『小悪魔はなぜモテる?!』は2010年にアメリカ合衆国で公開された青春コメディ。アメリカの高校生オリーブが、軽い嘘から始まる誤解で「売春婦」の噂を立てられ、名作小説『緋文字』に着想を得てそのイメージを逆手に取っていく。エマ・ストーン主演のウィットに富んだラブストーリーが魅力。監督ウィル・グラックの軽快な演出が光る。
基本情報
- 邦題:小悪魔はなぜモテる?!
- 原題:Easy A
- 公開年:2010年
- 製作地:アメリカ合衆国
- 上映時間:92分
- ジャンル:コメディ、恋愛
- 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
女優の活躍
本作の主演を務めるエマ・ストーンは、オリーブ・ペンダーガスト役で見事な演技を披露いたしました。彼女は当時まだ若手女優として注目を集めていましたが、この作品でその才能を存分に発揮し、批評家から高い評価を得ました。エマ・ストーンの活躍は、物語の中心に位置づけられるオリーブの複雑な心理描写にあります。最初は内気で目立たない少女として描かれるオリーブが、噂の渦中に巻き込まれ、徐々に自信を付け、挑発的な態度を取るようになる変貌を、彼女は自然で説得力のある演技で体現しております。特に、ウェブカメラに向かって語りかけるモノローグシーンでは、ユーモアと自嘲を交え、観客を物語に引き込む魅力的な存在感を示しました。
エマ・ストーンは、即興的なセリフ回しが得意で、本作でも監督のウィル・グラックからその自由度を与えられ、キャラクターに深みを加えました。彼女のウィットに富んだ台詞は、ティーンエイジャーのリアルな声を反映し、共感を呼ぶものでした。また、ゴールデングローブ賞のミュージカルまたはコメディ部門最優秀女優賞にノミネートされるなど、キャリアの転機となった作品です。この活躍により、以降のハリウッドでの地位を確立し、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『ラ・ラ・ランド』での受賞につながる基盤を築きました。エマ・ストーンの演技は、単なるコメディではなく、社会的な風刺を織り交ぜた深層心理の表現として、観る者に強い印象を残します。
女優の衣装・化粧・髪型
エマ・ストーン演じるオリーブの衣装は、物語の進行とともにその変貌を象徴する重要な要素です。物語序盤では、平凡な高校生らしいカジュアルなスタイルが目立ちます。ゆったりとしたTシャツにジーンズ、またはシンプルなブラウスとスカートを合わせ、化粧はほとんど施さず、自然な素顔を強調したメイクです。髪型はストレートのロングヘアを無造作に下ろし、目立たない日常的な印象を与えます。これにより、彼女の内気で普通の少女像が視覚的に表現されています。
しかし、噂が広まり、オリーブが「売春婦」のイメージを受け入れる中盤以降、衣装は大胆に変化します。名作小説『緋文字』に着想を得て、黒いトップスやミニスカートなどのセクシーで挑発的な服装を着用し、胸元に赤い「A」の刺繍を施した衣装が象徴的です。この赤い「A」は、物語の核心を視覚化し、観客に強いインパクトを与えます。化粧も濃くなり、赤いリップやスモーキーなアイメイクを施し、妖艶さを演出。髪型はウェーブを加えたボリュームのあるスタイルに変わり、自信に満ちた小悪魔的な魅力を強調します。これらの変化は、衣装デザイナーのジュリアン・ファーガソンが手がけ、キャラクターの心理的成長を細やかに反映したものです。エマ・ストーン自身も、これらの衣装を通じて役に没入し、演技の幅を広げました。全体として、衣装・化粧・髪型は、ティーンコメディの枠を超えたスタイリッシュな視覚表現として、本作の魅力を高めています。
あらすじ
カリフォルニア州オハイという小さな町に住む17歳の高校生、オリーブ・ペンダーガストは、親友のリアノンから週末のキャンプ旅行に誘われますが、ヒッピー気質のリアノンの両親との時間を避けるため、「大学に通う男性とデートする」と嘘をつきます。実際には、家で一人、祖母から届いたナターシャ・ベディングフィールドの「Pocketful of Sunshine」を聴きながら過ごすだけでした。月曜日、学校でリアノンに追及されたオリーブは、勢いで「デートで純潔を失った」とさらに大きな嘘を重ねてしまいます。この会話は、信心深い同級生のマリアン・ブライアントに聞かれてしまい、瞬く間に学校中に「オリーブがセックスした」という噂が広がります。マリアンを中心とした教会グループは、オリーブを「放蕩者」として非難し、救済を試みます。
