夜の青春シリーズは、1965年から1968年にかけて東映が製作・配給した映画シリーズで、全8作品から構成されています。このシリーズは、ネオンきらめく大都会の夜の盛り場を舞台に、色と欲につかれた男と女の姿を生々しく描いた成人指定の作品群。
主演の梅宮辰夫が、女を自由自在に操る色事師としてハマリ役となり、反響を呼びました。以降の作品では、さまざまな夜の職業や人間関係を通じて、欲望と葛藤をテーマにしています。シリーズの多くがモノクロ・シネマスコープで撮影され、当時の社会の裏側を赤裸々に表現した点が特徴です。
シリーズの特徴と背景
このシリーズは、売春や美人局、バー経営、レズビアンバーなど、夜の街に寄生する人間たちの生態を非情に描いています。第1作『ひも』から始まり、4年間に8作品が公開されました。脚本は主に成沢昌茂が担当し、監督は関川秀雄や村山新治が務めています。
豪華女優陣として緑魔子や大原麗子が出演し、梅宮辰夫の色男ぶりが遺憾なく発揮されています。公開から半世紀以上経った現在、初ソフト化されたDVDコレクションとして復刻されており、映画史的な価値を有しています。
作品リスト
ひも（1965年1月公開）
監督：関川秀雄、脚本：成沢昌茂、小野竜之助。主演：梅宮辰夫、緑魔子、春川ますみ、中原早苗、ロミ・山田。売春の元締めで食っていくやくざの生態を描いた第1作。成人指定。
いろ（1965年6月公開）
監督：村山新治、脚本：成沢昌茂。主演：梅宮辰夫、緑魔子、中西杏子、大原麗子、木村俊恵、春川ますみ。女客をたらしこんで金を引き出すマンモスバーのバーテンを主人公に据えた作品。成人指定。
ダニ（1965年8月公開）
監督：関川秀雄、脚本：下飯坂菊馬。主演：梅宮辰夫、北あけみ、大原麗子、金子勝美、宮園純子、香月美奈子、杉浦直樹。次々と女をひっかけてカモを探して稼ぎまくる“美人局”を描いた作品。成人指定。
かも（1965年10月公開）
監督：関川秀雄、脚本：成沢昌茂。主演：梅宮辰夫、緑魔子、北原しげみ、大原麗子、国景子、原知佐子。女をカモってはホステスとして売り歩く男を主人公とした作品。成人指定。
夜の悪女（1965年12月公開）
監督：村山新治、脚本：成沢昌茂。主演：梅宮辰夫、緑魔子、大原麗子、城野ゆき、関千恵子、久里千春。大都会の裏側に寄生するガイドクラブを通じた人間葛藤を描いた作品。成人指定。
夜の牝犬（1966年2月公開）
監督：村山新治、脚本：成沢昌茂。主演：梅宮辰夫、緑魔子、大原麗子、千葉真一。金のためならどんなことでもする男と女の欲望にまみれた物語。成人指定。
赤い夜光虫（1966年6月公開）
監督：村山新治、脚本：成沢昌茂。主演：梅宮辰夫、緑魔子、大原麗子、谷隼人。レズビアン・バーで働く女たちの生態を非情に描いた作品。成人指定。
夜の手配師（1968年4月公開）
監督：村山新治、脚本：下飯坂菊馬。主演：梅宮辰夫、城野ゆき、稲垣美穂子、伴淳三郎。ネオン街に生きる男女のセックスと欲の葛藤を生々しく描いた最終作。
主なスタッフとキャスト
シリーズ全体を通じて、主演の梅宮辰夫が一貫して登場し、緑魔子や大原麗子が頻繁に共演しています。監督は関川秀雄（3作品）と村山新治（5作品）が主で、脚本は成沢昌茂が6作品を担当しています。これらのスタッフとキャストの組み合わせが、シリーズの統一されたトーンを形成しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い