ジェーン・リンチ(Jane Lynch)は米国のコメディアン、女優、歌手。『glee/グリー』のスー・シルベスター役で知られ、エミー賞受賞。舞台や映画、テレビで活躍し、独特のユーモアと存在感で人気を博す。
プロフィール
- ジェーン・リンチ(Jane Lynch)
- 生年月日:1960年7月14日(64歳)
- 出生地:米国イリノイ州ドルトン
- 国籍:米国
- 職業:女優、声優、コメディアン、歌手
- ジャンル:映画、TV
- 活動期間:1988年〜現在
- 配偶者:ララ・エンブリー(2010-2013年)
生い立ち・教育
ジェーン・リンチは1960年7月14日、米国イリノイ州エバーグリーン・パークで生まれ、ドルトンで育ちました。父親は銀行員、母親は主婦で、アイルランド系カトリック教徒の家庭に育ちました。この文化的背景は、彼女のユーモアや人間関係へのアプローチに影響を与えたとされています。高校は地元のソーンリッジ高校に通い、そこで演劇に興味を持ち始めました。彼女は早くから表現することへの情熱を抱き、学生時代には学校の演劇活動に積極的に参加しました。
大学進学後、イリノイ州立大学で演劇を専攻し、学士号を取得。その後、コーネル大学で美術の修士号を取得しました。この時期、彼女は演技だけでなく、舞台芸術全般に対する理解を深め、即興劇やコメディにも興味を持ち始めました。特に、シカゴの演劇シーンに身を置くことで、彼女のキャリアの基盤が形成されました。シカゴは即興コメディのメッカとして知られ、彼女のユーモアセンスや演技スタイルに大きな影響を与えました。
経歴
ジェーン・リンチのキャリアは、シカゴの著名な劇団「ステッペンウルフ・シアター・カンパニー」や即興コメディ集団「セカンド・シティ」で始まりました。これらの舞台での経験は、彼女のコメディセンスを磨き、独特のキャラクター表現力を養いました。1988年に映画『バイス・バーサ/ボクとパパの大逆転』でスクリーンデビューを果たしましたが、当初は脇役が中心でした。
彼女のブレイクは、2000年のクリストファー・ゲスト監督のモキュメンタリー映画『ドッグ・ショウ!』での役柄でした。この作品で、男性的なレズビアンのドッグトレーナー、クリスティを演じ、そのコミカルで強烈なキャラクターが批評家や観客の注目を集めました。この役は、彼女のユーモアと個性的な演技力を広く知らしめるきっかけとなり、以降、映画やテレビでの需要が高まりました。
2009年から2015年まで放送されたテレビドラマ『glee/グリー』でのスー・シルベスター役は、彼女のキャリアの頂点とも言える成功を収めました。チアリーディング部のコーチであるスーは、厳格で皮肉屋なキャラクターながら、時に人間味を見せる複雑な役柄で、リンチの演技力が存分に発揮されました。この役で彼女は2010年にプライムタイム・エミー賞助演女優賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞や全米映画俳優組合賞にもノミネートされました。また、2011年にはエミー賞の司会を務め、そのユーモアとカリスマ性で高い評価を受けました。
その後も、『トール・テイル』(1995年)、『40歳の童貞男』(2005年)、『シュガー・ラッシュ』(2012年、声優としてカルホーン軍曹役)など、多彩な映画に出演。さらに、Amazon Primeの『マーベラス・ミセス・メイゼル』(2017年~2023年)ではソフィ・レノン役でゲスト出演し、エミー賞ゲスト女優賞を受賞しました。ブロードウェイでも活躍し、2013年に『アニー』でミス・ハニガン役を演じてデビュー、2021年には『ファニー・ガール』のリバイバル公演に出演するなど、舞台でもその才能を発揮しています。
