『X-MEN2』(2003年5月2日公開)はマーベル・コミックのスーパーヒーロー映画。ブライアン・シンガー監督が、ミュータントの共存と対立を描く。ナイトクローラーの襲撃をきっかけに、X-MENとマグニートーが協力し、ストライカーのミュータント撲滅計画に立ち向かう。アクションとドラマが融合した続編。
基本情報
- 邦題:X-MEN2
- 原題:X-Men 2/X2/X-Men United
- 公開年:2003年
- 製作国:米国
- 上映時間:125分
- ジャンル:アクション、SF
- 配給:20世紀フォックス映画
あらすじ
『X-MEN2』(原題:X2)は、前作『X-メン』の戦いから間もない世界で物語が始まります。ホワイトハウスに瞬間移動能力を持つミュータント、ナイトクローラーが侵入し、大統領暗殺を試みる事件が発生。X-MENのリーダー、チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)は、ジーン・グレイとストームを派遣し、ナイトクローラーの行方を追います。一方、ミュータントを憎む軍事科学者ウィリアム・ストライカーは、X-MENの本拠地「恵まれし子らの学園」を襲撃。エグゼビアとサイクロップスを拘束し、自身の息子ジェイソンの能力と「ダーク・セレブロ」を利用して全ミュータントの抹殺を企てます。
ウルヴァリン(ローガン)は、過去の手がかりを求めてアルカリ湖から学園に戻りますが、ストライカーの襲撃に遭遇。ローグ、アイスマン、パイロら生徒たちを連れて脱出します。同じ頃、ミスティークの助けで脱獄したマグニートーは、ストライカーの計画を知り、X-MENと一時的に手を組みます。両陣営はアルカリ湖の秘密施設に向かい、ストライカーの陰謀を阻止しようとします。しかし、マグニートーはエグゼビアを利用し、人類を抹殺する計画を進めます。
クライマックスでは、ジーン・グレイが強力な念力を発揮し、決壊するダムから仲間を守るため自らを犠牲に。X-MENはエグゼビアを救出し、ストライカーの計画を阻止しますが、ジーンの死とアルカリ湖に浮かぶフェニックスの影が次作への伏線となります。
解説
『X-MEN2』は、2003年5月2日にアメリカで公開され、日本では翌5月3日に公開された、マーベル・コミック原作のスーパーヒーロー映画。1982年のグラフィックノベル『God Loves, Man Kills』を基に、監督ブライアン・シンガーが前作のテーマである「差別と共存」をさらに深化させました。前作がアクション不足との批判を受けたのに対し、本作は派手なアクションとキャラクターの掘り下げを両立し、批評家やファンから高い評価を得ました。特に、ナイトクローラーのホワイトハウス襲撃シーンやマグニートーの脱獄シーンは、視覚効果と演出の妙が見どころです。
物語は、ミュータントと人類の対立を軸に、個々のキャラクターの葛藤や成長を描きます。ウルヴァリンの過去、ジーンの力の増大、アイスマンの家族との軋轢など、個人ドラマがストーリーに深みを加えています。また、X-MENとマグニートーの共闘という意外な展開は、単なる善悪の対立を超えた複雑な関係性を示し、シリーズのテーマである「多様性」を強調します。興行収入は全世界で約4億770万ドルを記録し、前作を上回る成功を収めました。
女優の活躍
ハル・ベリー(オーロラ・モンロー/ストーム)
ハル・ベリーは、天候を操るミュータント、ストーム(オーロラ・モンロー)を演じ、チームの主要メンバーとして存在感を発揮します。ホワイトハウスでのナイトクローラー追跡や、戦闘機でのアクションシーンでは、冷静かつ力強いリーダーシップを見せ、物語の緊張感を高めます。特に、ナイトクローラーとの友情を育むシーンでは、彼女の温かみが際立ち、ストームの人間性を強調。ベリーの表現力は、ストームの威厳と優しさをバランスよく表現し、観客に強い印象を残しました。
ファムケ・ヤンセン(ジーン・グレイ)
ファムケ・ヤンセン演じるジーン・グレイは、テレパシーと念動力を持つミュータントで、本作ではその能力の増大が描かれます。物語の終盤、ダムの決壊から仲間を守るため自己犠牲を選ぶシーンは、ヤンセンの感情豊かな演技が光り、観客に深い感動を与えます。ジーンの内面の葛藤やフェニックスへの変貌の兆しを、繊細かつ力強く演じ、シリーズの重要な伏線を担いました。
アンナ・パキン(マリー・ダンキャント/ローグ)
アンナ・パキンは、触れた相手のエネルギーを吸収する能力を持つローグを演じます。本作では学園生活に馴染みつつも、能力ゆえの孤独感や恋愛の葛藤が描かれます。アイスマンとの関係性や、ウルヴァリンとの絆を通じて、パキンは若々しい脆さと成長を見事に表現。特に、襲撃時の緊迫したシーンでの怯えや決意の演技は、ローグの人間らしい一面を際立たせました。
レベッカ・ローミン=ステイモス(レイヴン・ダークホルム/ミスティーク)
