『マインドホーン』は、2016年公開の英国製コメディ映画。監督はショーン・フォーリー、主演はジュリアン・バラット。80年代の人気ドラマ俳優が、自身の演じた刑事役を再び演じ、殺人事件の解決に挑むコメディ。笑いとノスタルジーを織り交ぜた作品で、Netflixで配信中。
基本情報
- 邦題:マインドホーン
- 原題:Mindhorn
- 公開年:2016年
- 製作国:英国
- 上映時間:89分
あらすじ
1980年代、リチャード・ソーンクロフト(ジュリアン・バラット)は、テレビドラマ『マインドホーン』で、嘘を見抜く義眼を持つ刑事ブルース・マインドホーンを演じ、一世を風靡しました。しかし、華々しいキャリアは長続きせず、25年後の現在、彼は仕事に恵まれず、広告業界で冴えない日々を送っています。そんなある日、マン島で起きた殺人事件の容疑者ポール・メリー(ラッセル・トーヴィ)が、マインドホーン本人としか話さないと主張。警察はリチャードを呼び寄せ、彼にマインドホーンとして犯人と交渉する役割を依頼します。過去の栄光を取り戻すチャンスと意気込むリチャードですが、元恋人で女優のパトリシア(エッシー・デイヴィス)、かつてのライバル俳優ジェフリー(リチャード・マッケイブ)、そして予想外の展開に翻弄され、事件はコミカルな混乱へと発展します。果たして、リチャードはマインドホーンとして事件を解決し、名声を取り戻せるのか?
解説
『マインドホーン』は、80年代のテレビドラマやカルト的なポップカルチャーを愛情たっぷりにパロディ化したコメディ映画です。主人公リチャードの自己中心的で少し哀れなキャラクターは、かつてのスターが直面する現実と虚構のギャップをユーモラスに描き出します。監督のショーン・フォーリーは、演劇出身の経験を生かし、過剰な演技や誇張された状況を通じて笑いを誘います。本作は、ジュリアン・バラットとサイモン・ファーナビーの脚本によるもので、彼らのコメディユニット「マイティ・ブーシュ」のファンにはおなじみの、風変わりでシュールなユーモアが随所に散りばめられています。
物語の舞台であるマン島は、映画に独特の閉鎖的な雰囲気を与え、80年代のノスタルジーと現代の現実が交錯する舞台装置として機能します。また、映画は単なるコメディにとどまらず、自己認識や過去との向き合い方といったテーマを軽妙に扱い、観客に深い共感を呼び起こします。批評家からは、ユーモアと心温まる瞬間がバランスよく融合していると評価され、Filmarksでは平均3.3点(279件のレビュー)と、気軽に楽しめる作品として好評です。
本作は日本では劇場公開されず、Netflixでの配信を通じて視聴可能です。この点も、現代の映画消費の変化を反映しており、カルト的な人気を獲得する要因となっています。
女優の活躍
『マインドホーン』には、エッシー・デイヴィスとアンドレア・ライズボローが主要な女性キャストとして出演し、それぞれ独自の魅力で作品に貢献しています。
エッシー・デイヴィス(パトリシア・デビル役)
オーストラリア出身のエッシー・デイヴィスは、リチャードの元恋人で、現在はジャーナリストとして活躍するパトリシアを演じます。彼女の演技は、知的で自立した女性像を体現しつつ、リチャードとの過去の関係を通じてコミカルな掛け合いを見せます。デイヴィスは、映画『ババドック 暗闇の魔物』(2014年)でのシリアスな演技で知られていますが、本作ではコメディエンヌとしての才能を存分に発揮。特に、リチャードの自己中心的な振る舞いに対する鋭いツッコミや、微妙な感情の揺れを表現するシーンで、物語に深みと笑いをもたらします。彼女の存在感は、物語の感情的な軸を支え、単なるコメディ以上の魅力を作品に与えています。
アンドレア・ライズボロー(DCベインズ役)
イギリス出身のアンドレア・ライズボローは、マン島警察の新人刑事ベインズを演じます。彼女のキャラクターは、リチャードのマインドホーンに対する真剣な姿勢と、事件解決への熱意をコミカルに表現。ライズボローは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)や『オビリビオン』(2013年)での演技で国際的に評価されており、本作でもその実力を発揮。ベインズの若々しさと少し抜けた魅力は、リチャードの滑稽な行動との対比で笑いを誘い、観客に新鮮な印象を与えます。彼女の演技は、物語の軽快なトーンを維持する重要な要素です。
