『ブリッツ ロンドン大空襲』は、スティーヴ・マックィーンが脚本・製作・監督を務めた2024年の歴史戦争ドラマ。第二次世界大戦中のロンドンを舞台に、9歳の少年ジョージと母リタの運命を描きます。ナチスドイツの空襲から逃れるため、ジョージは田舎へ疎開しますが、母のもとへ戻ろうと危険な旅を始めます。多様な人々との出会いを通じて、戦争の残酷さと家族の絆が浮き彫りになります。
主演はシアーシャ・ローナンとエリオット・ヘファーナン(映画初出演)、脇役にハリス・ディキンソン、ベンジャミン・クレメンタイン、キャシー・バーク、ポール・ウェラー、スティーヴン・グラハムら。2024年10月9日にBFIロンドン映画祭のオープニング作品としてワールドプレミア上映され、2024年11月1日に英国と米国の一部の映画館で公開された後、11月22日にApple TV+でストリーミング配信されました。批評家からは概ね好意的な評価を得ています。
基本情報
- 邦題:ブリッツ ロンドン大空襲
- 原題:Blitz
- 公開年:2024年
- 製作国:英国、米国
- 上映時間:120分
- ジャンル:ドラマ、戦争
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ファム・ファタル
2011年に公開された映画『ハンナ』で、愛らしい容姿ながらも冷血な美少女アサシンを演じたシアーシャ・ローナン。時間が経つのはあっという間で、10年ちょっとを経た『ブリッツ ロンドン大空襲』でシアーシャはシングル・マザーを演じています。
この映画は、2024年に公開されたシアーシャ主演映画2本のうちの1本。もう1本はスタジオカナル/ソニー・ピクチャーズ・クラシックス/ステージ6フィルムズの『The Outrun』。
なお、シアーシャ・ローナンとハリス・ディキンソンは以前、『See How They Run』(2022年)で共演しています。
女優の活躍
映画『ブリッツ ロンドン大空襲』では、シアーシャ・ローナンがリタ役を演じ、母親としての深い感情を表現しています。彼女は工場で働きながら、息子ジョージの安全を案じ、戦争の苦難に耐える姿を力強く描き出します。この役柄を通じて、ローナンは感情の揺らぎを細やかに伝え、観客の心を捉えます。特に、BBCラジオでの歌唱シーンでは、彼女の歌声が戦争下の希望を象徴し、印象深い活躍を見せます。
また、キャシー・バークがベリル役で出演し、脇を固めます。彼女はリタの友人として、日常の支え合いを体現し、ユーモアを交えた演技で緊張感のある物語に温かみを加えます。エリン・ケリーマンがドリス役を務め、職場での仲間としてリタを励ますシーンで存在感を発揮します。これらの女優たちは、戦争という過酷な環境下で女性たちの連帯を強調し、物語の深みを増しています。
さらに、ヘイリー・スクワイアーズがティルダ役で登場し、シェルターでの人間模様を豊かにします。彼女の演技は、恐怖と勇気を交錯させ、観客に現実味を与えます。サリー・メッサムがアグネス役を演じ、短いシーンながらも戦争の影響を受けた女性の苦しみを表現します。これら女優の活躍は、全体として英国社会の多層性を描き出し、映画のテーマを支えています。
ミカ・リケッツがジェス役で、盗賊団の一員としてジョージに影響を与えます。彼女の演技は、荒廃したロンドンでのサバイバルを体現し、複雑な人間性を示します。セレステがアニタ・シンクレア役で、音楽シーンで活躍します。これらの女優たちは、それぞれの役を通じて、戦争下の女性の多様な生き方を描き、物語にリアリティを加えています。
女優の衣装・化粧・髪型
シアーシャ・ローナン演じるリタの衣装は、1940年代のロンドンを反映した実用的で質素なものが中心です。工場での作業服は、シンプルなワンピースやエプロンで、汚れに強い素材を使用しています。空襲時のシーンでは、暖かいコートやスカーフを着用し、保護を重視したデザインが目立ちます。これらの衣装は、戦時中の配給制を考慮した控えめな色合いと形状で、彼女の母親らしい力強さを強調します。
リタの化粧は、戦時下の厳しい生活を表す最小限のものが施されています。薄いパウダーと軽いリップで自然な肌色を保ち、過度な装飾を避けています。髪型は、波状のウェーブを入れたショートヘアで、ピンでまとめています。これは、空襲警報時の素早い動きを考慮した実用的なスタイルです。こうした外見は、彼女の内面的な強さを視覚的に支えています。
キャシー・バーク演じるベリルの衣装は、日常着として花柄のブラウスやスカートが用いられています。化粧は控えめで、眉を整える程度に留め、髪型は緩やかなカールでまとめています。これにより、友人としての親しみやすさが表現されます。エリン・ケリーマン演じるドリスの衣装は、工場制服に似たシンプルなもので、化粧は自然で、髪型はボブスタイルです。これらの要素は、女性たちの連帯感を強調します。
