ジャクリーン・ルース・”ジャッキー”・ウィーヴァー(Jacqueline Ruth “Jacki” Weaver)はオーストラリア出身女優。劇場、映画、テレビの分野で長年にわたり活躍し、数々の賞を受賞。おもな受賞歴に、オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞(AACTA賞)を5回、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞を1回含み、アカデミー賞助演女優賞に2回ノミネート、ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされた経験あり。
1970年代のオーストラリアン・ニューウェーブ期に注目を集め、Ozploitation映画への出演で基盤を築きました。国際的なブレイクは2010年の映画『アニマル・キングダム』での犯罪一家の母役で、続く2012年の『世界にひとつのプレイブック』でさらに評価を高め、ハリウッド進出を果たしました。以降、米国TV番組『イエローストーン』などにも出演し、幅広いキャリアを展開しています。彼女の演技は、強靭で複雑な女性像を描くことに定評があり、オーストラリア演劇界の象徴的な存在として尊敬を集めています。
プロフィール
- 名前:ジャッキー・ウィーヴァー(Jacki Weaver)
- 本名:ジャクリーン・ルース・ウィーヴァー(Jacqueline Ruth Weaver)
- 生年月日:1947年5月25日(78歳)
- 出生地:オーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニー
- 職業:女優
- 活動期間:1966年~活動中
- 配偶者:デリン・ヒンチ(1983年 – 1996年)、ショーン・テイラー(? – 継続中)
生い立ちと教育
ジャッキー・ウィーヴァーは、1947年5月25日にオーストラリアのニューサウスウェールズ州シドニー近郊のハーストビルで生まれました。彼女の母親であるエディス(旧姓シンプソン)はイングランド北部からの移民で、父親のアーサーはシドニーで弁護士を務めていました。このような家庭環境で育ち、幼少期から芸術や文化に触れる機会が多くございました。教育面では、ホーンズビー女子高等学校に通い、そこで優秀な成績を収め、首席(Dux)として卒業。この功績により、大学で社会学を学ぶための奨学金を得ましたが、彼女は演技への情熱を優先し、大学進学を断念して芸能界への道を選びました。この選択は、彼女の後の輝かしいキャリアの基盤となったものです。幼い頃から歌や演劇に興味を示し、地元のコミュニティ活動を通じて才能を磨いてきました。
経歴
ジャッキー・ウィーヴァーの経歴は、1960年代に始まり、半世紀以上にわたって多岐にわたる活躍を続けています。彼女は16歳の若さでデビューを果たし、ABC制作の『Hansel and Gretel』(1963年)で初舞台を踏みました。1964年にはシドニーのパレス劇場で風刺劇に出演し、TV番組『Bandstand』では「I Love Onions」を歌うなど、多才さを発揮。1966年のTV番組『Wandjina!』でブレイクを果たし、以降、映画界へ進出しました。
1970年代はオーストラリア映画の黄金期で、彼女のキャリアの基盤が築かれました。1971年の『Stork』で初のオーストラリア映画協会賞主演女優賞を受賞し、1973年の『Alvin Purple』、1974年の『Petersen』、1975年の『Picnic at Hanging Rock』、1976年の『Caddie』で助演女優賞を受賞するなど、連続して成功を収めました。これらの作品はOzploitationジャンルの代表作として知られ、彼女のコミカルで力強い演技が評価されました。また、TV映画『Polly My Love』(1976年)や『Do I Have to Kill My Child?』(1976年)でLogie賞を受賞しています。
1980年代に入ると、ミニシリーズへの出演が増え、『Water Under the Bridge』(1980年)、『The Challenge』(1986年)、映画『Squizzy Taylor』(1982年)、TV番組『House Rules』(1988年)などで活躍。1990年代から2000年代初頭は主に舞台に注力し、80以上の戯曲に出演しています。代表作には『Death of a Salesman』、『A Streetcar Named Desire』、『Uncle Vanya』(2010-2011年)などがございます。2005年には自伝『Much Love, Jac』を出版し、自身の人生とキャリアを振り返りました。この時期は、演技の深みを増すための重要な時間であったと言えます。
2010年代以降は国際的な活躍が目覚ましく、2010年の『Animal Kingdom』で犯罪一家の母ジャニー・”Smurf”・コディ役を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞をはじめ多数の賞を受賞しました。これを機にハリウッドへ進出し、2012年の『The Five-Year Engagement』でデビュー、『Silver Linings Playbook』(邦題:世界にひとつのプレイブック)で再びアカデミー賞ノミネートを果たしました。
