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ファッション中毒:スタイルに溺れ、ブランドに操られるあなた

4.0
商品紹介や「見どころ」にPR表現を含みます。

『ファッション中毒:スタイルに溺れ、ブランドに操られるあなた』は、有名ファッション誌『グラマー』『USウィークリー』『コスモガール!』『マドモアゼル』などの編集者、ファッション・ジャーナリストとして活躍する著者が業界内部から行なった問題提起の書。

概要

『ファッション中毒:スタイルに溺れ、ブランドに操られるあなた』は、ファッション業界の闇を鋭く抉り出す一冊です。著者のミシェル・リーは、ファッションジャーナリストとして長年業界の内情に触れてきた経験を活かし、現代アメリカの消費者たちがファッションにどれほど深く溺れているかを、ユーモアを交えながら描きます。

この本は、単なるファッション指南書ではなく、消費社会の矛盾を暴く社会批評書として位置づけられます。トレンドを追い求める人々が、ブランドの巧妙なマーケティングに操られ、結果として健康や環境を犠牲にしている現実を、具体例を交えて検証します。特に女性の視点から見たファッションの影響を強調し、読者に自己反省を促します。

全体を通じて、ファッションの魅力と危険性をバランスよく論じ、軽快な文体で読み進めやすいのが魅力です。出版から20年以上経過した今も、ファストファッションの台頭やSNSの影響で、その指摘は色褪せていません。

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出版状況

『ファッション中毒:スタイルに溺れ、ブランドに操られるあなた』は、2004年5月26日に日本放送出版協会から単行本として発売されました。定価は2,200円(本体2,000円)で、四六判のハードカバー仕様、総ページ数は400ページです。ISBNは978-4-14-080877-1で、CコードはC0036(社会関連)です。原著は英語で書かれ、和波雅子さんが丁寧に翻訳を担当しています。

現在は品切れとなっており、中古市場や古書店で入手可能です。発売当時は、ファッション業界の内幕を暴く内容が話題となり、NHK出版のラインナップとして注目を集めました。海外では、著者のミシェル・リーがグラマー誌やUSウィークリーなどの著名ファッション誌で編集者として活躍していた経歴から、信頼性の高い一冊として評価されました。

日本での出版は、消費社会のグローバル化を背景に、ファッションの功罪を考える上でタイムリーでした。残念ながら絶版となりましたが、電子書籍化の動きはなく、紙媒体でしか読めない希少性があります。

あらすじ

『ファッション中毒:スタイルに溺れ、ブランドに操られるあなた』は、プロローグからエピローグまで、8章構成で展開。

まず、プロローグ「ファッション・ヴィクティムって誰のこと?」では、ファッション中毒者を「ヴィクティム」と呼び、その定義を明確にします。トレンドに盲目的に従う人々が、ブランドの奴隷のように振る舞う姿を、哀れで滑稽なエピソードで描き出します。

第1章「ファッション・ヴィクティムの十戒」では、ファッション中毒者が守るべき「掟」を10個挙げ、ユーモラスに風刺します。例えば、「汝、クローゼットに同じ服を10着持て」というような、過剰消費を促すルールを挙げ、読者を笑わせつつ警鐘を鳴らします。

第2章「スピード・シック―トレンドの命は5分間!」は、ファッションのサイクルがどれほど速く回っているかを分析します。数週間で廃れるトレンドが、消費者の財布を空っぽにする仕組みを、具体的なブランド事例で解説します。

第3章「マックファッション―『GAP帝国』は個性を殺す」では、大衆向けブランドの台頭を「マクドナルド化」と比喩し、GAPのようなチェーンがもたらす均一化の弊害を指摘します。個性を失う消費社会の象徴として、鋭く批判します。

第4章「もうファッションから逃げられない!-メディアとスタイルの蜜月関係」では、雑誌や広告がファッションを神聖化するプロセスを解剖します。メディアがブランドと結託し、女性の欲望を刺激するトリックを、内部取材に基づいて暴露します。

第5章「痩せてなければオシャレじゃない-歪むボディ・イメージ」では、ファッションが女性のボディイメージを歪めるメカニズムを深掘りします。細身のモデル像が摂食障害を引き起こす実態を、統計と事例で示します。