レベッカ・ローミンは、変身能力を持つミスティーク(レイヴン・ダークホルム)を演じ、狡猾で魅力的な敵役として活躍。マグニートーの脱獄を助けるシーンや、変身を駆使して情報を収集する場面では、ミスティークの知性と冷酷さを体現。特に、警備員を誘惑し鉄剤を注入するシーンは、ローミンの妖艶な演技が際立ち、キャラクターの魅力を最大限に引き出しました。
ケリー・ヒュー(ユリコ/レディ・デスストライク)
ケリー・ヒューは、ストライカーの部下でアダマンチウムの爪を持つデスストライクを演じます。ウルヴァリンとの激しい戦闘シーンでは、ヒューの身体能力と冷徹な表情が光り、迫力あるアクションを展開。セリフは少ないものの、彼女の存在感は敵役としての緊張感を高め、物語にスパイスを加えました。
女優の衣装・化粧・髪型
ハル・ベリー(ストーム)
ストームの衣装は、黒を基調としたX-MENのユニフォームで、動きやすさと威厳を兼ね備えたデザイン。タイトなレザースーツは、彼女の力強いイメージを強調します。化粧は控えめで、ナチュラルな美しさを活かし、銀白色の髪はストームの象徴的な特徴として、ショートカットで現代的にアレンジ。戦闘シーンでの動きに合わせて髪がなびく姿は、視覚的なインパクトを与えました。
ファムケ・ヤンセン(ジーン・グレイ)
ジーンの衣装は、X-MENユニフォームに加え、カジュアルな私服シーンも登場。ユニフォームは赤みを帯びた色合いで、彼女の情熱的な性格を反映。化粧は自然体で、知的な美しさを強調し、赤毛のロングヘアはゆるやかなウェーブで女性らしさを演出。終盤のフェニックスを暗示する赤い瞳の演出は、化粧と照明の効果で神秘性を加えました。
アンナ・パキン(ローグ)
ローグの衣装は、若さを強調したカジュアルなスタイルとX-MENユニフォームの組み合わせ。ユニフォームは黒と緑の配色で、彼女の未熟さを表現。特徴的な白い前髪は、能力の影響を象徴し、ショートヘアにまとめられ、活発な印象を与えます。化粧はほぼナチュラルで、若々しさと無垢さを強調しました。
レベッカ・ローミン=ステイモス(ミスティーク)
ミスティークの「衣装」は、青い鱗状の皮膚そのものが特徴的で、全身を覆う特殊メイクが施されました。このメイクは数時間かけて完成され、彼女の変身能力を視覚的に表現。髪は赤いロングヘアで、野生的な魅力を強調。変身時の衣装は、潜入先に応じて変化し、特にケリー上院議員に変身した際のスーツ姿は、彼女の多面性を際立たせました。
ケリー・ヒュー(レディ・デスストライク)
デスストライクの衣装は、黒のタイトな戦闘服で、動きやすさと冷酷さを表現。アダマンチウムの爪が強調され、戦闘シーンでの存在感を高めます。化粧はミニマルで、鋭い目元を強調し、ストレートの黒髪はシンプルにまとめられ、戦士らしい無駄のないスタイルを演出しました。
キャスト
- パトリック・スチュワート:チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)
- ヒュー・ジャックマン:ローガン(ウルヴァリン)
- イアン・マッケラン:エリック・レーンシャー(マグニートー)
- ハル・ベリー:オーロラ・モンロー(ストーム)
- ファムケ・ヤンセン:ジーン・グレイ(フェニックス)
- ジェームズ・マースデン:スコット・サマーズ(サイクロップス)
- レベッカ・ローミン=ステイモス:レイヴン・ダークホルム(ミスティーク)
- アラン・カミング:カート・ワグナー(ナイトクローラー)
- アンナ・パキン:マリー・ダンキャント(ローグ)
- ショーン・アシュモア:ボビー・ドレイク(アイスマン)
- アーロン・スタンフォード:ジョン・アラダイス(パイロ)
- ブライアン・コックス:ウィリアム・ストライカー
- ケリー・ヒュー:ユリコ(レディ・デスストライク)
- ブルース・デイヴィソン:ケリー上院議員
- コッター・スミス:マッケナ大統領
スタッフ
- 監督:ブライアン・シンガー
- 脚本:マイケル・ドハティ、ダニエル・P・ハリス、ブライアン・シンガー
- 原案:ブライアン・シンガー、デヴィッド・ヘイター、ザック・ペン
- 原作:スタン・リー
- 製作:ローレン・シュラー=ドナー、ラルフ・ウィンター
- 製作総指揮:アヴィ・アラッド、トム・デサント、スタン・リー、ケヴィン・ファイギ、ブライアン・シンガー
- 撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
- 編集:ジョン・オットマン、エリオット・グレアム
- 音楽:ジョン・オットマン
美術:ガイ・ヘンドリックス・ディアス - 衣装:ルイーズ・ミンゲンバック
- 視覚効果監修:マイケル・フィンク
- 特殊メーキャップ・デザイン:ゴードン・スミス
レビュー 作品の感想や女優への思い