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マイアミ・デイド警察の麻薬捜査:『The Rip』の背後にある実話

Netflixで2026年1月16日にプレミア公開されたクライムスリラー映画『Rip/リップ』は、マット・デイモンとベン・アフレックが主演を務め、監督・脚本をジョー・カーナハンが手がけた作品です。この映画は、2016年に実際に起きた警察の麻薬捜査事件を基に制作されており、単なるアクション映画ではなく、巨額の現金がもたらす人間の心理的な葛藤や忠誠心の試練を描いた深いドラマとなっています。

以下では、この実話を基にした事件の経緯、関与した人物、映画への影響を、時系列を追いながら詳しく丁寧に解説します。なお、この解説はおもに、Time Magazineの記事に基づいています。

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実在の事件の背景:長年にわたる麻薬密売捜査

事件の舞台は、2016年6月29日のアメリカ合衆国フロリダ州マイアミ・レイクスです。この日は、マイアミ・デイド警察の麻薬捜査チーム(narcotics team)が、南フロリダからテネシー州に広がる大麻密売ネットワークを摘発するための最終的な捜索令状を実行した日でした。捜査の中心となったのは、クリス・カシアーノ警官と彼のチームです。彼らは、数年に及ぶ徹底した捜査を通じて、このネットワークを追跡していました。

捜査の起点と対象者

ターゲットは、ルイス・エルナンデス・ゴンサレスという人物で、彼は北マイアミでガーデニング用品店「Blossom Experience」を経営していました。この店は表向きは普通の園芸店ですが、実際には大麻栽培者たちが頻繁に訪れるフロントビジネス(隠れ蓑の事業)として疑われていました。捜査の歴史は長く、2005年にはDEA(米国薬物取締局)が彼の店で大麻販売に関する議論を監視していましたが、十分な証拠がなく起訴に至りませんでした。2010年には、機密情報源が彼の大麻栽培技術についての会話を録音しましたが、これも起訴につながりませんでした。

突破口のきっかけ

2016年に入り、ワイヤータップ(盗聴)でエルナンデス・ゴンサレスが南フロリダの密売者たちに大麻栽培のアドバイスを与えていることが明らかになりました。さらに、連邦捜査官がテネシー州で逮捕した人物と彼のつながりが判明。これにより、まず店舗に対する捜索令状が発行され、次に彼の自宅(マイアミ・レイクス169th Terraceの家)への捜索が決定しました。この家は、ヤシの木が並ぶ静かな住宅街に位置し、外見からは何の異常も感じさせない普通の一軒家でした。

捜査の手法は多岐にわたり、監視、機密情報源の活用、ワイヤータップ、州をまたいだ法執行機関の連携が鍵となりました。このような地道な努力が、事件のクライマックスである自宅突入につながったのです。

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突入の瞬間と驚きの発見:巨額の現金と隠し部屋

捜索令状の実行当日、カシアーノ警官率いるチームは、現金探知犬を伴って家に突入しました。犬はすぐに「alerting」(異常を感知し、尿でマーキングする行動)を示し、家の中に多額の現金が隠されていることを示唆しました。

隠し部屋の発見

屋根裏部屋を調べると、ホームデポで購入された24個のオレンジ色のプラスチック製バケツが壁の中に隠されているのが見つかりました。これらのバケツはそれぞれ100ドル札の束で詰め込まれており、合計で約2400万ドル(日本円で約35億円相当)の現金でした。これはマイアミ・デイド警察史上最大の現金押収額となりました。映画ではこの金額を2000万ドルに調整していますが、基本的な設定は実話に基づいています。

他の押収物

バケツの隣には、大麻の品種「Chernobyl」と「Super Skunk」、4種類の合成アナボリックステロイド、そして装填済みのTEC-9拳銃が置かれていました。壁は巧妙に偽装されており、庭のレーキの柄から伸びるケーブルが隠し扉を開く仕組みでした。チームはスレッジハンマー(大きなハンマー)を使って壁を壊し、バケツを引き抜きました。

