エフゲニア・カナエワ（Yevgeniya Kanayeva）はロシアの元新体操選手。北京2008年とロンドン2012年のオリンピック個人総合で金メダルを獲得した史上唯一の選手であり、世界選手権で17個の金メダルを獲得するなど、数々の記録を樹立しました。2012年に引退後、コーチや行政職に就いています。
プロフィール
- 名前：エフゲニア・カナエワ（Yevgeniya Kanayeva）
- フルネーム：エフゲニア・オレゴヴナ・カナエワ
- 愛称：ジェーニャ
- 国籍：ロシア
- 生年月日：1990年4月2日（35歳）
- 出生地：ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国、オムスク
- 身長：170cm
- 体重：49kg
- 種目：新体操
- 所属：ガスプロム
- コーチ：イリナ・ヴィネル
- 引退：2012年
生い立ち・教育
エフゲニア・オレゴヴナ・カナエワは、1990年4月2日、当時のソビエト連邦オムスク市で生まれました。彼女の家族はスポーツ一家で、母親のスヴェトラーナ・カナエワは新体操選手としてスポーツマスターの称号を有し、父親のオレグ・カナエフは元グレコローマンスタイルのレスリング選手で、現在はコーチを務めています。また、兄のエゴールもグレコローマンスタイルのレスリング選手として活躍しています。このような環境の中で育ったエフゲニアは、自然とスポーツに親しむ機会に恵まれました。
幼少期のエフゲニアは、柔軟性と可塑性に優れた体質を持っており、6歳の時に祖母の勧めで新体操を始めました。当初、母親のスヴェトラーナは娘をスポーツ界の厳しさにさらしたくなく、反対していましたが、祖母の強い希望により、地元の新体操セクションに入門しました。最初のコーチはエレーナ・アライスで、彼女は後にエフゲニアの指導者となるヴェラ・シュテルバウムスの娘でした。シュテルバウムスは、エフゲニアが他の生徒が帰宅した後も熱心に練習を続ける姿を高く評価し、廊下で待つ祖母の献身的な様子も印象に残っています。この時期から、エフゲニアの才能は早くも開花し始め、家族のサポートのもとで着実に基礎を築いていきました。
12歳の時、エフゲニアは才能を見込まれ、モスクワのオリンピック予備校に移り、全国チームのトレーニングキャンプに参加しました。そこで、著名なコーチのアミナ・ザリポワに注目され、正式にオリンピック予備校の生徒となりました。この転機により、彼女のトレーニングは本格化し、ジュニア時代に急速に頭角を現すこととなります。教育面では、シベリア国立体育大学（現・シベリア国立大学体育学部）に在籍し、スポーツ科学を学びました。競技生活と並行して学業を両立させるのは大変でしたが、母親の助言に従い、賞金の一部を教育資金として貯蓄し、将来の学業に備えていました。引退後の興味として、絵画やピアノの習得を挙げており、競技以外の創造的な分野への好奇心も持ち合わせています。このように、スポーツ一家の恵まれた環境と自身の努力が、エフゲニアの基盤を形成したのです。
経歴
エフゲニア・カナエワの新体操キャリアは、驚異的な成果の連続で彩られています。以下に、主な経歴を時系列で概観いたします。
- 2003年：ジュニア世界選手権で初の成功を収め、個人総合優勝。才能が国際的に認められる。
- 2004年：Aeonカップで個人総合1位を獲得。
- 2005年：ジュニアグランプリ・ティエで全種目金メダル。ジュニア時代を圧倒的な成績で締めくくる。
- 2006年：シニアデビュー。シュマイデン国際トーナメントで個人総合および全種目金メダル。Mieワールドカップでクラブとリボン5位。
- 2007年：コルベイユ＝エソンヌワールドカップで個人総合、フープ、ロープ、リボン金メダル。バクー欧州選手権でリボンとチーム金メダル。パトラス世界選手権でチーム金メダル。
- 2008年：グランプリおよびワールドカップシリーズ全制覇。ロシア選手権優勝。北京オリンピックで75.50点の圧倒的スコアで個人総合金メダル（2位に3.50点差）。18歳の若さで歴史的快挙を達成。
- 2009年：欧州選手権で4種目全金メダル。ユニバーシアードとワールドゲームズで9金。Mie世界選手権で個人総合含む6金（1大会最多記録更新）。ロシアの功労スポーツマスター称号受章。
