スーツケース殺人事件

スーツケース殺人事件はメラニー・リン・マクガイアという女性が2004年に有罪判決を受けた事件の通称。

2022年、Lifetimeは映画『スーツケース・マーダー』を「Ripped from the Headlines」シリーズの一つとして製作。この映画はキャンディス・キング（キャンディス・アッコラ）がメラニー・マクガイア役、マイケル・ロアークが夫のビル・マクガイア役で出演しました。

メラニーは米国の元看護師で、2004年4月28日に夫を殺害した罪で有罪判決を受けました。2007年7月19日に終身刑を宣告され、ニュージャージー州クリントンのエドナ・マハン女子矯正施設で服役中。101歳になるまで仮釈放の資格はありません。のちにこの事件は「スーツケース殺人事件」と呼ばれます。

殺人事件
発見
裁判
余波
翻案

殺人事件

2004年4月までに、マクガイア夫妻は結婚して5年が経っていました。メラニーは不妊治療クリニックの看護師で、夫のビルはコンピューター・プログラマー。夫妻には2人の息子がおり、ニュージャージー州ウッドブリッジ・タウンシップのアパートに住んでいましたが、4月にウォーレン郡の大きな家に引っ越す予定でしたが、4月28日に新居の契約を結んだものの引っ越しはしませんでした。

検察側によると、その夜、メラニーは夫に薬を飲ませて射殺し、その後遺体をバラバラにしました。彼女は彼の遺体を3点セットのスーツケースに入れ、その3点セットが後にチェサピーク湾で発見されました。

発見

2004年5月5日、人間の脚が入った最初のスーツケースが浮いているのを発見。発見場所は米国最大の入り江チェサピーク湾ブリッジ・トンネル第4人工島付近で、発見者は2人の漁師と2人の子供。

この発見を受けて殺人事件の捜査が開始されました。

5月11日、フィッシャーマン島国立野生生物保護区の浜辺で、ゴミ拾いをする大学院生によって2つ目の大きなスーツケースが発見されました。そのスーツケースには頭部と胴体が入っていました。頭部には銃創が1つ、胴体には胸に銃創が2つありました。

腕が入っていた3つ目の一番小さなスーツケースは、5月16日にチェサピーク湾ブリッジ・トンネルの2番目の人工島付近の水面に浮かんでいる状態で回収されました。

警察は被害者の顔復元似顔絵を公開し、ビル・マグワイアの知人がそれに気づきました。その後、メラニーが第一容疑者となり、当局は捜査をニュージャージー州警察に引き継ぎました。

裁判

2005年6月2日、殺人事件から1年以上が経過した頃、メラニーは子供たちを保育園と幼稚園に送っていました。上の子の学校を出たメラニーが車に向かって歩き始めたとき、警察官が茂みから現われ、何事もなく彼女の身柄を拘束。彼女はすぐに第一級殺人罪でミドルセックス郡成人矯正センターに収容されましたが、保釈金75万ドル（現在の117万ドル）を支払いました。弁護士のジョー・タコピナ、スティーブ・トゥラーノ、マーク・ウォードを通じて、彼女は無罪を主張。

保釈後、メラニーは2005年10月11日に追加起訴されます。州の大陪審から4件の起訴状が下りました。保釈金は210万ドル（現在の330万ドル）に引き上げられましたが、彼女は再び釈放。それから1年以上経った2006年10月26日、メラニーは、警察に自分の足取りを掴ませないように手紙を書いたとして、2件の逮捕妨害罪で起訴されました。彼女は再び無罪を主張し、1万ドルの保釈金を支払って釈放。

事件から約3年後、2007年3月5日にニュージャージー州ニューブランズウィックのミドルセックス郡裁判所でメラニーの殺人裁判がスタート。検察側は、メラニーの殺人の動機は恋人と新生活を始めることだと主張。マクガイアは無実を主張し、夫ビルはますます不機嫌で予測不可能になり、強迫的なギャンブラーであったと述べました。

2007年4月23日、メラニーの殺人裁判の陪審は、証拠が合理的な疑いを超えて殺人に対する彼女の過失を立証したと判断し、彼女に第一級殺人の有罪判決を下しました。彼女はまた、偽証罪、遺体冒涜罪、不法目的での武器所持という軽い罪でも有罪判決を受けましたが、逮捕妨害の2つの罪、証拠改ざん、処方箋なしのザナックス所持については無罪となりました。

有罪判決の直後、メラニーは、夫ビルが多額の借金を抱えており、アトランティック・シティのマフィアに殺された可能性がある、という拘置所内の情報提供者クリストファー・ティームの話を根拠に再審請求。しかし検察側は、ニュージャージー州警察の調査をもとに、情報提供者が「まったく信じがたい人物で、日常的に常習的に話を捏造している」ことを立証。さらに、情報提供者が証言を撤回する前に、マクガイアの弁護士を偽証罪で訴えました。情報提供者の話が否定されたため、再審請求は取り下げられました。2007年7月19日、34歳のメラニーは終身刑を宣告されました。

余波

殺人容疑での罪状認否の際、メラニー・マクガイアの事件はさまざまなメディアによって「スーツケース殺人事件」と呼ばれました。作家のジョン・グラットはこの事件について『To Have and To Kill』という本を出版。

この事件は実録TV番組でも取り上げられました。

Snapped Oxygen Network
Dateline NBC
48 Hours Mystery CBS
The Investigators TruTV
Deadly Affairs Investigation Discovery
Forensic Files II

など。

メラニーの有罪判決は2011年3月16日、控訴裁判所によって支持されました。仮釈放を受けるには63年以上服役しなければなりません。2011年9月20日、ニュージャージー州最高裁判所は、彼女のさらなる上告の審理を拒否。2014年4月29日、メラニーは、弁護人の効果的でない支援と新たに発見された証拠を主張し、有罪判決後の救済のための申し立てを提出。

2014年9月25日、メラニーは、ジョー・タコピナによる彼女の以前の法的代理が不十分であった、または効果がなかったという理由で、2007年の彼女の殺人有罪判決を覆すことができる公聴会を取得しようとします。そして、彼女の新しい弁護士ロイス・デジュリオ、公選弁護人と裁判所に出廷したこの要求はその後却下されました。