女優の衣装・化粧・髪型
『マインドホーン』の女優たちの衣装、化粧、髪型は、キャラクターの個性と物語の時代背景を反映し、視覚的なユーモアやノスタルジーを強調しています。
エッシー・デイヴィス(パトリシア・デビル)
パトリシアの衣装は、ジャーナリストとしての現代的で実用的かつ洗練されたスタイルが特徴です。カジュアルなジャケットやシャツ、ジーンズといった装いは、彼女の自立した性格を反映し、80年代の派手なファッションとは対照的です。化粧はナチュラルで、控えめなファンデーションとリップを用い、プロフェッショナルな雰囲気を強調。髪型は、肩までの長さの自然なウェーブヘアで、落ち着いたブラウントーンが採用され、派手さを抑えた大人の女性像を表現しています。彼女のルックは、リチャードの時代遅れなスタイルとの対比で、現代と過去のギャップを視覚的に示します。
アンドレア・ライズボロー(DCベインズ)
新人刑事ベインズの衣装は、警察の制服やカジュアルな刑事スタイルが中心。制服シーンでは、標準的なイギリス警察のユニフォーム(ダークブルーのジャケットと白いシャツ)を着用し、彼女の真面目で少し不器用な性格を強調。非番のシーンでは、シンプルなセーターやコートを選び、若々しさと親しみやすさを演出しています。化粧はほぼスッピンに近く、フレッシュで自然体な印象。髪型は、ショートカットのボブで、明るいブロンドが彼女の活発なキャラクターを際立たせます。このスタイルは、80年代のマインドホーンと現代の現実をつなぐ橋渡し役として、視覚的に効果的です。
全体として、女優たちの衣装や髪型は、物語のコメディ要素を損なわず、キャラクターの個性を引き立てる工夫がされています。特に、80年代の派手なファッション(リチャードの革ジャンや派手なシャツ)と現代のシンプルなスタイルの対比が、視覚的なユーモアを生み出しています。
キャスト
- ジュリアン・バラット(リチャード・ソーンクロフト / ブルース・マインドホーン):主人公で、落ちぶれた元スター俳優。コミカルで少し哀愁漂う演技が光る。
- エッシー・デイヴィス(パトリシア・デビル):リチャードの元恋人でジャーナリスト。知的でユーモラスな演技で物語を牽引。
- アンドレア・ライズボロー(DCベインズ):新人刑事。フレッシュで少し抜けた魅力でコメディを盛り上げる。
- ラッセル・トーヴィ(ポール・メリー):殺人事件の容疑者。狂気と純粋さを併せ持つキャラクターを熱演。
- リチャード・マッケイブ(ジェフリー・モンクリーフ):リチャードのライバル俳優。誇張された演技で笑いを誘う。
- サイモン・ファーナビー(クライヴ・パートリッジ):リチャードのマネージャー役で、共同脚本も担当。
- ケネス・ブラナー(本人役):カメオ出演。映画にスター性を加える。
- サイモン・キャロウ(本人役):カメオ出演で、物語にユーモラスな彩りを添える。
スタッフ
- 監督:ショーン・フォーリー…演劇出身の監督で、本作が長編映画デビュー作。コメディと人間ドラマのバランスを巧みに演出。
- 脚本:ジュリアン・バラット、サイモン・ファーナビー…「マイティ・ブーシュ」のコンビによる、ユーモアとノスタルジーに満ちた脚本。
- 製作総指揮:スティーヴ・クーガン、リドリー・スコット…コーガンのコメディセンスとスコットの製作手腕が作品の質を高める。
- 撮影:デヴィッド・ルーサー…マン島の風景を活かし、80年代のレトロな雰囲気と現代のコントラストを表現。
- 音楽:デヴィッド・アーノルド、マイケル・プライス…80年代風のシンセサイザー音とコミカルなスコアで、作品の雰囲気を盛り上げる。
- 編集:マーク・エヴァーソン…テンポの良い編集で、コメディの軽快さを維持。
まとめ
『マインドホーン』は、80年代のテレビ文化を愛情たっぷりにパロディしつつ、落ちぶれた俳優の再起を描く心温まるコメディです。エッシー・デイヴィスとアンドレア・ライズボローの活躍は、物語に深みと笑いをもたらし、衣装や髪型はキャラクターの個性を強調。ジュリアン・バラットを中心としたキャストと、ショーン・フォーリーの軽妙な演出が、ノスタルジーと現代のユーモアを見事に融合させています。Netflixで気軽に楽しめる本作は、コメディファンや80年代カルチャー愛好者に特におすすめです。
レビュー 作品の感想や女優への思い