- 2010年：グランプリファイナルおよび欧州選手権個人総合金。世界選手権で個人総合、ボール、フープ金、ロープ銀。
- 2011年：モスクワグランプリ全種目金。世界選手権で6金。Brnoグランプリファイナルでリボン演技30点満点（難度・芸術性・実行10点満点）。
- 2012年：モスクワグランプリでリボン、クラブ、フープ金。欧州選手権3連覇。ロンドンオリンピックで116.900点で個人総合金メダル（史上初の2連覇、最年長優勝）。同年12月、競技引退を発表。通算17世界金、13欧州金、18ワールドカップ勝利、15グランプリ勝利。
エフゲニアのキャリアの特徴は、一貫した完璧さと高い技術難度にあります。彼女の演技は優雅で革新的であり、「カナエワ」と名付けられたスペシャルムーブ（バックベンド支援リングピボットの変形）も存在します。2013年には国際フェアプレー賞「スポーツと人生」部門を受賞し、2012年ロンドンオリンピック後には祖国功労4等勲章を授与されました。引退後はロシア新体操連盟のコーチとして後進を指導し、現在は12-14歳の少女たちを担当。現役時代のトレーニング量を振り返り、現代の選手たちにアドバイスを送っています。彼女の功績は、新体操史に永遠に刻まれています。
私生活
エフゲニア・カナエワの私生活は、競技生活の厳しさとは対照的に、温かく安定したものです。2012年ロンドンオリンピック直前、緊急外来で出会ったアイスホッケー選手のイゴール・ムサトフと恋に落ちました。当時、ムサトフは奔放な生活を送っていましたが、エフゲニアとの出会いを機に大きく変わり、二人は2013年6月8日に結婚しました。結婚後、2014年3月19日に長男ウラジーミルが生まれ、家族3人で幸せな日々を過ごしています。メディアでは離婚の噂が度々浮上しますが、公式に否定されており、8年以上にわたり強固な絆を保っています。エフゲニアは夫と息子を深く愛し、家族との時間を大切にしています。
趣味としては、絵画が特に挙げられます。現役時代から水彩画を描くのが好きで、賞金を学費に充てるほど本格的に学びたいと語っていました。引退後、ピアノや外国語、コンピュータ関連の勉強にも興味を示しており、多角的な自己研鑽を続けています。性格は内省的で自己認識が高く、ライフパスナンバー7の影響か、精神的な成長を重視します。星座は牡羊座で、勇気があり情熱的ですが、時には衝動的になる一面もあります。母親のスヴェトラーナによると、エフゲニアは常にポジティブで、人生の成功は前向きな姿勢から生まれると信じています。ソーシャルイベントにも時折参加し、他のオリンピックチャンピオンとの交流を楽しんでいます。こうした私生活の充実が、彼女の輝かしいキャリアを支えました。
出演作品
エフゲニア・カナエワは、競技者としてだけでなく、メディアや広告分野でも活躍しています。主な出演作品を以下に列挙いたします。
- London 2012: Games of the XXX Olympiad（2012年、ドキュメンタリー、自身役）。
- Pantene Pro-V CM（2012年、オリンピック公式アンバサダーとして出演。ロシアの9人のエリートアスリートの一人）。
- Longinesブランドアンバサダー（2009-2012年、ラグジュアリーウォッチハウスの広告キャンペーン）。
- ロシア放送番組（引退後、水彩画を描くコーナー出演。スタッフ主導の創作活動を披露）。
- インタビュー番組：Passion.ru（2012年、引退直後の対談。美容、ダイエット、キャリアについて語る）。
- ドキュメンタリー：ロシア新体操連盟関連映像（キャリア振り返り、指導者としての姿）。
- 2013年夏季ユニバーシード・カザン大使（名誉アンバサダーとしてプロモーション出演）。
- Visaオリンピックスポンサーシップ（2012年ロンドンオリンピック関連広告）。
これらの出演は、エフゲニアの知名度をさらに高め、スポーツを超えた影響力を発揮しました。特にCMでは、優雅な演技を活かした美しい映像が話題となりました。引退後も、指導者としてテレビやイベントに登場し、後輩選手のロールモデルとなっています。
レビュー 作品の感想や女優への思い