妄想性誤認症候群

この記事のうち「見どころ」には若干の誇張表現があります。

妄想性誤認症候群とは、ジョージ・N・クリストドゥルーが著書『The Delusional Misidentification Syndromes』(1986年)に紹介した妄想性障害の総称。この総称に区分されない症候群も多く、まだ定義は決まっていません。

精神・神経疾患の文脈で起こる4つの妄想性障害(バリエーションに後述)を含み、これらはしばしば同時に、あるいは交互に起こり、二重人格という共通の概念を示すので、ひとまとめにされています。

これらはすべて、人、物、場所の同一性が何らかの形で変化した、あるいは変質したという信念を伴ないます。クリストドゥルーはさらに、これらの障害を次のように分類しました。

  • よく知られた人物の低(または過小)同一視(カプグラ妄想)
  • 未知の人物の過小(または過大)同一視(残りの3つ)

これらの妄想は一般に1つの特定の話題に関するものなので、単調妄想というるカテゴリーに分類されます。

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妄想性誤認症候群

  • 専門分野:精神医学

バリエーション

この精神病理学的症候群は通常4つの主な変種を含むと考えられています。

  1. カプグラ妄想:近親者や配偶者が、同一人物に見える偽者と入れ替わっていると信じること。
  2. フレゴリ妄想:信者が出会うさまざまな人が、実は変装した同一人物であると信じること。
  3. インターメタモルフォーゼ:外見も内面的な性格も他人の姿になれる能力があると信じること。
  4. 主観的二重人格:自分自身のドッペルゲンガーや二重人格が存在し、独立した行動を行っていると信じること。

さらなるバリエーション

しかし、類似の妄想的信念が多く、次のような信念も妄想的誤認症候群の一部だと考えらる説もあります。

  • 鏡像性自己誤認:鏡に映った自分が他人であると思い込むこと。
  • 重複性準健忘:見慣れた人、場所、物、体の一部が重複していると思い込むこと。
  • コタール症候群:自分が(比喩的にも文字通りの意味でも)死んでいる、存在しない、腐敗している、血液や内臓を失なったという妄想を抱くこと。
  • 妄想的同伴者症候群:物体を知覚のある存在だと信じること。
  • 自己のクローン性複数化:物理的にも心理的にも自己認識できるのに、物理的には別個の異なる複数の自己コピーが存在すると考えること。
  • 臨床的ライカン症:自分が動物に変身している、または変身してしまったと思い込むこと(自己の誤認妄想)。

カプグラ症候群やフレゴリ症候群のような障害は、顔の知覚・認識の障害と関連していると示すかなりの証拠があります。そのうえで、誤認識の問題はすべて、既視感(デジャヴ)の一端から妄想的信念の形成にいたるまで、親近感の異常の連続体上に存在することが示唆されています。

映画やドラマにみる妄想性誤認症候群

解離性同一性障害双極性障害にくらべ、妄想性誤認症候群を取り上げた映画やドラマは少ないですが、『キャサリンズ・ダイアリー』(2020年)で妄想性誤認症候群に基づく病気を患った男性を大きく取り上げています。本作はこの病気を積極的に協調的に捉えていて斬新です。

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