第6章「服を作っているのは誰?-ファッションの負の歴史と現状」では、生産現場の過酷さを描きます。低賃金労働者、特に発展途上国の女性縫製工の苦境を、歴史的事実とインタビューで検証します。

第7章「服という名の凶器-スタイルは着心地に勝る」では、ハイヒールや化学繊維の健康被害を論じます。ファッションが身体を蝕む「凶器」として、具体的な症例を挙げます。

第8章「やさしさもトレンド次第?-動物愛護かファッションか」では、毛皮やレザーの倫理問題を扱います。動物実験や環境破壊を、ファッションの「トレンド」として追及します。

エピローグ「なぜ私は心配するのを止めファッションを愛するようになったのか?」では、著者自身の葛藤を吐露し、適度なファッション愛を提唱して締めくくります。この流れは、批評から自己省察へ移行し、読者に希望を与えます。

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登場女性

本書はフィクションではなくノンフィクションのため、架空の主人公は登場しません。しかし、インタビューや事例を通じて、多くの実在の女性が描かれ、ファッション中毒の多様な顔を浮き彫りにします。

  • ニューヨークのキャリアウーマン:30代の編集者で、毎月数万円をブランドバッグに費やす女性。クローゼットがパンパンになるまで買い続け、借金に苦しむ姿が象徴的です。彼女のエピソードは、メディアの影響で「スタイルが成功の鍵」と信じ込む心理を体現します。
  • ティーンエイジャーのファッショニスタ:高校生の少女たちが、インターネットの影響でトレンドを追い、親の財布を空にします。本書では、こうした若年層の女性が、ボディイメージの歪みからダイエットに走る事例を挙げ、摂食障害のリスクを警告します。
  • 縫製工場の労働者:バングラデシュや中国の工場で働く20代の女性たち。1日12時間以上の長時間労働で、低賃金に耐えながら家族を養う現実が、過酷に描かれます。彼女たちはファッションの「裏側」の犠牲者として、読者の同情を誘います。
  • モデル業界の女性:細身を強要されるランウェイモデルで、栄養失調や精神的ストレスに苦しむ事例。著者は、こうした女性の証言を基に、業界の美の基準がどれほど非人間的かを論じます。
  • 動物権利活動家:毛皮反対運動の女性リーダー。ファッションの「トレンド」が動物虐待を助長する問題に立ち向かう姿が、希望の象徴として登場します。

これらの女性たちは、消費者、生産者、活動家として多角的に描かれ、ファッションが女性の人生に与える影響の深さを示します。著者自身も女性として、業界の内側から見た視点を織り交ぜ、共感を呼ぶ構成です。

読むメリット

この本を読むことで、ファッションに対する視野が格段に広がります。以下に、主なメリットを挙げます。

  • 消費行動の見直し:ブランドのマーケティングトリックを知ることで、無駄な衝動買いを防げます。例えば、ロゴ付き服が「広告塔」になる仕組みを理解すれば、自己表現の本質に気づき、賢い選択が可能になります。
  • 健康意識の向上:ハイヒールや化学繊維の被害を学べば、身体に優しいスタイルを選べます。ボディイメージの歪みを防ぎ、摂食障害の予防にもつながります。
  • 社会問題への目覚め:労働搾取や環境破壊の実態を知ることで、フェアトレード商品を支持する意識が高まります。サステナブルファッションへの移行を促します。
  • 内省とユーモアのバランス:深刻なテーマを軽妙に描くため、読後感が重くなく、自己反省が自然に生まれます。ファッションを「愛する」ためのヒントも得られます。
  • 時代を超えた洞察:2004年の出版ながら、現代のファストファッションやインフルエンサー文化に通じ、タイムレスな価値があります。女性読者を中心に、ジェンダー視点の深みを加えます。

総じて、ファッションを「楽しむ」ためのツールとして最適です。読めば、ワードローブが少し軽くなり、心が豊かになります。

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関係図書
この記事を書いた人
シンシン

経済学博士(大阪市立大学)。2000年からファッション論のウェブサイト「モードの世紀」を運営。ミシンやアパレル企業を研究し、単著2冊、関連ウェブサイト3点。

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