バンクーバー・フィルム・スクール(Vancouver Film School、以下VFS)は、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーに位置する、映画、テレビ、アニメーション、ゲームデザインなどのエンターテインメントアートに特化した私立の高等教育機関です。1987年に設立され、現在では世界的に評価されるクリエイティブ業界の教育機関として知られています。以下に、VFSの詳細を丁寧にまとめます。
概要
- 設立年:1987年
- 所在地:カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(ダウンタウンに8つのキャンパス)
- 学生数:年間約1,000人(国際学生が約47%を占める)
- 教育理念:1年間の集中プログラムを通じて、業界標準の技術と実践的なスキルを習得し、プロフェッショナルなポートフォリオやデモリールを構築することに重点を置く。理論と実践のバランスを重視し、実際の業界環境を模倣した教育を提供。
- 特徴:実践重視のカリキュラム、業界のプロフェッショナルによる指導、ハリウッドやゲーム業界との強いコネクション。卒業生は『アベンジャーズ』『ゲーム・オブ・スローンズ』『マンダロリアン』などの大作や、ピクサー、EAスポーツ、ネットフリックスなどの企業で活躍。
- SNSサイト:Youtube
プログラム
VFSは、映画、テレビ、アニメーション、ゲームデザイン、デジタルデザインなど、エンターテインメント業界の幅広い分野をカバーする15の1年間のプログラムと、短期コースを提供しています。主要なプログラムは以下の通り。
- 映画制作(Film Production):監督、撮影、プロデュースなど、映画制作の5つの主要分野を学び、学生は2つの専門分野を選択してポートフォリオを構築。
- 3Dアニメーション&ビジュアルエフェクト:業界標準のソフトウェアを使用し、VFXや3Dアニメーションの技術を習得。
- クラシックアニメーション:伝統的な2Dアニメーション技術を学ぶ。
- 演技(Acting for Film & Television):映画やテレビでの演技に特化したプログラム。4か月の「Acting Essentials」コースも提供。
- ゲームデザイン:北米で最初に導入されたプログラムの一つで、ゲーム開発の全工程をカバー。プリンストン・レビューでカナダNo.1に選出。
- 脚本(Writing for Film & Television):映画やテレビの脚本執筆に特化。
- サウンドデザイン、メイクアップデザイン、デジタルデザインなど、多岐にわたるプログラムを提供。プログラムは1年間(一部は6か月や4か月)で、集中的な実践学習を通じて、学生が即戦力となるスキルを身につけることを目指しています。学生は実際の業界環境を模倣したプロジェクトに参加し、プロ仕様の機材やスタジオを使用します。
施設とキャンパス
- キャンパス:バンクーバーのダウンタウンに8つのキャンパスを持ち、ワークショップ、映画セット、スタジオ、280度のグリーンスクリーンルーム、モーションキャプチャー施設、24時間利用可能なコンピューターラボなどを完備。
- 設備:ハリウッドやゲーム業界で使用される最新のソフトウェア(Adobe、Final Draft、Unreal Engineなど)や機材を提供。Beyond Captureと呼ばれる世界クラスのパフォーマンスキャプチャースタジオも利用可能。
- 立地:バンクーバーは「ハリウッド・ノース」と呼ばれ、映画やゲーム産業の中心地。ネットフリックス、EA、ソニーなどのスタジオが近く、業界との連携が強い。
入学要件と国際学生サポート
- 入学資格
- 高校卒業または19歳以上。
- プログラムに応じた英語力証明(IELTS 6.0以上、TOEFL、Duolingoなど)。一部プログラムではIELTS 6.5が必要。
- ポートフォリオやクリエイティブ課題の提出、面接が必要。
- 国際学生
- 学生の約47%が国際学生で、75カ国以上から集まる。
- ESLチューター、キャリアカウンセリング、国際入試アドバイザーによるサポート。
- 学費は国内学生で約29,000~54,000カナダドル(プログラムによる)。国際学生は追加費用が必要。
- 学生ビザ申請には、VFSの指定教育機関番号(O19239015912)や、20,635カナダドルの生活費証明が必要。
- 奨学金:ポートフォリオや学業成績に基づき、1,000~10,000カナダドルの奨学金を提供。過去にはケビン・スミスやエミリー・ベット・リッカーズによる特別奨学金も。
卒業生の活躍と評価
- 実績:卒業生はオスカー、エミー賞、ゴールデングローブ賞などで合計数百のクレジットを獲得。2022年のトップ10映画すべてに卒業生が関与し、総興行収入は40億ドル超。●(https://vfs.edu/)
- 主な卒業生
- エミリー・ベット・リッカーズ(『Arrow』のフェリシティ・スモーク役)
- ケビン・スミス(映画監督、『クラークス』など)
- スコット・モジー(『サリム・ババ』でアカデミー賞ノミネート)
- 評価:ハリウッド・リポーターで「世界をリードするVFX学校」、プリンストン・レビューで「カナダNo.1ゲームデザイン学校」に選出。
批判と課題
一部の卒業生やレビューでは、以下のような批判も見られます。
- 高額な学費:特に国際学生にとって学費が高額(約3,000万円以上)。奨学金があっても負担が大きい。
- プログラムの質のバラつき:映画制作プログラムは高評価だが、基礎ビジュアルアートなどのプログラムはリソースが少ないとの意見。
- 就職保証の欠如:卒業後の就職は学生の努力とネットワーキングに依存し、必ずしも保証されない。
VFSとレイシ・J・メイリー
レイシ・J・メイリーはVFSの演技プログラム(Acting for Film & Television)で学び、映画やテレビでの演技スキルを磨きました。このプログラムは、カメラ前での演技やオーディション技術、感情表現などを重視し、彼女の自然体で感情豊かな演技スタイルの基盤となりました。VFSの実践的な環境が、彼女の『チェサピーク海岸』などの成功に寄与したと考えられます。
まとめ
バンクーバー・フィルム・スクールは、短期間で実践的なスキルを習得し、エンターテインメント業界でのキャリアを目指す学生にとって魅力的な選択肢です。業界との強い連携、最新の施設、国際的な学生コミュニティが特徴ですが、高額な学費やプログラムごとの質の差には注意が必要です。レイシ・J・メイリーのような卒業生の成功例からも、VFSがクリエイティブな才能を育む場として高い評価を受けていることがわかります。
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