そんな中、オリーブは学校でいじめられるゲイの同級生、ブランドンに真実を打ち明けます。ブランドンは、自身のセクシャリティを隠すために、オリーブに「ビアード」として振る舞うよう頼みます。オリーブはパーティーでブランドンと「セックスしたふり」をし、彼の人気を上げる手助けをします。これを機に、オリーブは誤解された評判を逆手に取り、英語の授業で学んだナサニエル・ホーソンの小説『緋文字』に着想を得て、服に赤い「A」を縫い付け、挑発的な服装で学校に現れます。以前モテなかった男子生徒たちは、オリーブが自分たちと「セックスした」と噂を広めてくれるよう頼み込み、彼女はギフトカードなどの見返りにそれに応じます。こうして、オリーブは一躍人気者となりますが、事態は複雑化します。
マリアンの彼氏ミカは、学校カウンセラーのミセス・グリフィスと不倫し、クラミジアに感染しますが、責任をオリーブに転嫁します。ミセス・グリフィスの夫でオリーブのお気に入りの教師、ミスター・グリフィスを守るため、オリーブは自ら罪を被ります。教会グループはオリーブを学校から追い出そうと嫌がらせをエスカレートさせ、親友リアノンとも決裂します。オリーブは幼馴染のトッドと再会し、彼だけが噂を信じていないことを知りますが、他の男子たちは新しい評判を手放そうとしません。ミセス・グリフィスを脅迫するも失敗し、オリーブは絶望します。
母親との会話で気づきを得たオリーブは、応援団の集会で歌とダンスのパフォーマンスを披露し、ウェブキャストで真実を告白することを宣言します。ウェブキャストでは、すべての経緯を語り、噂の被害者となった自分の愚かさを振り返ります。最終的に、トッドが芝刈り機に乗って現れ、二人はキスを交わします。オリーブは「純潔を失うかどうかは誰の知ったことでもない」と締めくくり、リアノンに謝罪のメッセージを送ります。物語は、誤解と成長の末に訪れる解放感で幕を閉じます。このあらすじは、ウェブカメラの枠組みで語られるため、観客に親密な語り口を提供します。
解説
『小悪魔はなぜモテる?!』は、現代のティーンエイジャーが直面するゴシップと社会的プレッシャーを、ユーモラスに風刺した作品です。原作小説『緋文字』を基調とし、19世紀のピューリタン社会の風刺を、21世紀のSNS時代に置き換えています。主人公オリーブの「A」は、恥辱の象徴からエンパワーメントのシンボルへ転換する過程が、フェミニズム的な視点から描かれ、女性の性的イメージに対する社会の視線を鋭く批判します。監督ウィル・グラックは、軽快なテンポとポップカルチャーの引用を駆使し、重いテーマをエンターテイメントに昇華させました。
エマ・ストーンの演技は、批評家から「新世代のコメディクイーン」と称賛され、ゴールデングローブ賞ノミネートに値するものです。彼女のサッシーな魅力は、観客に共感と笑いを誘い、ティーン映画のステレオタイプを打破しました。また、脇役陣の個性的なキャラクターが、物語の風刺を豊かにしています。例えば、アマンダ・バインズのマリアンは、宗教的偽善を体現し、社会の二面性を象徴します。脚本のバート・V・ロイヤルは、鋭い対話で現代の若者文化を捉え、IMDbで7.2の高評価を得ました。
本作は、ジョン・ヒューズの80年代ティーンコメディへのオマージュとしても機能し、『ブレックファスト・クラブ』などのクラシックを想起させます。しかし、SNSの影響を加味した現代性があり、誤解の連鎖が急速に広がる様子は、今日のデジタル社会を予見しています。興行収入では全米で58百万ドルを記録し、批評サイトRotten Tomatoesで85%の支持率を獲得。ティーン映画の枠を超え、大人向けの風刺コメディとして評価されました。全体として、自己発見と赦しのテーマが、心温まる結末で締めくくられ、観る者に希望を与えます。この解説から、本作が単なる娯楽ではなく、社会的洞察に満ちた優れた作品であることがわかります。
キャスト
- エマ・ストーン:オリーブ・ペンダーガスト役
- ペン・バッジリー:トッド役
- アマンダ・バインズ:マリアン・ブライアント役
- ダン・バード:ブランドン役
- アリソン・ミシェルカ:リアノン・アバーナシー役
- トーマス・ヘイデン・チャーチ:ミスター・グリフィス役
- リサ・クドロー:ミセス・グリフィス役
- パトリック・クルーガー:ディランの父役
- ブライアン・ウェストン:チップ役
- クリスティン・バンス:ロージー夫人役
スタッフ
- 監督:ウィル・グラック
- 脚本:バート・V・ロイヤル
- 製作総指揮:マーク・J・サロウィッツ、トッド・リビングストン
- 製作:メラニー・J・リビングストン、ウィル・グラック
- 撮影:マイケル・バウマン
- 編集:ケイティ・フォルクナー
- 音楽:ザック・シェイク
- 衣装デザイン:ジュリアン・ファーガソン
- 美術:パトリック・M・メルローズ
- 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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