ヘイリー・スクワイアーズ演じるティルダの衣装は、シェルターシーンで暖かなショールやドレスが登場します。化粧は薄く、髪型はアップスタイルで、戦時の実用性を示します。サリー・メッサム演じるアグネスの外見は、質素なワンピースに最小限の化粧、ストレートヘアです。ミカ・リケッツ演じるジェスの衣装は、荒れたロンドンに合うラフな服で、化粧は汚れを模したもの、髪型は乱れたポニーテールです。これらは、役柄の過酷さを反映しています。
セレステ演じるアニタ・シンクレアの衣装は、音楽シーンでエレガントなドレスが用いられ、化粧はステージ向けに少し強調され、髪型は華やかなウェーブです。これにより、戦争下のエンターテイメントを象徴します。全体として、女優たちの衣装・化粧・髪型は、時代背景を忠実に再現し、物語の没入感を高めています。
あらすじ
物語は、第二次世界大戦中のロンドンで始まります。9歳の少年ジョージは、母リタの計らいで空襲から逃れるため田舎へ疎開します。しかし、ジョージは母のもとへ戻りたい一心で、列車から飛び降りてロンドンへ向かいます。この旅の途中で、彼は様々な危険に遭遇します。貨物列車に隠れ、兄弟たちと出会い、食料を分け合う友情が生まれますが、悲劇的な事故も起こります。
フラッシュバックでは、ジョージの父マーカスが人種差別により逮捕され、国外追放された過去が描かれます。リタは工場で働き、BBCラジオで歌を披露し、地下鉄駅をシェルターとして開放するよう抗議します。ジョージはロンドンに戻り、迷子になります。植民地展示で人種差別を思い知り、ナイジェリア出身のARPwardenイフェと出会います。イフェは多民族のシェルターでジョージを守りますが、空襲で命を落とします。
ジョージは盗賊団に誘われ、爆撃後の現場で略奪を手伝いますが、危険を感じて逃げ出します。夢の中で失った友人たちと再会するシーンが挿入され、戦争の心理的影響を示します。洪水の地下鉄駅で人々とともに脱出します。クライマックスでは、ジョージの家が爆撃され、祖父ジェラルドが亡くなります。リタと再会し、母子は瓦礫の中で抱き合い、リタは二度とジョージを離さないと誓います。
このあらすじを通じて、戦争の無差別性と人々のレジリエンスが描かれます。ジョージの視点から見たロンドンの多文化性が強調され、家族の絆が物語の核心となります。エンディングは、希望と喪失が交錯する感動的なものとなっています。
解説
映画『ブリッツ ロンドン大空襲』は、スティーブ・マックイーン監督が第二次世界大戦中のロンドン大空襲を題材に、個人の視点から社会を描いた作品です。従来の戦争映画とは異なり、子供の目線で多文化的な英国社会を掘り下げ、人種差別や階級問題を織り交ぜています。これにより、歴史的事実を単なる背景ではなく、キャラクターの成長に結びつけています。批評家からは、伝統的な冒険譚に現代的な視点を加えた点が高く評価されています。
映像面では、ヨリック・ル・ソーの撮影が空襲の混沌を美しく捉え、ハンス・ジマーの音楽が緊張感を高めます。監督の母が難民だった経験が反映され、移民の視点が強調されます。Rotten Tomatoesでの評価は81%と好評で、生存の物語として心を打つとされています。一方で、複数のテーマを詰め込みすぎたとの指摘もあり、焦点の散漫さを指摘する声もあります。
テーマ的には、家族の分離と再会が中心ですが、英国の植民地主義や戦時下の差別を批判的に描きます。ジョージの混血児としての苦難は、現代の多文化社会を映す鏡となっています。女優たちの演技は、戦争下の女性の強さを象徴し、物語に深みを加えています。全体として、戦争の残酷さを娯楽的に昇華した作品です。
受賞歴では、衣装デザインがBAFTAにノミネートされるなど、技術面も注目されています。この映画は、歴史教育としても価値があり、観客に戦争の教訓を伝えます。マックイーン監督のスタイルは、リアリズムを基調とし、観る者に強い印象を残します。
キャスト
- ジョージ・ハンウェイ:エリオット・ヘファーナン
- リタ:シアーシャ・ローナン
- ジャック:ハリス・ディキンソン
- イフェ:ベンジャミン・クレメンタイン
- ベリル:キャシー・バーク
- ジェラルド:ポール・ウェラー
- アルバート:スティーブン・グレアム
- ミッキー・デイビス:リー・ギル
- ジェス:ミカ・リケッツ
- マーカス:CJ・ベックフォード
- ヴィクター・スマイス:アレックス・ジェニングス
- クライヴ:ジョシュア・マクガイア
- ティルダ:ヘイリー・スクワイアーズ
- ドリス:エリン・ケリーマン
- アグネス:サリー・メッサム
- ケン・“スネークヒップス”・ジョンソン:デヴォン・マッケンジー=スミス
- アニタ・シンクレア:セレステ
- フレッド:クリストファー・チャン
スタッフ
- 監督:スティーブ・マックイーン
- 脚本:スティーブ・マックイーン
- 製作:ティム・ベヴァン、エリック・フェルナー、スティーブ・マックイーン、アニタ・オーバーランド、アダム・ソムナー、アーノン・ミルチャン、ヤリヴ・ミルチャン、マイケル・シェイファー
- 撮影:ヨリック・ル・ソー
- 編集:ピーター・シベラス
- 音楽:ハンス・ジマー
- 衣装デザイン:ジャクリーン・ドゥラン



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