ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショー

ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーは、米国のランジェリーブランドが主催する豪華なイベントで、1995年から始まりました。セクシーなランジェリーと天使の翼をまとったモデルがランウェイを歩き、世界的アーティストのパフォーマンスが彩りを添えます。2024年、6年ぶりに復活し、多様性を重視した新たなショーを展開しました。

解説
2024年の出演女優・モデル
まとめ

解説

ヴィクトリアズ・シークレット（以下、VS）は、1977年に米国で設立されたランジェリーブランドで、そのファッションショーは世界的なポップカルチャー現象として知られています。1995年に初開催されて以来、豪華なランウェイ、派手な衣装、トップモデル、そして有名アーティストのパフォーマンスで、毎年注目を集めてきました。ショーの特徴は、「エンジェル」と呼ばれる契約モデルたちが、きらびやかなランジェリーや巨大な翼を身にまとい、華やかなステージを闊歩することです。特に、毎年1人のモデルが着用する「ファンタジーブラ」は、宝石で装飾された豪華なブラジャーで、価格は数億円に及ぶこともあります。

フォール・アウト・ボーイ ft. テイラー・スウィフトのパフォーマンス – ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショー

Fall Out Boy ft. Taylor Swift Performance - Victoria's Secret Fashion Show

Victorias Secret Fashion Show 2013

歴史と変遷

VSファッションショーは、2001年に地上波放送が開始され、全米で数百万人が視聴する一大イベントとなりました。過去には、テイラー・スウィフト、レディー・ガガ、ブルーノ・マーズなどのアーティストが出演し、視聴者を魅了しました。しかし、2010年代後半になると、ブランドの「多様性の欠如」や、過度にセクシャルなイメージに対する批判が高まりました。特に、2018年に当時の最高マーケティング責任者エド・ラゼック氏が、トランスジェンダーやプラスサイズモデルの起用を拒否する発言をしたことで、大きな論争が巻き起こりました。さらに、経営陣による不適切な行為の告発や視聴率の低下もあり、2019年にショーは中止されました。

この危機を受け、VSはリブランディングに着手。2023年には「ヴィクトリアズ・シークレット・ワールドツアー」として、ドキュメンタリー形式でショーを再開し、多様性やインクルーシビティを強調しました。しかし、従来の派手なランウェイや翼が不在だったため、ファンからは賛否両論が寄せられました。

2024年の復活

2024年10月15日、6年ぶりにニューヨークで伝統的なランウェイ形式のショーが復活しました。このショーは、ブランドの「グラマラスさ」を維持しつつ、現代的な視点で多様性と女性のエンパワーメントを強調する内容となりました。会場はブルックリンの旗艦店で、アマゾンと提携した「SEE NOW BUY NOW」形式を採用し、ショーで披露されたアイテムをリアルタイムで購入可能にしました。日本に店舗はありませんが、公式サイトで商品購入が可能です。

ショーの特徴として、史上初の女性のみのパフォーマンスが話題に。BLACKPINKのリサ、南アフリカ出身のタイラ、78歳の伝説的歌姫シェールが出演し、幅広い世代に訴求しました。また、モデルキャスティングでは、トランスジェンダーやプラスサイズモデルを起用し、多様な体型や背景を反映。過去の「エンジェル」たちも多く復帰し、ブランドの伝統と革新を融合させました。

準備と舞台裏

モデルたちの準備は過酷で、ショー前には厳しい食事制限やトレーニングが行われます。メイクアップやヘアエクステ、タンニングスプレーには5時間以上を要し、1回のショーで150本のリップグロスが使われるなど、細部までこだわりが施されます。バックステージでは、モデルたちがピザやカップケーキを楽しむリラックスした場面も見られ、華やかな舞台との対比が興味深いです。

社会的影響と今後の展望

2024年のショーは、VSが過去の批判に応え、インクルーシブなブランドへと進化する姿勢を示しました。ダイバーシティを重視したキャスティングや、女性アーティストによるパフォーマンスは、ブランドの新たな方向性を象徴しています。今後も、ファッションとエンターテインメントを融合させたこのショーが、どのように進化していくのか注目されます。

2024年の出演女優・モデル

2024年のヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーには、過去の「エンジェル」や新世代のモデルが集結し、多様な顔ぶれがランウェイを彩りました。以下に、主な出演モデルを紹介します。

ジジ・ハディッド（Gigi Hadid）… ショーのオープニングを飾ったジジは、ピンクのシルクワンピースとショートパンツに巨大な翼をまとい、圧倒的な存在感を示しました。過去に「フェンディ」「ヴェルサーチェ」などで活躍し、VSショーには4回目の出演。現代的なセクシーさを体現しました。
ベラ・ハディッド（Bella Hadid）… ジジの妹で、VSとの仕事を再開した理由として「ブランドの劇的な変化」を挙げています。2018年以来の復帰で、エレガントなランウェイを披露。彼女の復帰は、ブランドのインクルーシブな進化を象徴しています。
タイラ・バンクス（Tyra Banks）… 50歳のレジェンドモデルで、1996年にVSショーに初出演。2005年以来、約20年ぶりのランウェイ復帰で、フィナーレを飾りました。彼女の登場は、ブランドの歴史と新たなスタートを繋ぐ感動的な瞬間でした。
アドリアナ・リマ（Adriana Lima）… 17回のショー出演を誇る大ベテラン。2018年に引退後、2024年に復帰し、変わらぬ美貌で観客を魅了しました。過去には高価なファンタジーブラを着用し、VSの象徴的存在です。
キャンディス・スワンポール（Candice Swanepoel）… 2010年にエンジェルに就任し、11回のショー出演経験を持つ。2013年には約10億円のファンタジーブラを着用。2024年も安定のパフォーマンスで、ブランドのコアな魅力を発揮しました。
ケイト・モス（Kate Moss）＆ライラ・モス（Lila Moss）… 親子での初出演が話題に。ケイトは90年代のスーパーモデルとして、ライラは新世代モデルとして、それぞれ独自の魅力を放ちました。
デヴィン・ガルシア（Devin Garcia）… プラスサイズモデルとして活躍する23歳。VSの新たなインクルーシブな姿勢を体現し、多様な体型を代表する存在として注目されました。
バルバラ・パルヴィン（Barbara Palvin）… 日本のアニメや文化に親しみを持つモデル。2012年と2018年のショーに出演し、2019年から2021年までエンジェルを務めました。カーヴィな体型で、ボディポジティブの象徴ともいわれます。
日本人モデル… 2024年は日本人モデルも初出演し、ショーの多様性をさらに広げました。具体的な名前は公表されていませんが、新生VSのグローバルな視点を象徴しています。

まとめ

2024年のヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーは、ブランドの伝統である「セクシーさ」や「天使の翼」を継承しつつ、多様性とインクルーシビティを取り入れた新たな一歩となりました。ジジ・ハディッドやタイラ・バンクス、アドリアナ・リマなどのレジェンドモデルに加え、プラスサイズやトランスジェンダーモデル、日本人モデルの起用が、ブランドの進化を象徴しています。BLACKPINKのリサやシェールのパフォーマンスも、女性のエンパワーメントを強調する要素として際立ちました。今後も、VSがどのようにファッションとエンターテインメントを融合させ、現代の価値観に応えていくのか、期待が高まります。