テレサ・ラッセルの名で知られるテレサ・リン・ラッセルは、40年以上のキャリアをもつアメリカ人女優。
彼女の出演作品には、主流映画から自主映画や実験映画まで、50本以上の長編映画が含まれます。
サンディエゴ生まれのテレサ・ラッセルはロサンゼルス郊外のバーバンクで育ち、貧困にあえぐ波乱万丈の生い立ちを経て、16歳で高校を中退。
その後モデル業をはじめ、映画プロデューサーのサム・スピーゲルの目に留まります。スピーゲルの紹介でエリア・カザン監督の『ラスト・タイクーン』(1976年)に出演し、著名な映画会社の重役の娘を演じました。
1978年には、クライム映画『ストレート・タイム』でダスティン・ホフマンと共演し、高い評価を得て、次の役は、イギリスの映画監督ニコラス・ローグの物議を醸したスリラー『ジェラシー』(1980年)の主役で、批評家の称賛を浴びました。
テレサとローグはこの映画の撮影中に恋をはじめ、1982年の結婚後、6つのプロジェクトで共演することになります。
次いでローグ監督のドラマ『錆びた黄金』(1983年)に出演し、ジョン・バイラム監督の『剃刀の刃』(1984年)に続き、その後、ボブ・ラフェルソン監督のネオ・ノワール映画『ブラック・ウィドー』(1987年)で連続殺人犯の主役を演じ、商業的にも大きな注目を集めました。
1980年代後半から1990年代前半にかけてもローグ監督とのコラボレーションが続き、アンソロジー映画『アリア』(1987)のローグ監督作品や、長編映画『トラック29』(1989年)、『コールド・ヘブン/悪夢の再会』(1991年)などに出演。この時期には、犯罪ドラマ『証人を消せ/レンタ・コップ2』(1989年)や『インパルス』(1990年)にも出演しています。
1991年、ケン・ラッセル監督の風刺ドラマ『ボンデージ』に娼婦役で出演し、続くスティーヴン・ソダーバーグ監督の実験的モノクロ長編『KAFKA/迷宮の悪夢』ではジェレミー・アイアンズと共演。
1990年代半ばに数多くの自主映画に出演した後、商業的に成功したネオ・ノワール映画『ワイルドシングス』(1998年)、批評家たちに絶賛されたドラマ『The Believer』(2001年)で脇役を演じました。2005年には、HBOのミニシリーズ『追憶の街 エンパイア・フォールズ』では脇役のシャーリーンを演じ、その後、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』(2007年)で脇役を演じました。
ロック・グループ、ザ・フーの「Athena」は、ピート・タウンゼントとの偶然の出会いについて書かれた曲で、ピートは彼女にほれ込み、振られました。このシングルは、バンドの1982年のアルバム『It’s Hardに収録されています。
テレサ・ラッセル
- 名前:テレサ・ラッセル(Theresa Russell)
- 出生名:テレサ・リン・パウプ(Theresa Lynn Paup)
- 生年月日:1957年3月20日(67歳)
- 出身地:米国カリフォルニア州サンディエゴ
- 別名義:テレサ・ローグ
- 母校:リー・ストラスバーグ・インスティテュート
- 職業:女優
- 活動期間:1976年~現在
- 配偶者:ニコラス・ローグ(1982年に結婚、1990年代後半に離婚)
- 子供:2人
ファム・ファタル
なんなんだ、この色気は。ボディも雰囲気も顔も表情も。
追憶の街 エンパイア・フォールズ
脇役シャーリーン役で出演。主人公マイルスの幼なじみでマイルド・ヤンキーのような地元キャラクター。
第一編の23分頃に登場し、自動車内で半袖のワンピースドレスを着てハッパを吸っています。88分頃に再登場し、カクテルを飲みながら主人公とビリヤードを楽しんでいます。
第2編では35分頃に登場し、マイルスの弟と付き合っていることが発覚。
ワイルドシングス
自由奔放なセレブ女性として大胆なベッドシーンも演じています。メイクは控えめでブロンドのショートヘア。ちょくちょくバスローブを着てくつろいでいます。色気に圧倒されます。
生い立ち
テレサ・ラッセルは米国カリフォルニア州サンディエゴで、10代の母親キャロル・プラット(旧姓モール)とジェリー・ラッセル・パウプの間に、3人兄弟の長女として生まれました。
彼女が5歳のとき両親は離婚し、父親はメキシコへ移住。母親は再婚し、一家をロサンゼルス郡へ移し、ラッセルはおもにバーバンクで育ちました。ラッセルは貧困の中で育ち、家族が生きていくためにフードスタンプを必要としたこともあったと語っています。 彼女は「醜い」「無能」「ろくでなし」と評した継父と波乱に満ちた関係を築き、13歳までに娯楽ドラッグの実験をはじめました。
