香港ノワールの名手、ジョニー・トー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』をリメイク。
『毒戦 BELIEVER』はイ・ヘヨン監督、チョン・ソギョン脚本による、2017年韓国のクライム・アクション映画。2012年のジョニー・トー監督作品『ドラッグ・ウォー』のリメイク。
出演者は、キム・ソンリョン、チャ・スンウォン、ハレー・キム、チョ・ジヌン、リュ・ジュンヨル、キム・ジュヒョク、パク・ヘジュンら。アジア最大の麻薬カルテルの知られざるボスを捕まえようとする刑事が、復讐に燃える一味のメンバーと手を組むというあらすじ。
2018年5月22日に韓国で公開され、2018年7月18日に拡大版が劇場公開。第39回青龍映画賞、第55回大鐘賞、第5回韓国映画制作家協会賞など、さまざまな賞を獲得。
続編『毒戦 BELIEVER 2』はベク・ジョンユル監督がメガホンを取り、チョ・ジヌン、チャ・スンウォン、ハン・ヒョジュ、オ・スンフン、キム・ドンヨン、イ・ジュヨンらが出演。2023年11月17日にNetflixで公開されました。
毒戦 BELIEVER
- 原題:독전
- 英題:Believer
- 公開年:2017年
- 製作国:韓国
- 撮影場所:韓国ソウル、ノルウェー
- 上映時間:124分
- ジャンル:アクション、クライム、スリラー
- 製作会社:ヨンフィルム
- 配給会社:ギャガ、ネクスト・エンターテインメント・ワールド(NEW)、Amazonプライム・ビデオ、グーグル・プレイ、Netflix、Youtube Filme & TV、iTunesほか。
- 公式サイト
- 続編『毒戦 BELIEVER 2』
予告編はこちら。
見どころ
- W主演のチョ・ジヌン、リュ・ジュンヨルの卓越した演技はもちろん、本作が遺作となったキム・ジュヒョクの名演にも注目。
- 熱い心理戦、重厚なアクションに思わず息をのむ。
あらすじ
巨大麻薬組織に君臨し、その悪名を轟かせているにも関わらず、誰ひとり本名も経歴も顔さえも知らない麻薬王「イ先生」。麻薬取締局のウォノ刑事は、組織破滅のためイ先生を追っていました。ある日、爆破された麻薬製造工場から1人の生存者が発見され、事態は複雑に。
ファム・ファタル
『毒戦 BELIEVER』はそれぞれ組織に所属する男性たちを中心にしたクライムサスペンスなので、女性の活躍といえば各男性に付随する恋人という設定にとどまります。
しかし、ファム・ファタルの視点からみた場合、本作の特徴は、恋人女性たちもまた本気度の高い役柄を担っていて、深刻なサスペンスを展開していく点にあります。
冒頭に出ていたキム・ソンリョン(ヨノクペイントの代表取締役オ・ヨノク役)だけが、赤いドレスに身を固めて色気満点の役柄を演じていましたが、 残念なことに早々に毒殺されました。
そこで本気度の高い演技をした女優は 2人に絞られます。
一人は、天才的な麻薬製造技術をもつ兄妹の妹で聾唖のジュヨン役。イ・ジュヨンが演じました。もう一人は中国の大物麻薬商人チン・ハリムの妻ポリョン役。チン・ソヨンが演じました。
ジュヨンは兄とともに、ソ・ヨンナク(演:リュ・ジュンヨル)との信頼関係でひたむきに仕事をしていて、心を打たれます。
ポリョンは夫に負けず劣らず麻薬取引を牛耳る意欲が強く、自らも利用者としてぶっ飛んでいて、落ち着いた場面が全くないほど息の詰まる狂気で貫かれています。エロティックな場面も惜しみなく出してくるので余計に怖いです(^^)
感想
ここ数年の韓国映画界は、質の高い警察犯罪モノを作り続けています。このジャンルは氾濫しているにもかかわらず、演技、セット、ロケ地、そして独創的な新趣向が続いています。シンジケートの麻薬犯罪の脚本が好きな人向けですが、本気度の高い深刻なクライム映画を見たい時にもおすすめします。
香港のアクション・スリラー『ドラッグ・ウォー』を韓国でリメイクした『毒戦 BELIEVER』。 原作は未見ですが、近々観たくなりました。『毒戦』は、卓越した演技力、激しいアクション場面、しっかりしたテンポ、ひねりの効いたストーリー、そしてハラハラドキドキの緊張感で視聴者を納得させます。それに、知的な結末は、哲学的な深みと思考の糧さえ与えてくれます。
物語は、麻薬カルテルのミステリアスなリーダー、ミスター・リーを中心に展開。無謀な刑事ウォンホは何年ものあいだ「イ先生」を探し出して逮捕しようとしてきました。ところが、未成年の自称イ先生は誰かに惨殺され、仲間は毒殺されました。ウォンホの最後の頼みの綱は、麻薬研究所の爆発事故で母親を亡くしたラクという男。ウォンホは、自らイ先生に会いたがっている中韓の麻薬王を装うことにし、ラクも彼を助けて麻薬カルテルの有力者にどんどん会っていきます。途中で、ウォンホがなりすました中韓の麻薬王本人が介入してきたり、麻薬カルテルの幹部がイ先生の後釜を目論んだりしたことで、事態は一転。
この素晴らしい映画に関して、私が指摘したい少しネガティブな要素は、イ先生の正体が映画のかなり早い段階でわかってしまったこと。意外などんでん返しがあればさらに良かったし、映画を完璧なものにしていたはず。それでも、ストーリーのなかに複雑な葛藤が数多くあるため、イ先生の正体がわかったとしても、この映画は強烈なままですが。
この映画の結末は、重要な疑問を未解決のまま残し、観客に決断を促しています。このような結末は、観客が自分自身に挑戦し、映画の起こりうる結末について考えることを期待するものであり、観客に対する敬意であると私は思いました。ハリウッド映画で予測可能なハッピーエンドを提供されることに慣れている人たちは、過負荷を感じるかもしれません。
結局のところ、この映画はもっと評価されるべきです。激しいアクション映画、重厚なドラマ、緊迫したスリラーが好きなら、『毒戦 BELIEVER』はこれらの要素を完璧に織り交ぜて一度に見せてくれます。知的な結末は、映画が終わった後もずっと考えさせ、友人とこの映画について語り合いたくなります。
キャスト
登場人物 | 出演者 |
---|---|
オ・ヨンオク | キム・ソンリョン |
ブライアン | チャ・スンウォン |
スジョン(声) | ハレー・キム |
ソ・ヨンラク | リュ・ジュンヨル |
ウォン・ホ | チョ・ジヌン |
スジョン | クム・セロク |
チン・ハリム | キム・ジュヒョク |
パク・ソンチャン | パク・ヘジュン |
チョン・イル | ソ・ヒョヌ |
ドンウ(声) | スティーブン・イム |
ドンウ | チョン・ガラム |
ソヨン | カン・スンヒョン |
ドンヨン | キム・ドンヨン |
ボリョン | ジン・ソユン |
ヨンベ | キム・テジュン |
チュヨン(ろう双子) | イ・ズヨン |
ドクチュン | チョン・ジュンウォン |
ユク・ピルスン | パク・ウニョン |
部長 | ナム・ムンチョル |
ブライアンの側近 | キム・ジュンヒョン |
仁川工場の重役 | キム・ヨンジュ |
カートの女性 | イ・ジミン |
ハリムの部下 | ユン・ジョンイン |
いじめられっ子 | パク・ジンス |
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