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レイプ・リベンジ映画

レイプ・リベンジ映画(Rape-Revenge Films)とは、エクスプロイテーション映画、ホラー映画、スリラー映画のサブジャンル。主人公(通常女性)がレイプや性的暴行の被害を受け、生き延びた後に加害者(または代理人)に対して残虐で詳細な復讐を遂げる物語構造を持つ作品群です。

特徴

このジャンルの最大の特徴は、二部構成(または三部構成:レイプ→回復/変貌→復讐)にある点。前半では被害者のレイプシーンが長くグラフィックに描かれ、観客に強いショックと嫌悪感を与えます。後半では被害者がトラウマから立ち直り、肉体的・精神的に変貌を遂げ、加害者を一人ずつ(または集団で)拷問・殺害する残虐な復讐シーンが展開します。

暴力描写は極めて露骨で、性的・肉体的拷問、切断、銃撃などが含まれることが多く、ショックバリューとカタルシスを狙っています。

テーマとしては、女性のエンパワーメント、司法制度の無力・失敗、社会的正義、トラウマの克服が挙げられます。一方で、レイプシーンがエロティシズムとして描かれる「男性の視線(male gaze)」の問題、女性の犠牲を娯楽化する点、復讐の倫理的正当化が議論を呼び、フェミニズム的解釈(被害者の主体性、怒りの表現)から反フェミニズム的(搾取的)と見なされる両面性があります。

近年は女性監督による作品が増え、心理描写を重視したり、レイプをオフスクリーンにしたりしてサブバートする傾向が見られます。

歴史

歴史的には、1960年のイングマール・ベルイマン監督『処女の泉』が原型とされ、中世の伝説を基に娘をレイプ・殺害された父親の復讐を描きます。これが1970年代のブームの基盤となり、第二波フェミニズムや反レイプ運動(1970s-80s)と時期的に重なりました。Wes Cravenの『鮮血の美学』(1972年)はこの影響を強く受け、親による復讐を描き、グラフィックな暴力で衝撃を与えました。

1970年代後半にピークを迎え、Meir Zarchiの『発情アニマル』(1978年)やAbel Ferraraの『天使の復讐』(1981年)が代表作。低予算エクスプロイテーション映画としてドライブインやビデオで人気を博しましたが、検閲(UKの「video nasty」リスト、複数国で禁止)、ロジャー・イーバーらの酷評を受けました。1980年代以降も続編・リメイクが多く、国際的に広がり(スウェーデン、日本国大韓民国フランス共和国など)、2010年代以降は女性監督(コラリー・ファルジャ、エメラルド・フェネルなど)による洗練された作品が増え、#MeToo時代に再評価・進化しています。

代表作

処女の泉( 1960年、イングマール・ベルイマン監督)

この作品は「レイプ・リベンジ」ジャンルの原型であり、アカデミー外国語映画賞受賞作です。中世スウェーデンを舞台に、裕福な農家の美しい娘が森で羊飼いたちにレイプされ殺害されます。父親は娘の死を知り、犯人たちを残酷に復讐します。

物語はキリスト教的贖罪と復讐のジレンマを描き、娘の無垢さと犯人たちの残虐さを対比させます。グラフィックなレイプ描写は当時としては衝撃的で、後の作品に多大な影響を与えました。Wes Cravenの『鮮血の美学』はこれを現代的に翻案しています。論争点は、父親による復讐が「代理復讐」である点と、宗教的テーマの統合です。女性被害者の主体性が薄い古典的パターンですが、ジャンルの基盤を築き、復讐の道徳性を問いかけます。カルト的人気は今も続き、ホラー映画史の重要作です。

鮮血の美学(1972年、ウェス・クレイヴン監督)

1970年代レイプ・リベンジの先駆けで、Cravenのデビュー作。少女マリと友人が逃亡犯集団に誘拐され、レイプ・拷問・殺害されます。犯人たちは偶然被害者の両親の家に避難し、両親は復讐を遂げます。

低予算(9万ドル)で撮影されたグラフィックな暴力描写(拷問、殺害)が特徴で、当時の検閲で問題視され、UKで「video nasty」に指定されました。マーケティングの「It’s only a movie」タグラインが有名。影響は大きく、『テキサス・チェンソー』や後のホラーに繋がり、ベトナム戦争時代の現実的残虐性を反映。親の代理復讐パターンですが、被害者の苦痛を強調し、ジャンルのテンプレートを確立しました。リメイク(2009年)もあり、カルトクラシックです。

