『シェイプ・オブ・ウォーター』(The Shape of Water)は2017年の米国映画。ファンタジーとドラマが融合した物語で、他者への理解と愛の多様な形を探求します。美しい映像と感動的な展開が魅力の作品。
1962年の冷戦下のアメリカ、ボルチモアを舞台に、言葉を発せない孤独な女性エライザが、政府の秘密研究所で出会った謎の水棲生物と恋に落ちます。
基本情報
- 邦題:シェイプ・オブ・ウォーター
- 原題:The Shape of Water
- 公開年:2017年
- 製作国・地域:アメリカ
- 上映時間:124分
- ジャンル:ドラマ、ファンタジー
- 配給:20世紀フォックス映画
女優の活躍
本作『シェイプ・オブ・ウォーター』の主演女優サリー・ホーキンスは、言葉を話せない清掃員エライザ・エスポジトを演じます。彼女の演技は、批評家から絶賛を集めました。ホーキンスは、チャーリー・チャップリンやバスター・キートンなどのサイレント映画のコメディアンからインスピレーションを得て、表情やジェスチャーだけで感情を豊かに表現します。
エライザの内面的な強さと優しさを、微妙な視線や体の動きで描き出します。特に、水棲生物との交流シーンでは、ホーキンスの繊細な演技が光ります。彼女は役作りのためにアメリカ手話を学び、ダンスレッスンも受けました。これにより、エライザの浮遊感のある動きを実現します。
ホーキンスの活躍は、映画のテーマである「他者とのつながり」を体現します。言葉なしで観客の心を掴む彼女のパフォーマンスは、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるほどの評価を受けました。また、オクタヴィア・スペンサーは同僚のゼルダを演じ、力強い存在感を発揮します。スペンサーは、ユーモアと温かみを加え、エライザの支えとなる役を魅力的に演じます。
スペンサーの演技は、人種差別や社会的格差を背景に、強い女性像を描きます。彼女の活躍もアカデミー賞助演女優賞ノミネートにつながりました。本作では、女優たちの活躍が、物語の感情的な深みを増します。
女優の衣装・化粧・髪型
サリー・ホーキンス演じるエライザの衣装は、1960年代の労働者階級を反映したシンプルで実用的なデザインです。主に青や緑の色調が用いられ、水のような流動的なイメージを強調します。物語の後半では赤い服に変わり、彼女の決意と情熱を象徴します。
化粧は自然で控えめです。エライザの首の傷跡をメイクで表現し、彼女の過去のトラウマを視覚的に示します。髪型は短めのボブスタイルで、日常的な清掃員らしい実用性を優先します。一部の水中シーンでは、髪をピンで固定し、CG処理を施します。
オクタヴィア・スペンサー演じるゼルダの衣装は、果物のようなくすんだ色調で、エライザとは対照的です。これにより、キャラクターの個性を視覚的に区別します。化粧は日常的で、髪型は当時のアフリカ系アメリカ人女性らしいスタイルです。
ローレン・リー・スミス演じるエレイン・ストリックランドの衣装は、上流階級らしいエレガントなドレスです。化粧は洗練され、髪型は巻き髪で1960年代のファッションを体現します。これらの要素が、女優たちの役柄をより鮮やかにします。
あらすじ
1962年のボルチモア、冷戦真っ只中のアメリカ。言葉を発せない女性エライザ・エスポジトは、政府の秘密研究所で清掃員として働きます。彼女は幼少期のトラウマで声が出せず、手話でコミュニケーションを取ります。隣人のジャイルズと同僚のゼルダが彼女の支えです。
ある日、研究所に南米の川から捕獲された謎の水棲生物が運び込まれます。この生物は人間のような姿をし、知性を持っています。エライザは生物に興味を持ち、密かに交流を始めます。生物はエライザの優しさに応え、彼女の傷を癒します。
しかし、研究所の責任者リチャード・ストリックランド大佐は、生物を解剖して宇宙開発に利用しようとします。科学者のロバート・ホフステトラーはソ連のスパイで、生物の保護を命じられます。エライザはジャイルズとゼルダの助けを借り、生物を脱出させます。
