『マスターズ・オブ・セックス』（Masters of Sex）は2013年から2016年に米Showtimeで放送された実話ベースのドラマ。性科学の先駆者ウィリアム・マスターズ博士とバージニア・ジョンソンの研究と私生活を描き、性のタブーに挑む。
基本情報
- 邦題：マスターズ・オブ・セックス
- 原題：Masters of Sex
- 公開年：2013年
- 製作国：米国
あらすじ
1956年、ミズーリ州セントルイスのワシントン大学病院に勤務する産科医ウィリアム・マスターズ博士は、ヒトの性に関する革新的な研究を志す。しかし、当時の保守的な社会では性研究はタブーとされ、大学上層部の支援を得るのが難しい。そんな中、マスターズは離婚歴があり2児の母であるバージニア・ジョンソンを秘書として雇う。彼女は仕事に野心的で、セックスに対してオープンな考えを持つ女性で、マスターズの研究に最適なパートナーだった。二人は被験者の性行為を観察し、生理的データを収集する大胆な実験を開始。研究は次第に注目を集めるが、周囲の偏見や道徳的批判に直面する。マスターズとバージニアは、研究を通じて複雑な関係を築き、個人的な問題やロマンスも絡み合いながら、性の革命を牽引していく。彼らの研究は最終的にタイム誌の表紙を飾るほどの影響力を持ち、1960年代の欧米社会に「性の革命」をもたらす。
解説
『マスターズ・オブ・セックス』は、トーマス・マイヤーの同名伝記を基に、ミシェル・アシュフォードが開発した作品で、性科学の先駆者ウィリアム・マスターズとバージニア・ジョンソンの実話を描く。1950年代から60年代のアメリカ社会を背景に、性に関するタブーに挑戦した二人の姿を通じて、当時の文化的・社会的変化を浮き彫りにする。ドラマは、科学的な探求心と人間関係の複雑さを巧みに織り交ぜ、心理描写や時代背景の再現に力を入れる。特に、1950年代の保守的な価値観と、性の解放を求める新しい動きの衝突を丁寧に描き、視聴者に深い考察を促す。ゴールデングローブ賞やエミー賞にノミネートされるなど、批評家からも高い評価を受けた。物語は、研究の進展と共に、マスターズとバージニアの私生活や周囲の人物たちの葛藤も掘り下げ、単なる伝記ドラマを超えた人間ドラマとして展開する。視覚的にも、時代に合わせた衣装やセットの再現が精緻で、視聴者を当時の世界に引き込む。
女優の活躍
本作では、リジー・キャプランが演じるバージニア・ジョンソンが特に際立つ。キャプランは、シングルマザーでありながら野心的な研究者としてのバージニアを、知的かつ感情豊かに演じ、批評家から絶賛された。彼女の演技は、バージニアの複雑な内面—仕事への情熱、母親としての責任、恋愛における葛藤—を見事に表現。特に、マスターズとの関係が深まる過程での微妙な感情の変化を繊細に演じ、ドラマの中心的な魅力となっている。ケイトリン・フィッツジェラルド演じるリビー・マスターズも、夫の研究に理解を示しつつも、不妊や家庭内の疎外感に悩む女性として印象的な演技を見せる。アナリー・アシュフォードのベティ・ディメロは、元娼婦という背景を持ちながらユーモアと人間味を兼ね備えたキャラクターで、物語に軽快なリズムを加えた。ヘレーネ・ヨークのジェーン・マーティンも、研究の被験者として参加する女性として、コミカルかつ大胆な演技で視聴者を魅了した。女優陣は、それぞれの役柄を通じて、1950年代の女性が直面した社会的制約や自己実現への闘いを体現している。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装、化粧、髪型は、1950年代から60年代のアメリカを忠実に再現し、視覚的な魅力の一つとなっている。バージニア・ジョンソン（リジー・キャプラン）は、プロフェッショナルな研究者としてタイトなスカートやブラウスを着用し、洗練されたスタイルを強調。彼女の衣装は、鮮やかな色合いやフィット感のあるデザインで、時代の女性らしさと現代的な自立心を融合させている。化粧はナチュラルで、控えめなリップとアイラインが中心だが、シーンによっては赤い口紅で大胆さを演出。髪型は、ゆるやかなウェーブやアップスタイルで、知的かつフェミニンな印象を与える。リビー・マスターズ（ケイトリン・フィッツジェラルド）は、上流階級の主婦らしいエレガントなドレスやパステルカラーの衣装をまとい、柔らかなメイクとボリュームのあるカールヘアで、時代特有の家庭的な美しさを表現。ベティ・ディメロ（アナリー・アシュフォード）は、派手な色使いや大胆な柄のドレスで、元娼婦の背景を反映しつつ、個性的な魅力を放つ。彼女のメイクは濃いアイシャドウや鮮やかなリップで、髪型はボブやポニーテールで遊び心を加えている。これらの衣装・化粧・髪型は、キャラクターの個性や社会的立場を強調し、物語の時代背景を視覚的に補強する役割を果たしている。
キャスト
- マイケル・シーン（ウィリアム・マスターズ博士）：性研究の先駆者で、感情を抑えた科学者。
- リジー・キャプラン（バージニア・ジョンソン）：野心的なシングルマザーで、マスターズの共同研究者。
- ケイトリン・フィッツジェラルド（リビー・マスターズ）：マスターズの妻で、不妊に悩む女性。
- アナリー・アシュフォード（ベティ・ディメロ）：元娼婦で研究の被験者、ユーモア溢れる存在。
- テディ・シアーズ（オースティン・ランガム博士）：マスターズの同僚で被験者。
- ニコラス・ダゴスト（イーサン・ハース博士）：若手医師でバージニアに惹かれる。
- ボー・ブリッジス（バートン・スカリー）：大学副学長、自身の秘密を抱える。
- ヘレーネ・ヨーク（ジェーン・マーティン）：研究被験者で明るい性格の大学職員。
- アリソン・ジャネイ（マーガレット・スカリー）：スカリーの妻、性生活に不満を抱く。
- ジュリアンヌ・ニコルソン（リリアン・デポール博士）：産婦人科の女医、バージニアと対立。
スタッフ
- ミシェル・アシュフォード（クリエイター／エグゼクティブプロデューサー）：シリーズ全体の開発と脚本を担当。
- トーマス・マイヤー（原作／プロデューサー）：伝記『マスターズ・オブ・セックス』の著者。
- ジョン・マッデン（監督／プロデューサー）：シーズン1の主要エピソードを監督。
- マイケル・アプテッド（監督）：複数のエピソードを演出、シリーズ最多参加。
- サラ・ティンバーマン（エグゼクティブプロデューサー）：製作総指揮を担当。
- カール・ビバリー（エグゼクティブプロデューサー）：製作全体を統括。
- ジュディス・バーノ（エグゼクティブプロデューサー）：製作に貢献。
- スザンナ・ホワイト（監督）：視覚的なスタイルを確立。
- エスタ・スポルディング（脚本）：心理描写の深い脚本を提供。
- アダム・バーンスタイン（監督）：ドラマの感情的なシーンを演出。
レビュー 作品の感想や女優への思い