TVでは、『トゥー・アンド・ア・ハーフ・メン』(2004年~2014年)、『ザ・L・ワード』(2005年~2009年)、『ザ・グッド・ファイト』(2017年~2022年)、『オンリー・マーダーズ・イン・ザ・ビルディング』(2021年~2024年)など、数多くの作品でレギュラーやゲスト出演を果たしました。また、ゲーム番組『ハリウッド・ゲーム・ナイト』(2013年~2020年)の司会や、2020年以降の『ウィークエスト・リンク』のホストとしても活躍し、幅広いメディアでの存在感を示しています。
私生活
ジェーン・リンチはレズビアンであることを公表しており、プライベートでもそのオープンな姿勢が注目されています。2010年5月31日、犯罪心理学者のララ・エンブリー博士とマサチューセッツ州サザーランドで結婚しました。この結婚は当時、米国で同性婚が話題となる中で注目を集め、ニューヨーク・タイムズでも報道されました。しかし、2013年に二人は離婚を発表。エンブリーは以前のパートナーとの間で2人の子どもの親権を巡る裁判でも知られています。リンチ自身は子どもを持つことはありませんでしたが、エンブリーの家族との関係は良好だったとされています。
2021年、リンチはジェニファー・シェインと再婚しました。この再婚は彼女の私生活における新たな章として、メディアでもポジティブに報じられました。リンチは私生活での経験をユーモアや温かさで語ることが多く、彼女のオープンな性格はファンにも愛されています。また、彼女はLGBTQ+コミュニティの支援者としても活動し、自身の経験を通じて多様性や受容を訴える姿勢を示しています。
出演作品
ジェーン・リンチの出演作品は多岐にわたり、映画、テレビ、舞台、声優と幅広いジャンルで活躍しています。以下は代表的な作品の一部です。
映画
- バイス・バーサ/ボクとパパの大逆転(1988年):映画デビュー作。脇役ながら、コメディでの存在感を示す。
- ドッグ・ショウ!(2000年):クリストファー・ゲスト監督のモキュメンタリーで、ドッグトレーナーのクリスティ役を演じ、ブレイク。
- みんなのうた(2003年):同じくゲスト監督作で、フォークシンガーのローリー役。アンサンブル演技が評価された。
- 40歳の童貞男(2005年):コメディ映画で脇役として出演、ユーモアを披露。
- シュガー・ラッシュ(2012年):カルホーン軍曹の声優を務め、力強いキャラクターを演じた。
- トール・テイル(1995年):歴史コメディでの脇役出演。
TV
- glee/グリー(2009年~2015年):スー・シルベスター役でエミー賞受賞。チアリーディング部のコーチ役が大ヒット。
- トゥー・アンド・ア・ハーフ・メン(2004年~2014年):リカーリングキャラクターとして出演。
- ザ・L・ワード(2005年~2009年):LGBTQ+をテーマにしたドラマでゲスト出演。
- マーベラス・ミセス・メイゼル(2017年~2023年):ソフィ・レノン役でエミー賞ゲスト女優賞受賞。
- オンリー・マーダーズ・イン・ザ・ビルディング(2021年~2024年):ミステリーコメディでのリカーリング役。
- ハリウッド・ゲーム・ナイト(2013年~2020年):司会として出演、軽快な進行で人気。
舞台
- アニー(2013年):ブロードウェイデビュー作で、ミス・ハニガン役を演じた。
- ファニー・ガール(2021年):リバイバル公演に出演し、舞台女優としての評価を得た。
その他
- ウィークエスト・リンク(2020年~):ゲーム番組のホストとして活躍。
- 声優:『フィニアスとファーブ』など、アニメーションでの声の出演も多数。
総括
ジェーン・リンチは、コメディとドラマの両方で卓越した才能を発揮する女優であり、そのユーモアと人間味あふれる演技で世界中のファンを魅了しています。シカゴの舞台から始まり、映画やテレビ、ブロードウェイに至るまで、彼女のキャリアは多様で輝かしいものです。私生活でもオープンで誠実な姿勢を持ち、LGBTQ+コミュニティの支持者として社会的な影響力も発揮しています。これからも彼女の活躍に期待が高まります。
レビュー 作品の感想や女優への思い