生物を自宅の浴槽に隠すエライザ。2人は恋に落ち、親密な関係になります。ストリックランドの追跡が迫る中、生物はジャイルズの傷を癒し、力を発揮します。クライマックスでは、激しい対決が繰り広げられ、エライザの運命が変わります。
物語は、ジャイルズのナレーションで締めくくられ、エライザと生物の幸せな結末を示唆します。このあらすじは、愛と他者理解のテーマを織り交ぜたファンタジーです。
解説
テーマの探求
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は、冷戦時代のアメリカを背景に、他者への共感と愛の多様な形を描きます。監督ギレルモ・デル・トロは、怪物映画の伝統を逆手に取り、生物を主人公の恋人として人間味豊かに表現します。これにより、異質な存在への受容を促します。
エライザの障害やジャイルズの性的指向、ゼルダの人種など、マイノリティの連帯が強調されます。ストリックランドの残虐さは、支配的な文化の産物を象徴します。映画は、こうした対立を通じて、慈悲と連帯の重要性を訴えます。
視覚的な魅力
デル・トロの独特なビジュアルスタイルが光ります。水をモチーフにしたセットデザインや、青緑の色調がファンタジー的な雰囲気を生みます。水中シーンの撮影は、ドライ・フォー・ウェット技法を使い、現実と幻想を融合します。
音楽はアレクサンドル・デスプラが担当し、物語の感情を高めます。生物のデザインは、デル・トロの長年の構想に基づき、特殊メイクとCGを組み合わせます。これらの要素が、映画の没入感を高めます。
文化的影響
本作は、『美女と野獣』や古典的な怪物映画を思わせる構造を持ちます。しかし、障害を持つ人物が社会を離れて愛を見つける点で、議論を呼ぶこともあります。全体として、希望と癒しのメッセージを届けます。
アカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞し、デル・トロのキャリアの頂点となりました。ファンタジーを通じて現実の社会問題を扱うアプローチは、多くの観客に響きます。
制作背景
デル・トロは、幼少期の怪物映画への愛から本作を着想しました。脚本はヴァネッサ・テイラーと共同で、生物のデザインを自費で開発します。キャスティングは、ホーキンスの繊細さを活かしたものです。
撮影はトロントで行われ、1960年代の再現にこだわります。プロダクションデザインは、魚の鱗のような壁紙や波のモチーフを使います。これにより、物語の世界観が強化されます。
キャスト
- サリー・ホーキンス:エライザ・エスポジト(言葉を発せない清掃員)
- マイケル・シャノン:リチャード・ストリックランド(残虐な大佐)
- リチャード・ジェンキンス:ジャイルズ(クローゼットの隣人)
- ダグ・ジョーンズ:水棲生物(捕獲された人型生物)
- マイケル・スタールバーグ:ロバート・ホフステトラー / ディミトリ・モセンコフ(科学者兼スパイ)
- オクタヴィア・スペンサー:ゼルダ・デリラ・フラー(同僚の友人)
- ニック・サーシー:フランク・ホイト将軍
- デイビッド・ヒューレット:フレミング
- ナイジェル・ベネット:ミハルコフ
- スチュアート・アーノット:バーナード
- ローレン・リー・スミス:エレイン・ストリックランド
- マーティン・ローチ:ブルースター・フラー
- ジョン・カペロス:アーズマニアン氏
- モーガン・ケリー:パイ・ガイ
- ウェンディ・リオン:サリー
スタッフ
- 監督:ギレルモ・デル・トロ
- 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
- 原案:ギレルモ・デル・トロ
- 製作:ギレルモ・デル・トロ、J・マイルズ・デール
- 撮影:ダン・ラウステン
- 編集:シドニー・ウォリンスキー
- 音楽:アレクサンドル・デスプラ
- 製作会社:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、ダブル・デア・ユー・プロダクションズ
- 配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ




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