14歳のとき、バーバンク高校に通っていたテレサは、ロサンゼルスの通りを歩いていると、あるカメラマンに声をかけられ、モデルをするように勧誘されます。そのカメラマンが単に彼女を利用したいだけなのではないかと疑ったテレサは、まず母親に会わせてほしいと頼み、彼はそれに応じました。
その後、彼女は母親の友人であるファッション・カメラマンのモデルをするようになりました。彼は私に夢中で、よく写真を撮ってくれたとテレサは振り返ります。
テレサは16歳で高校を中退し、プライマル・スクリーム・セラピストとして働く28歳のボーイフレンドと同棲。17歳で演技を学ぶためにウェスト・ハリウッドのリー・ストラスバーグ・インスティテュートに入学しました。
経歴
1976〜1980年:キャリアのはじまり
モデルの仕事を通じて、テレサ・ラッセルはカーク・ダグラスの息子で写真家のピーター・ダグラスと知り合い、1975年に映画プロデューサーのサム・スピーゲルに紹介されます。
スピーゲルはラッセルに、スタジオの重役(ロバート・ミッチャム演じる)の娘、セシリア・ブレイディ役のオーディションを受けるよう提案し、彼女は最終的にこの役にキャスティングされました。
翌1976年、『ラスト・タイクーン』を完成させたテレサは、ドラマ『ストレート・タイム』で、ダスティン・ホフマン演じる犯罪者と関わることになる、問題を抱えた若い女性を演じました。
1979年、テレサはCBSのミニシリーズ『Blind Ambition』に主演し、ウォーターゲート事件に焦点を当てた伝記ドラマで、ホワイトハウス顧問ジョン・ディーン(マーティン・シーンが演じた)の妻モーリーン・ディーンを演じました。
その後、テレサは『ジェラシー』(1980年)にて、ウィーンに暮らす若いアメリカ人で、アート・ガーファンクル扮する精神分析医と機能不全に陥るミレーナ・フラハティ役に抜擢。この作品は、テレサが撮影終了後に交際をはじめたイギリスの映画監督ニコラス・ローグの監督作6本のうちの最初の主演作となりました。
1981〜1986年:ニコラス・ローグとのコラボレーション
テレサ・ラッセルはローグの女神となり、ふたりは1982年2月にロンドンのウェストミンスターで結婚し、その後数年の間にスタッテン(1983年生)とマクシミリアン(1985年生)というふたりの息子をもうけ、おもにノッティングヒルに住みましたが、テレサはロサンゼルスにも住居を構えていました。
ローグの『ジェラシー』に出演した後、テレサはダリオ・アルジェント監督のギャロ映画『シャドー』(1982年)でダリア・ニコロディのキャラクターの英語吹き替えを担当しました。
翌1993年、テレサはジョン・バイラム監督の『剃刀の刃』(W・サマセット・モームの同名小説の映画化)に出演し、ビル・マーレイと共演。この映画は経済的に失敗し、1300万ドルの予算に対して200万ドル以下の興行収入でした。
その後、テリー・ジョンソンの戯曲を基にしたローグ監督の実験的な異史映画『マリリンとアインシュタイン』(1985年)でマリリン・モンローを演じ、ゲイリー・ビジーやトニー・カーティスと共演。批評家のロジャー・エバートは、この映画での彼女の演技を賞賛し、こう書きました、「彼女はモンローにあまり似ていないが、それがどうした。ブロンドの髪と赤い唇はそこにあり、物腰もそうである。この物腰はあまりにも頻繁に、そしてあまりにもひどく真似されてきたため、真似をする者はモンローが特別なケースであったことを証明している。テレサは真似をしない。彼女は演技を一から作り上げ、それが映画を支えている」。
テレサはデヴィッド・ホックニーによる『Nude 17th June 1984 #10』と題されたフォト・コラージュの被写体にもなりました。
1987〜1998年:主流での認知
1987年、テレサ・ラッセルはデブラ・ウィンガーと共演したボブ・ラフェルソン監督のノワール・スリラー『ブラック・ウィドー』で、裕福な男性を誘惑して殺害する連続殺人鬼キャサリン・ピーターソンを演じ、メインストリームに登場。
ニューヨーク・タイムズ紙のヴィンセント・キャンビーは、ラッセルの「澄んだ瞳の甘さが殺人鬼のキャサリンに思いがけない深みを与えている」と書いています。
