『コカイン・ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝』（2018年）は、実在の麻薬王グリセルダ・ブランコの生涯を描くクライムサスペンス。キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ主演で、1970～80年代のコカイン密輸帝国の繁栄と崩壊を、冷酷な野心と人間的苦悩と共に描く。Hulu、U-NEXTで配信中。
基本情報
- 邦題：コカイン･ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝
- 原題：Cocaine Godmother
- 公開年：2018年
- 製作国：米国
- 上映時間：101分
- ジャンル：サスペンス、ドラマ、クライム
見どころ
主演は『シカゴ』でオスカーを獲得した名女優、キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ。最小限のメイクで老けた素顔を見せ、コロンビアの悪名高い実在のドラッグ女王を熱演する。
女優の活躍
『コカイン・ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝』の主演を務めるキャサリン・ゼタ＝ジョーンズは、アカデミー賞受賞作『シカゴ』（2002）で知られる実力派女優であり、グリセルダ・ブランコ役で圧倒的な存在感を発揮しています。彼女は、グリセルダの冷酷な犯罪者としての顔と、母親としての複雑な内面を巧みに演じ分け、観客に強烈な印象を与えました。特に、感情の爆発や狂気を帯びたシーンでは、彼女の演技力が際立ち、恐怖とカリスマ性を同時に表現。レビューでは「怖さが際立つ台詞回し」「狂気を感じる演技」と高く評価されており、グリセルダの多面的なキャラクターを体現しています。ゼタ＝ジョーンズは、役作りのために最小限のメイクで老けた素顔を見せ、グリセルダの過酷な人生をリアルに表現しました。共演者では、カルロス役のラウル・メンデスやカロリーナ役のジェニー・ペリサーも物語に深みを加え、ゼタ＝ジョーンズとの緊張感ある掛け合いが光ります。
女優の衣装・化粧・髪型
キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ演じるグリセルダの衣装は、1970～80年代のコロンビアとマイアミの雰囲気を反映し、時代感とキャラクターの個性を強調しています。衣装は、麻薬帝国の頂点に君臨する「女王」らしい豪華で派手なデザインが特徴。鮮やかな色のドレスや、ボディラインを強調するタイトな衣装が登場し、グリセルダの権力と自信を象徴しています。特に、女性用下着に麻薬を隠す密輸方法を考案した彼女のアイデアを反映し、衣装には実用性と大胆さが融合したデザインが見られます。
化粧は、グリセルダの変遷を表現する重要な要素です。初期のシーンでは、若々しく魅力的なメイクが施され、彼女の野心的な性格を強調。物語が進むにつれ、過酷な生活や犯罪の重圧を反映し、控えめで疲れた印象のメイクに変化します。これにより、彼女の内面的な苦悩が視覚的に表現されています。髪型も多様で、長髪のダークヘアから派手な金髪まで登場。金髪のスタイルは、マイアミでの「コカインの女王」としての派手なイメージを強調し、ダークヘアは彼女の出自や過去の苦労を想起させます。場面写真では、これらのビジュアルがグリセルダの二面性を際立たせる要素として注目されています。
あらすじ
『コカイン・ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝』は、コロンビア出身のグリセルダ・ブランコが、1970年代から80年代にかけてコカイン密輸で巨大な帝国を築いた実話を基にした物語です。17歳で偽造パスポートを使ってアメリカに渡ったグリセルダは、ニューヨークで3人の息子を育てながら麻薬密売に足を踏み入れます。2番目の夫アルベルト・ブラボーとともに、女性用下着や車椅子の高齢者を活用した斬新な密輸方法を考案し、ビジネスを拡大。やがてマイアミに拠点を移し、「コカインのゴッドマザー」として裏社会を席巻します。しかし、彼女の冷酷さと暴力が引き起こす軋轢は、ライバルや身内との対立を招き、3人の夫を含む200人以上の殺害に関与したとされます。1979年のデイドランド・モールでの射殺事件など、マイアミを「コカイン戦争」の戦場に変えた彼女は、1985年に逮捕され服役。2004年にコロンビアへ送還された後、2012年、69歳で暗殺者による銃撃で命を落とします。彼女のカリスマ性と裏に隠された母としての葛藤が、物語の軸となっています。
解説
『コカイン・ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝』は、グリセルド・ブランコの犯罪者としての冷酷さと、女性としての苦悩を対比させ、複雑な人間像を描き出しています。監督のギレルモ・ナヴァロは、『パンズ・ラビリンス』（2007）でアカデミー撮影賞を受賞した撮影監督としての経験を活かし、視覚的に鮮烈な映像美で物語を展開。1970～80年代のディスコブームや麻薬文化を背景に、コロンビアとマイアミの対比を効果的に表現しています。タイトルはフランシス・コッポラの『ゴッドファーザー』にオマージュを捧げており、グリセルダが息子にマイケル・コルレオーネと名付けたエピソードもその影響を反映しています。しかし、レビューでは「スケール感が『ゴッドファーザー』に及ばない」との声もあり、物語の深みや感情の掘り下げがやや不足しているとの指摘もあります。
グリセルダの物語は、貧困から這い上がった女性が男性社会で権力を握る過程を描きつつ、彼女の暴力的な手段や倫理の欠如がもたらす悲劇を浮き彫りにします。特に、彼女が愛したカロリーナや母親との関係を通じて、愛と承認を求める人間的な側面が描かれ、単なる犯罪者像を超えた複雑さが表現されています。本作は、麻薬ビジネスの残酷さと、女性としてのアイデンティティや母性の葛藤を巧みに織り交ぜ、観客にグリセルダの矛盾に満ちた人生を問いかけます。
キャスト
- グリセルダ・ブランコ：キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ（『シカゴ』でアカデミー助演女優賞受賞。冷酷な麻薬王と母の二面性を熱演）
- アルベルト・ブラボー：ラウル・メンデス（グリセルダの2番目の夫で密輸のパートナー）
- カロリーナ：ジェニー・ペリサー（グリセルダの愛情と葛藤の対象となる人物）
その他、ホアン・アコスタ、カルロス・バーデムなど、コロンビアやマイアミの裏社会を彩る俳優陣。美人女優のアリソン・バスはコロンビア人女性役で出演。
スタッフ
- 監督：ギレルモ・ナヴァロ（『パンズ・ラビリンス』でアカデミー撮影賞受賞、『ナルコス』監督）
- 脚本：デヴィッド・マッケンナ、モリー・スミス
- 製作：A&E Television Networks
- 撮影：ギレルモ・ナヴァロ（監督兼任）
- 音楽：エドワード・シェアマー
- 編集：ミシェル・コンロイ
配信情報
『コカイン・ゴッドマザー 麻薬帝国の女帝』は、2025年2月7日よりHulu、2月15日よりU-NEXTで日本初配信されました。キャサリン・ゼタ＝ジョーンズの迫真の演技と、グリセルダ・ブランコの波乱に満ちた人生を、ぜひ動画配信サービスでご覧ください。
レビュー 作品の感想や女優への思い