽子の下に収められています。顔まわりに髪が落ちてこないよう、耳の後ろと首の後ろでしっかりまとめられており、帽子を被った状態でも輪郭がすっきりと見えます。帽子自体は縁が広くなく、顔を大きく覆うものではありません。白い布地が光を柔らかく反射するなかで、顔の輪郭だけが静かに浮かび上がる構成です。
この装いは、仕事で家庭を顧みる時間がないという言葉が他の人物から出る場面とは対照的に、公的な場で完璧に整えられた姿として機能しています。短い登場時間のなかで、白い装い全体が一つの秩序を示す記号のように働き、チョン・ドヨンの抑制された所作と重なって、画面に静かな重みを残しています。
あらすじ
1970年春、東京の羽田空港を出発した日本の旅客機が、赤軍派を名乗る若者たちに乗っ取られます。彼らは拳銃と刃物を持ち、機体を平壌へ向かわせるよう要求します。日本と北朝鮮の間に直接の着陸ルートがないため、事態は複雑化します。
ソウルでは中央情報部長のパク・サンヒョン(リュ・スンボム)が、正体不明の解決屋「Nobody」(ソル・ギョング)を呼び出します。Nobodyは名前も出自も明かさず、ただ「どうにか機体を韓国の地上に降ろす」ことだけを命じられます。エリート空軍中尉のソ・ゴミョン(ホン・ギョン)も、突然この作戦に巻き込まれます。
板付空港周辺でのやり取りを経て、金浦国際空港を偽の着陸先に見せかける奇策が動き始めます。機長と副操縦士の判断、地上からの無線誘導、情報部の指示が、示し合わせたわけではないまま一本の線につながっていきます。ハイジャック犯たちは北朝鮮へ向かっていると信じたまま、機体はソウル上空へ誘導されます。
地上では空軍と情報部が連携し、犯人たちを欺くための演出が重ねられます。Nobodyは状況を読みながら次々と策を提示し、ソ・ゴミョンは空から地上の「ハイジャック」を実行する役割を担います。緊張が高まる中、機体は金浦の滑走路へ近づいていきます。
物語の終盤、ファーストレディー(チョン・ドヨン)が静かに姿を現します。長い作戦の結果が一つの結論を迎えようとする場面で、彼女の短い登場が、出来事の政治的な意味を静かに示唆します。最終的に機体は無事に着陸し、関係者たちの運命がそれぞれの場所で収束していきます。
解説
本作は1970年に起きた日本航空よど号ハイジャック事件をモチーフにしています。実際の事件では犯人が福岡の板付空港に着陸したのち、北朝鮮へ向かい、関係者が長く北朝鮮に残ることになりました。映画はその事実を出発点にしながら、韓国側が秘密裏に機体をソウルへ誘導しようとする架空の作戦を描いています。
見どころは、板付空港から金浦国際空港へと至る一連の工作が、偶然のように接続していく点です。機長と副操縦士の機内での判断、日本側の運輸省関係者の動き、ソウルで待つソル・ギョング演じるNobodyの指示が、事前に完璧に示し合わせたわけではないまま、一つの流れとして機能します。その危うい連携が、ブラックコメディとしての緊張とユーモアを同時に生み出しています。
監督のビョン・ソンヒョンは『悪の偶像』などで知られる作風を持ち、歴史的事件を娯楽として再構成する手際が光ります。情報機関の冷徹さと、現場の人間の戸惑いを並行して描くことで、国家の論理と個人の行動が交差する様子を浮かび上がらせています。
チョン・ドヨンの登場は物語の終盤に限られますが、白い装いと抑制された演技によって、それまでの慌ただしさとは異なる空気を画面に持ち込みます。事件の当事者たちとは異なる立場から事態を見つめる人物として、短い時間ながら印象を残しています。
Netflixで世界同時公開された本作は、韓国の情報機関と日本の航空事案が交差する珍しい題材を、アクションとコメディの両方の要素で描いています。実在の事件を知る観客にとっては、どこまでが事実でどこからが創作かと考える楽しみもあり、知らない観客にとっては純粋に「どうやって機体を降ろすのか」というサスペンスとして楽しめます。ソル・ギョングがソウルで静かに待つ姿と、空の上の混乱が最終的に一つの着陸へ収束する過程が、作品の熱量を支えています。
キャスト
- ソル・ギョング:Nobody/チェ・ゴミョン
- ホン・ギョン:ソ・ゴミョン(空軍中尉)
- リュ・スンボム:パク・サンヒョン(中央情報部長)
- 山田孝之:石田慎一(日本運輸省関係者)
- 椎名桔平:機長
- キム・ソンオ:副操縦士
- チョン・ドヨン:韓国ファーストレディー
- パク・ヘス:北朝鮮側関係者
- パク・ヨンギュ:韓国政府高官
スタッフ
- 監督・脚本:ビョン・ソンヒョン
- 脚本:イ・ジンソン
- 製作:ハン・ヒソン
- 撮影:チョ・ヒョンレ
- 編集:キム・サンボム
- 音楽:キム・ホンジプ、イ・ジンヒ
- 美術:ハン・アルム
- 衣装:チョ・ヒラン
- 製作会社:スタープラチナム
- 配給:Netflix



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