翌1988年、ローグ監督の『トラック29』に出演し、ゲイリー・オールドマン演じる謎めいたイギリス人流れ者に出会う南部の若い女性を演じました。ロジャー・エバートは彼女の演技を評して、「ローグ監督の多くの映画(彼は彼女の夫)の複雑な地形を生き抜いてきたテレサは、このねじれた風景の中でくつろいでいるようであり、(彼女とオールドマンは)お互いのキャラクターを互いの裂傷の乱交に仕上げている」と書いています。
次にテレサは、バート・レイノルズ主演、マイケル・クライトン監督の犯罪ドラマ『証人を消せ/レンタ・コップ2』(1988年)で公選弁護人を演じました。この映画は批評家からほとんど不評を受け、ワシントン・ポスト紙のリタ・ケンプリーのように、ラッセルの演技を主な欠点として挙げる者もいました。それまでラッセルの演技の多くを支持していたロジャー・エバートは、この映画の批評で、彼女とレイノルズの相性が悪かっただけだと示唆しています。
1990年、テレサ・ラッセルはソンドラ・ロック監督の『インパルス』に出演し、ロサンゼルスで売春婦を装っているうちに売春の世界に引き込まれていく警察官を演じました。
翌1991年、テレサはデヴィッド・ハインズの戯曲を基にしたケン・ラッセルの風刺ドラマ『ボンデージ』で再び娼婦を演じました。この映画は批評家たちからさまざまな評価を受けましたが、ラッセルの演技はニューヨーク・タイムズ紙とシカゴ・サンタイムズ紙のロジャー・エバートによって賞賛されました。
同1991年、彼女はスティーヴン・ソダーバーグ監督の『KAFKA/迷宮の悪夢』(1991年)でジェレミー・アイアンズの相手役として主役に抜擢されました。
テレサは、ロビン・ウィリアムズ主演の英国映画『Being Human』(1994年)のナレーターを務め、続く英国コメディ『グロテスク』(1995年)では、アラン・ベイツとスティングの相手役を演じました。
その後、テレサはネオ・ノワール・スリラー『ワイルドシングス』(1998年)に出演し、デニス・リチャーズ演じる主人公の母親役を演じました。この映画は興行的に成功し、カルト的な人気を確立しています。
1999〜2014年:その後の映画とTV
犯罪ドラマ『Luckytown』(2000年)でジェームズ・カーンとキルスティン・ダンストと共演した後、テレサ・ラッセルはヘンリー・ビーン脚本・監督、ライアン・ゴズリング主演のドラマ『The Believer』(2001年)に出演し、ネオナチになったユダヤ人男性を演じました。
2000年代初頭、テレサはおもに『The House Next Door』『Now & Forever』『The Box』といった低予算の自主映画に出演。2005年、HBOのミニシリーズ『 追憶の街 エンパイア・フォールズ』のシャーリーン役に抜擢され、エド・ハリスと共演。また、『スパイダーマン3』では、フリント・マーコ(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の妻役としてエマ・マーコの脇役で出演。
翌2006年には、ジェシカ・チャステイン主演の自主ドラマ『Jolene』に出演したほか、ロマンティック・コメディ『He’s Just Not That into You』(2009年)では、スカーレット・ヨハンソン演じる主人公の母親役で脇役として出演しましたが、最終的に出演シーンはカット。
2012年、Lifetimeのテレビ映画『Liz & Dick』に出演し、エリザベス・テイラー(リンジー・ローハンが演じた)の母親サラ・テイラーを演じました。翌2013年、ミニシリーズ『Delete』にゲスト出演。
出演作品
日本語以外の題名表記は原題または英題です。
映画
公開年 | 題名 | 配役 |
---|---|---|
2014 | Moving Mountains | トリッシュ・ブラッグ |
2014 | A Winter Rose | ラシャル・ラブ |
2012 | The Legends of Nethiah | ネティアの母 |
2012 | Liz & Dick | サラ・テイラー |
2011 | Rid of Me | ロックウッド夫人 |
2011 | Born to Ride | フランシス・キャラハン |
2011 | 1 Out of 7 | レクシーの母親 |
2009 | He’s Just Not That into You | マークス夫人 |
2009 | 16 to Life | ルイーズ |
2008 | Chinaman’s Chance: America’s Other Slaves | ウィリアムズ夫人 |