以降の映画出演には、『Parkland』(2013年)、『Magic in the Moonlight』(2014年)、『The Disaster Artist』(2017年)、『Bird Box』(2018年)、『Widows』(2018年)、『Poms』(2019年)、『ステージ・マザー』(2020年)、『Father Stu』(2022年)などがあります。
TV番組では、『Blunt Talk』(2015-2016年)、『Secret City』(2016-2019年)、『Bloom』(2019-2020年)、『Perpetual Grace, LTD』(2019年)、そして2021年から続く『イエローストーン』でキャロライン・ワーナー役を演じています。彼女のキャリアは、常に進化を続け、多様な役柄を通じて観客を魅了しています。
私生活
ジャッキー・ウィーヴァーの私生活は、複数の結婚歴とパートナーシップで彩られています。彼女はシドニー・シアター・カンパニーのディレクター、リチャード・ウェレットと長期間の関係を築きました。1966年から1970年までデイビッド・プライスと結婚し、その後1970年にジョン・ウォルターズとの間に息子をもうけました。1975年から1977年まではマックス・ヘンサーと結婚、1977年から1981年まではフィル・デイビスと同居生活を送りました。1983年から1998年まではジャーナリストのデリン・ヒンチと結婚し、二度の結婚と離婚を経験しています。現在は2003年から俳優のショーン・テイラーと結婚し、安定した生活を送っています。彼女の自伝『Much Love, Jac』では、これらの関係について率直に語られており、仕事と私生活のバランスを大切にしている様子がうかがえます。また、家族を大切にする姿勢が、彼女の演技にも反映されていると言われています。
出演作品
映画
- 1966年: They’re a Weird Mob – ビーチの少女役
- 1970年: The Naked Bunyip – 自身役
- 1971年: Stork – アンナ役(オーストラリア映画協会賞主演女優賞受賞)
- 1973年: Alvin Purple – セカンド・シュガー・ガール役
- 1974年: Petersen – スージー・ピーターセン役
- 1975年: Picnic at Hanging Rock – ミンニー役
- 1976年: Caddie – ジョシー役(オーストラリア映画協会賞助演女優賞受賞)
- 1982年: Squizzy Taylor – ドリー役
- 1983年: Abra Cadabra – プリムローズ・バターカップ役(声の出演)
- 1987年: The Perfectionist – バーバラ・ガン役
- 1996年: Cosi – チェリー役
- 2007年: Hammer Bay – エイリーン・ブレイクリー役
- 2008年: Three Blind Mice – バーニー役
- 2010年: Animal Kingdom – ジャニー・”Smurf”・コディ役(アカデミー賞助演女優賞ノミネート)
- 2012年: The Five-Year Engagement – 役名不明
- 2012年: Silver Linings Playbook – ドロレス・ソリータ役(アカデミー賞助演女優賞ノミネート)
- 2013年: Stoker – グウェンドリン・ストーカー役
- 2013年: Parkland – マーグリット・オズワルド役
- 2014年: Magic in the Moonlight – 役名不明
- 2017年: The Disaster Artist – 役名不明
- 2018年: Bird Box – 役名不明
- 2018年: Widows – アグニェシュカ役
- 2019年: Poms – シェリル役
- 2020年: ステージ・マザー – メイベリン役
- 2022年: Father Stu – キャサリン役
テレビ
- 1963年: Hansel and Gretel – 役名不明
- 1966年: Wandjina! – 役名不明
- 1976年: Polly My Love – 役名不明
- 1976年: Do I Have to Kill My Child? – 役名不明
- 1980年: Water Under the Bridge – 役名不明
- 1986年: The Challenge – 役名不明
- 1988年: House Rules – 役名不明
- 2015-2016年: Blunt Talk – ロザリー・ウィンター役
- 2016-2019年: Secret City – キャディ・ステュアート役
- 2019-2020年: Bloom – ナン役
- 2019年: Perpetual Grace, LTD – リリアン・ブラウン役
- 2021年-: イエローストーン – キャロライン・ワーナー役
舞台
- Death of a Salesman
- A Streetcar Named Desire
- Uncle Vanya (2010-2011年)
- その他80以上の戯曲
レビュー 作品の感想や女優への思い