2009年の英国コメディ映画『聖トリニアンズ女学院2』は、ロナルド・サールの漫画を原作とした学園コメディの続編。海賊の秘宝を巡る冒険を、個性的な女子生徒たちが繰り広げる。監督はオリヴァー・パーカーとバーナビー・トンプソン。
基本情報
- 邦題:聖トリニアンズ女学院2 不良女子校生たちの最悪ミッション!パイレーツの秘宝をねらえ!!
- 原題:St Trinian’s 2 The Legend of Fritton’s Gold
- 公開年:2009年
- 製作国:英国
- 上映時間:106分
- 前作:聖トリニアンズ女学院
あらすじ
新学期を迎えた全寮制の女子校「聖トリニアンズ女学院」は、相変わらずの無法地帯。校長カミラ・フリトン(ルパート・エヴェレット)の姪アナベル・フリトン(タルラ・ライリー)が新寮長に任命されるが、前任者ケリー(ジェマ・アータートン)のカリスマ性に比べ、頼りなさを生徒たちに感じられている。そんな中、学院の生徒セリアが、謎の男から2万ポンドの報酬でカミラの指輪を盗むよう指示される。この指輪は、カミラとアナベルの先祖である海賊フリトンが隠した秘宝の在処を示す2つの指輪の一つだった。アナベルは報酬を10万ポンドに吊り上げるが、男は拒否し脅迫。直後、学院は電力遮断に見舞われ、謎の組織AD1を率いるサー・ピアーズ・ポムフリー(デヴィッド・テナント)に指輪を奪われる。ポムフリーは、かつてフリトンに財宝を奪われたポムフリー卿の子孫で、秘宝を独占しようと企む。
カミラは、指輪が1589年に作られた一対のもので、2つを合わせると秘宝の場所が分かると説明。生徒たちはもう一つの指輪を探すため、学院の記録庫や墓地を探索し、そこでアナベルが先祖フォートナムの霊に取り憑かれるなど、奇妙な出来事が続く。やがて2つ目の指輪を見つけ、宝の在処がロンドンのグローブ座にあると判明。生徒たちは元寮長ケリーの助けを借り、AD1に潜入し、ポムフリーを追う。グローブ座で発見した宝箱には金銀財宝はなく、フリトンがウィリアム・シェイクスピアとして書いた最後の戯曲が収められていた。この戯曲は、フリトンが女性だったことを示す衝撃の事実を記していた。ポムフリーは戯曲を奪い逃亡するが、生徒たちは再現船ゴールデン・ハインド号でテムズ川を下り、彼を追跡。カミラが戯曲を取り戻し、ポムフリーの性差別的信念が暴露され失脚。学院は勝利を祝う盛大なパーティーで幕を閉じる。
女優の活躍
本作では、個性的な女子生徒たちを演じる女優陣が見せるエネルギッシュな演技が最大の魅力です。タルラ・ライリー演じるアナベル・フリトンは、頼りない新寮長からリーダーシップを発揮する成長を見せ、物語の中心として安定感ある演技を披露。ジェマ・アータートンは、前作の寮長ケリーとして短時間の出演ながら、アクションシーンでキレのある動きを見せ、ボンドガール経験者らしい存在感を放ちます。セーラ・ハーディングが演じる新入生ロキシーは、反抗的でロックなスタイルが印象的だが、物語での役割はやや曖昧に終わり、批評家からは「もっと活躍が欲しかった」との声も。タムシン・エガートン演じるチェルシーは、お嬢様系「ポッシュ・トッティ」のリーダーとして華やかさを、ザウエ・アシュトン演じるビアンカはコギャル系「チャヴス」のエネルギーを、モンセラート・ロンバード演じるゾーイはエモ系の内省的な雰囲気をそれぞれ体現し、多様なキャラを活き活きと演じ分けました。ジュノー・テンプルやエラ・スミスも個性的な脇役として物語を盛り上げ、特に集団でのダンスシーン(「We Got The Beat」)では、全員が息の合ったパフォーマンスで観客を魅了します。女優陣の団結力とコメディセンスが、作品の軽快なテンポを支えています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装は、聖トリニアンズ女学院の生徒たちが属するグループ(チャヴス、ポッシュ・トッティ、エモ、ギーク、フラマブルズ、エコ)ごとに特徴的で、女優たちの個性を際立たせます。