2008 | Jolene | ケイおばさん |
2008 | Dark World | ニコール |
2007 | スパイダーマン3 | エマ・マルコ |
2007 | オン・ザ・ドール | ダイアン |
2005 | Blind Injustice | ジョアンナ・バートレット |
2003 | Love Comes Softly | サラ・グラハム |
2003 | Chasing Alice | (不明) |
2003 | Water Under the Bridge | ジャッキー・オコナー |
2003 | The Box | ドーラ・ベイカー |
2002 | The House Next Door | ヘレン・シュミット |
2002 | デブラ・ウィンガーを探して | |
2002 | ラブ・アクシデント | ロイス・ヴァーガス |
2002 | Now & Forever | ドーリ・ウィルソン |
2002 | ジェラティノス | ナンシー・バーナム |
2001 | The Believer | リナ・メビウス |
2001 | クモ男の復讐 | トリクシー・グリロ |
2000 | Luckytown | ステラ |
1998 | ワイルドシングス | サンドラ・ヴァン・ライアン |
1998 | Running Woman | エミリー・ルッソ |
1996 | ひとり旅の女/殺意の片道切符 | マーゴ・アンソニー |
1996 | FBIファイル第一級指定/パブリック・エネミー | ケイト・「マー」・バーカー |
1996 | バックドア/告発白書 | メアリー・アン・カラン |
1996 | The Proposition | キャサリン・モーガン |
1995 | Trade-Off | ジャッキー・ダニエルズ |
1995 | Hotel Paradise | (不明) |
1995 | The Spy Within | メアリー・アン・カラン |
1995 | アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー | モーガン・ル・フェイ |
1995 | グロテスク | レディ・ハリエット・コール |
1994 | Being Human | ストーリーテラー |
1993 | Thicker Than Water | デビー/ジョー |
1991 | ボンデージ | リズ |
1991 | コールド・ヘブン/悪夢の再会 | マリー・ダベンポート |
1991 | KAFKA/迷宮の悪夢 | ガブリエラ |
1990 | インパルス | ロティ・メイソン |
1989 | 証人を消せ/レンタ・コップ2 | ジェニー・ハドソン |
1988 | トラック29 | リンダ・ヘンリー |
1987 | ブラック・ウィドー | キャサリン・ピーターセン |
1987 | アリア | キング・ゾグ |
1985 | マリリンとアインシュタイン | 女優 |
1984 | 剃刀の刃 | ソフィー・マクドナルド |
1983 | 錆びた黄金 | トレイシー・マッキャン・マイヨ・ヴァン・ホーン |
1982 | シャドー | アン(声) |
1980 | ジェラシー | ミレーナ・フラハティ |
1978 | ストレート・タイム | ジェニー・マーサー |
1976 | ラスト・タイクーン | セシリア・ブレイディ |
TV
公開年 | 題名 | 配役 |
---|---|---|
2012-2013 | Delete | フィオナ |
2010 | コールドケース 迷宮事件簿 | レイチェル・マローン |
2009 | FRINGE | レベッカ・キブナー |
2007 | American Heiress | ジョーダン・ウェイクフィールド |
2006 | LAW & ORDER:犯罪心理捜査班 | レジーナ・リード |
2005 | 追憶の街 エンパイア・フォールズ | シャーリーン |
2002 | Glory Days | ヘイゼル・ウォーカー |
2000 | 刑事ナッシュ・ブリッジス | エレン・ホリデイ/サラ・ウィリアムズ |
1999 | G vs E | リーサ・タッセル |
1993 | A Woman’s Guide to Adultery | ローズ |
1979 | Blind Ambition | モーリーン・ディーン |
コメント コメントをお気軽に ^_^