この発見の瞬間は、映画の核心部分を形成しています。映画では、探知犬の台詞「There has to be a lot more money inside」(もっとたくさんのお金があるはずだ)がほぼそのまま使われており、緊張感あふれるシーンとして再現されています。

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押収後の厳しい現実:カウントの苦難とリスク

現金の発見後、チームは警察の規定に従って現場で手作業で現金を2回数えなければなりませんでした。これが数時間、時には1日以上に及ぶ作業となり、チームを家の中に閉じ込めました。

心理的なプレッシャー

住宅街という場所柄、突入の様子は監視カメラに捉えられる可能性が高く、密売組織の仲間が現金を取り戻しに来るリスクがありました。カシアーノ警官は「誰かが金を取りに来るかもしれない」と直感し、チーム全員が標的になる恐怖を感じました。それでも、誰も1ドルも持ち去ることなく作業を完了し、記録的な押収を達成しました。

エルナンデス・ゴンサレスの末路

彼は当初、州裁判所で大麻密売とマネーロンダリングの罪で起訴されましたが、連邦捜査で銀行預金の構造化(検知を避けるための小額分割預金)が発覚。2018年に金融関連犯罪で65ヶ月の懲役判決を受けました。

この部分が映画のテーマの中心で、現金が視界にある中で誘惑に耐え、忠誠心を保つ人間ドラマが描かれています。カーナハン監督は、カシアーノ警官の言葉「その金額の金は魂に暗い影響を与える」を基に、物語を構築しました。

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映画へのインスピレーション:実話からフィクションへの進化

この事件は、カーナハン監督が2020年の映画『Bad Boys for Life』でカシアーノ警官と協力した際に聞いた話から着想を得ました。カーナハンはこのエピソードを基に脚本を執筆し、友情や人間関係の深みを加えました。

悲劇の影響

2021年、カシアーノ警官の幼い息子ジェイクが癌で亡くなるという悲劇が発生。これが脚本に大きな変化をもたらしました。カーナハンは、デイモンのキャラクター(ダン・デュマース中尉)に息子の喪失を組み込み、物語をより個人的で感情的なものにしました。映画はジェイクに献呈され、エンドクレジットで彼の名前が最初に登場します。

キャスティングと製作過程

脚本完成後、デイモンとアフレックの製作会社Artists Equityに提案。アフレックは24時間以内に参加を決めました。二人はボストン出身の幼馴染みで40年以上の友情があり、映画内の階層関係(デイモンが新任リーダー、アフレックが古株の部下)を自然に演じました。他のキャストにはスティーヴン・ユン、テヤナ・テイラー、カタリナ・サンディノ・モレノ、カイル・チャンドラーが出演。実在のエルナンデス・ゴンサレスは、映画では若い女性デシ(サシャ・カレ演じる)に置き換えられています。

リアリティの追求

デイモンとアフレックはマイアミ警察を訪れ、実際の警官をシャドウイング(追跡観察)。セットではカメラを回し続け、自然なやり取りを再現。背景に実在の警官を配置し、リアリティを高めました。一つのシーンでは、40分の即興議論で2ページの脚本を2言に短縮するなど、柔軟なアプローチが取られました。

映画のテーマは「金が止まった後の人間性」—友情、選択、逆境下でのキャラクター—に焦点を当て、観客に自身の大切な人や失ったものを振り返らせる内容となっています。カーナハンは、これを「絶対的な大規模コップ映画」として娯楽性も確保しました。

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まとめ:実話がもたらす教訓

Rip/リップ』の実話は、単なる麻薬摘発の成功物語ではなく、巨額の現金が人間の弱さを露呈し、忠誠と誘惑の狭間で揺れる心理を描いたものです。この事件を通じて、警察官たちのプロフェッショナリズムと人間性が浮き彫りになり、カシアーノ警官の個人的な喪失が物語に深みを加えました。

映画はこれを基に、娯楽と感動を融合させた作品として完成しています。もしさらに詳細なシーンやインタビューを知りたい場合、Netflixで視聴をおすすめします。このような実話ベースの映画は、現実の複雑さをエンターテイメントに昇華させる好例です。

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