チャヴス(ビアンカ役ザウエ・アシュトン)は、派手なトラックスーツやゴールドのアクセサリー、ボリュームのあるカーリーヘアに濃いアイライナーとグロスで、ストリート風の不良っぽさを強調。ポッシュ・トッティ(チェルシー役タムシン・エガートン)は、デザイナーブランド風のタイトなドレスやハイヒール、ブロンドのストレートヘアにナチュラルメイクで、上流階級の華やかさを演出。エモ(ゾーイ役モンセラート・ロンバード)は、黒やダークカラーのルーズな服、サイド分けの前髪、ダークなアイメイクで内向的な雰囲気を表現。ギーク(ルーシー役エラ・スミス)は、メガネやチェック柄スカート、ポニーテールで知的な印象。新入生ロキシー(セーラ・ハーディング)は、レザージャケットやバンドTシャツ、ショートカットの金髪にスモーキーなメイクでロックな反骨精神を強調。全体的に、衣装とメイクは原作漫画の誇張されたスタイルを踏襲しつつ、2000年代後半のイギリス若者文化を反映。ダンスシーンでは統一感あるカジュアルな衣装で、若々しさと団結力を表現しています。
解説
『聖トリニアンズ女学院2』は、ロナルド・サールの漫画を基にした学園コメディの7作目で、2007年のリブート作の続編です。前作同様、無法地帯の女子校を舞台に、破天荒な生徒たちの冒険を描きますが、本作では海賊の秘宝というファンタジー要素を導入。シェイクスピアが女性だったという大胆な設定や、ゴールデン・ハインド号での追跡劇など、荒唐無稽な展開が特徴です。批評家からは「前作より安っぽく、ストーリーが散漫」との声が上がり、Rotten Tomatoesでは14%の低評価(平均3.55/10)。興行収入も前作の£12,280,529に対し£7,019,714と振るわず、商業的成功は限定的でした。それでも、女優陣のコメディ演技やポップな音楽(特にThe Go-Go’sの「We Got The Beat」)は高く評価され、若者文化の軽快な描写はファンに愛されました。日本では劇場未公開で、2012年4月4日にDVD発売、WOWOWで放送。監督のオリヴァー・パーカーとバーナビー・トンプソンは、ビジュアルとテンポ重視の演出で、原作の風刺精神を現代風にアレンジしています。
キャスト
- タルラ・ライリー– アナベル・フリトン(新寮長、カミラの姪)
- ルパート・エヴェレット – カミラ・フリトン(校長)/アーチボルド・フリトン(海賊)/フォートナム・フリトン(牧師)
- コリン・ファース – ジェフリー・スウェイツ(元文部大臣、カミラの元恋人)
- デヴィッド・テナント – サー・ピアーズ・ポムフリー(AD1のリーダー、敵役)
- ジェマ・アータートン – ケリー(元寮長、カメオ出演)
- セーラ・ハーディング – ロキシー(新入生、ロック風)
- タムシン・エガートン – チェルシー(ポッシュ・トッティのリーダー)
- ザウエ・アシュトン – ビアンカ(チャヴス/ルード・ガールズ)
- モンセラート・ロンバード – ゾーイ(エモ)
- エラ・スミス – ルーシー(ギーク)
- ジュノー・テンプル – セリア(エコ、指輪を盗もうとした生徒)
- ジョディ・ウィッテカー – ビヴァリー(受付係)
- トビー・ジョーンズ – チャーリー(学院の関係者)
- ジェシカ・ヘンウィック
スタッフ
- 監督 – オリヴァー・パーカー、バーナビー・トンプソン
- 製作総指揮 – ルパート・エヴェレット、ナイジェル・グリーン、ジェームズ・スプリング
- 製作 – オリヴァー・パーカー、バーナビー・トンプソン
- 原案 – ジェイミー・ミノプリオ、ジョナサン・M・スターン
- 脚本 – ピアーズ・アシュワース、ニック・ムーアクロフト
- 撮影 – デヴィッド・ヒッグス
- 編集 – エマ・E・ヒコックス
- 音楽 – チャーリー・モール
レビュー 作品の感想や女優への思い