「ハロウィン H20」は1998年のアメリカのホラー映画で、ハロウィンシリーズ第7作。20年後の続編として、ジェイミー・リー・カーティス演じるローリー・ストロードが再登場。殺人鬼マイケル・マイヤーズと対決する。ほかにジョディ・リン・オキーフやジャネット・リーらが出演。
基本情報
- 邦題:ハロウィン H20
- 原題:HALLOWEEN H20: 20 YEARS LATER
- 公開年:1998年
- 製作国:米国
- 上映時間:86分
- ジャンル:ホラー
見どころ
ジェイミー・リー・カーティスが『ブギーマン』から20年後のローリー・ストロードを演じ、ジョシュ ハートネットが本作でスクリーンデビュー。忍び寄る恐怖に背筋が凍る。
あらすじ
1978年のハロウィンの惨劇から20年、殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹であるローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)は、自身の死を偽装し「ケリー・テイト」としてカリフォルニアの全寮制私立高校で教頭として暮らしています。息子のジョン(ジョシュ・ハートネット)と平凡な生活を送る中、彼女は過去のトラウマからアルコール依存症に悩み、マイケルが再び現れる恐怖に怯えています。1998年10月29日、マイケルはローリーの居場所を突き止め、彼女が働くヒルクレスト・アカデミーに侵入。ほとんどの生徒と教職員がヨセミテへの旅行で不在の中、ジョンとその友人たちが校内でハロウィンパーティーを計画していることを知ったローリーは、不安を覚えます。ハロウィンの夜、マイケルが校内に現れ、次々と犠牲者を出しながらローリーとジョンに迫ります。ローリーは恋人のウィル(アダム・アーキン)や警備員のロニー(LL・クール・J)と共に、マイケルとの最後の戦いに挑みます。壮絶な対決の末、ローリーはマイケルを倒し、過去と向き合う決意を固めます。
解説
「ハロウィン H20」は、ジョン・カーペンター監督のオリジナル「ハロウィン」(1978年)と「ハロウィンII/ブギーマン」(1981年)の直接の続編として位置づけられ、シリーズ3作目から6作目までの「ソーン・タイムライン」を無視したソフトリブート作品です。20周年記念として制作され、ジェイミー・リー・カーティスが17年ぶりにローリー役で復帰したことで話題となりました。本作は、単なるスラッシャー映画を超え、トラウマと向き合う女性の強さを描いた作品として評価されています。ローリーのキャラクターは、過去の恐怖から逃れるため新たなアイデンティティで生きるも、依然としてマイケルの影に苦しむ姿が描かれ、彼女の内面的な葛藤と成長が物語の核となっています。監督のスティーヴ・マイナーは、ホラーとドラマのバランスを巧みに取り、緊張感ある演出で観客を引き込みます。また、1990年代のホラー映画ブーム、特に「スクリーム」の影響を受け、若手俳優の起用やポストモダンな要素も取り入れられています。興行収入は1700万ドルの製作費に対し全世界で7500万ドルを記録し、シリーズ最高の収益を上げました。しかし、オリジナルと比較してストーリーの単純さやキャラクターデザインの薄さが指摘される一方、ローリーの決着とジェイミー・リー・カーティスの迫真の演技は高く評価されています。
女優の活躍
ジェイミー・リー・カーティス(ローリー・ストロード/ケリー・テイト役)
本作の最大の魅力は、ジェイミー・リー・カーティスの復帰とその圧倒的な演技力です。ローリー役で「元祖絶叫クイーン」として知られる彼女は、トラウマに苛まれる女性としての繊細さと、マイケルと対峙する際の力強さを両立させ、物語に深みを与えました。特に、クライマックスのマイケルとの対決シーンでは、恐怖と決意が交錯する表情が印象的で、観客に強い感情移入を促します。彼女の演技は、単なるホラー映画のヒロインを超え、過去と向き合う人間ドラマを体現しており、批評家からも「シリーズ最高の演技」と称賛されました。カーティスの存在感は、若いキャスト陣の中でも際立ち、作品の成功に大きく貢献しています。
ミシェル・ウィリアムズ(モリー・カートウェル役)
ジョン・テイトの恋人役を演じたミシェル・ウィリアムズは、本作で若手女優としての存在感を示しました。モリーは典型的なスラッシャー映画の犠牲者ではなく、知性と勇敢さを兼ね備えたキャラクターとして描かれ、ウィリアムズの自然体な演技がその魅力を引き立てています。彼女は限られた出番の中で、恐怖に立ち向かう姿をリアルに表現し、特にマイケルに襲われるシーンでの叫び声や表情は、ホラー映画の緊張感を高めました。ウィリアムズはこの後、「ドーソンズ・クリーク」でブレイクし、後にアカデミー賞候補となるなど、キャリアの第一歩としての本作での活躍が光ります。
ジャネット・リー(ノーマ・ワトソン役)