発情アニマル(1978年、メイル・ザルチ監督)

発情アニマル』はジャンルの最も象徴的な作品。ニューヨーク市の女性作家ジェニファーが田舎の別荘で執筆中、地元男4人に集団レイプされます。重傷を負いながら生き延び、回復後、加害者一人ひとりに残虐な復讐を加えます。

レイプシーンが約30分と長く詳細で、観客に強い嫌悪を喚起。低予算独立製作で当初配給難でしたが、ビデオで大ヒット。Roger Ebertから「最悪の映画」と酷評され、複数国で禁止・検閲されました。フェミニズム的再評価が進み、被害者の主体的復讐が「女性の怒りのカタルシス」と見なされます。一方で搾取的描写の批判も根強く、リメイク(2010年)や続編多数。ジャンルのエッセンスを凝縮した論争作です。

リップスティック(1976年、ラモント・ジョンソン監督)

モデル姉妹の物語。妹が姉の音楽教師にレイプされ、裁判で加害者が無罪になると、姉が銃で復讐します。ファッション業界を舞台に、被害者の心理と法の不備を描きます。

1970年代のレイプ意識向上運動を反映し、レイプ後の心的外傷後ストレス障害やメディアの扱いを扱った比較的現実志向の作品。Margaux Hemingway主演で注目されました。代理復讐要素が強いですが、女性のエンパワーメントを示唆。ジャンルの中では暴力描写が抑えめで、主流寄り。ホラー要素よりドラマ・スリラー寄りです。

天使の復讐(1981年、アベル・フェラーラ監督)

NYで働く聴覚障害の女性タナが、2度のレイプ被害に遭います。銃を手に入れた彼女は街の男性たちに無差別復讐を始めます。

フェラーラのカルト作で、ミュート主人公の視覚的表現、都市の暴力描写が秀逸。レイプ後の変貌が急速で、フェミニズム的解釈(女性の怒りの爆発)とミソジニー批判の両面。銃撃シーンが多く、ブラックユーモアも。ジャンルのアイコンで、女性の孤立した復讐を描いた点が特徴的です。

ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ 血まみれの天使(1973年、スウェーデン)

少女が誘拐・薬物・売春強要され、レイプ被害を受け、復讐のために格闘・射撃を学び、加害者集団を次々殺害します。スウェーデンで上映禁止になった過激作。主人公のサイレント復讐、義眼・義足などのボディホラー要素、詳細な復讐描写が特徴。ジャンルの倫理とスタイルを確立した一本です。

REVENGE リベンジ(2017年、コラリー・ファルジュ監督)

REVENGE リベンジ』はフランス製の現代版。女性が恋人の友人たちにレイプされ、崖から落ち重傷を負いますが生存。狩猟用弓矢などで加害者たちを狩ります。女性監督によるスタイリッシュな作品で、鮮やかな色彩、身体変容描写、男性視線のサブバートが秀逸。#MeToo前後の文脈で高評価。古典パターンを洗練し、視覚的に魅惑的な復讐を描きます。

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年、エメラルド・フェネル監督)

レイプで友人を失った女性が、ナイトアウトで男性を「テスト」し復讐を企てます。復讐時の衣装はセクシーなナース服(参照:キャシー・トーマスの衣装)。心理ドラマ寄りでレイプはオフスクリーン。サブバート作として注目され、アカデミー賞脚本賞受賞。トラウマの長期影響、友人による代理的正義、現代の同意文化を鋭く批判。ジャンルを進化させ、ダークコメディ要素で新鮮味を与えました。

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年、スウェーデン版)

ハッカー少女リスベスが後見人からレイプされ、復讐として彼を拷問・刺青します。犯罪小説原作の要素が強い。強い女性主人公の象徴で、ジャンル要素をサスペンスに統合。国際的に人気で、ハリウッドリメイクも。心理的深みと復讐の爽快感が魅力です。

小括

これらの作品はジャンルの多様性を示し、時代とともに進化しています。視聴時は内容の過激さに注意してください。詳細は各作品のレビューや批評書(例: Alexandra Heller-Nicholasの研究)を参照すると良いでしょう。

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