ジェイミー・リー・カーティスの実母であるジャネット・リーが、ローリーの秘書ノーマ役でカメオ出演しています。ジャネットは「サイコ」(1960年)のシャワーシーンで知られる伝説的女優であり、母娘共演はファンにとって特別な瞬間でした。彼女の登場は短いながらも温かみのある演技で、ローリーに母親らしい助言を与えるシーンは、物語に感動的な要素を加えています。また、彼女の車が「サイコ」と同じモデルで、バックにバーナード・ハーマンの音楽が流れるなど、映画史へのオマージュも話題となりました。
ジョディ・リン・オキーフ(サラ・ウェインスロープ役)
サラ役のジョディ・リン・オキーフは、チャーリーの恋人として登場し、若者らしい活気とユーモアを作品に注入しました。彼女の演技は、ホラー映画の典型的な「犠牲者」役に留まらず、友達思いの性格や危機的状況での反応を通じてキャラクターに個性を与えています。オキーフのスクリーン上での存在感は、1990年代のティーン向けホラー映画の雰囲気を反映しており、観客に親しみやすさを与えました。
女優の衣装・化粧・髪型
ジェイミー・リー・カーティス
ローリー/ケリー・テイトの衣装は、教頭としてのプロフェッショナルな立場を反映しつつ、彼女の内面的な不安定さを表現しています。主にダークトーンのスーツやブレザー、シンプルなブラウスを着用し、落ち着いた色合い(ネイビー、グレー、ブラック)が中心です。これにより、過去を隠し新たな人生を築こうとする彼女の心情が強調されています。化粧は控えめで、ナチュラルなファンデーションと薄いリップカラーを使用し、ストレスとアルコール依存による疲れをほのめかすやつれた表情が特徴的です。髪型はショートカットのボブで、黒髪にわずかなハイライトが入り、知的で洗練された印象を与えます。クライマックスでは、アクションシーンに合わせて動きやすいパンツとシャツに変わり、ファイナルガールとしての力強さが際立ちます。
ミシェル・ウィリアムズ
モリーの衣装は、1990年代のティーンエイジャーらしいカジュアルなスタイルで、ジーンズ、Tシャツ、チェック柄のシャツやスウェットが登場します。これらは当時の若者文化を反映し、親しみやすいキャラクター像を構築。化粧はほぼスッピンに近いナチュラルメイクで、若々しさと純粋さを強調。髪型はロングのストレートヘアで、ブラウンに軽いウェーブがかかり、ホラー映画のヒロインとしての可憐さが表現されています。彼女の衣装は、逃走シーンでの動きやすさも考慮され、機能的かつ時代感のあるデザインです。
ジャネット・リー
ノーマの衣装は、秘書としてのフォーマルな印象を与える膝丈のスカートとカーディガンで、クラシックで上品なスタイル。色はベージュやグリーン系で、落ち着いた大人の女性らしさを演出しています。化粧は控えめで、ナチュラルなリップとアイメイクが施され、年齢に合ったエレガントな雰囲気。髪型はショートで軽くカールしたスタイルで、ジャネット自身の往年のスターイメージを彷彿とさせます。彼女の登場は短いながらも、衣装とメイクが映画のノスタルジックな要素を強化しています。
ジョディ・リン・オキーフ
サラの衣装は、モリー同様に1990年代のティーンファッションを反映し、クロップトップやカーゴパンツなど、トレンディで少し大胆なスタイルが特徴です。化粧は明るいリップカラーとアイラインで、若々しく少し派手な印象を与え、ギャルっぽいキャラクター性を強調。髪型はロングでゆるいウェーブがかかったダークブラウンの髪で、パーティーシーンでの活発さが表現されています。彼女のスタイルは、ホラー映画の典型的な「犠牲者」役に活気を与え、視覚的な魅力となっています。
キャスト
- ジェイミー・リー・カーティス:ローリー・ストロード/ケリー・テイト
- ジョシュ・ハートネット:ジョン・テイト
- アダム・アーキン:ウィル・ブレナン
- ミシェル・ウィリアムズ:モリー・カートウェル
- LL・クール・J:ロニー・ジョーンズ
- ジョディ・リン・オキーフ:サラ・ウェインスロープ
- アダム・ハン=バード:チャーリー・デヴェロー
- ジャネット・リー:ノーマ・ワトソン
- ジョセフ・ゴードン=レヴィット:ジミー・ハウエル
- ナンシー・スティーヴンス:マリオン・チェンバース=ウィッティントン
- クリス・デュランド:マイケル・マイヤーズ
スタッフ
- 監督:スティーヴ・マイナー
- 脚本:ロバート・ザッピア、マット・グリーンバーグ
- 原案:ロバート・ザッピア
- 原作キャラクター:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
- 製作:ポール・フリーマン
- 製作総指揮:ムスタファ・アッカド、ケイリー・グラナット、ケヴィン・ウィリアムソン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
- 撮影:ダリン・オカダ
- 編集:パトリック・ルシア
- 音楽:ジョン・オットマン、テーマ曲:ジョン・カーペンター
- 製作会社:ディメンション・フィルムズ、トランカス・インターナショナル
- 配給:ディメンション・フィルムズ(米国)、パイオニアLDC(日本)
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