映画『昼顔』は、1967年に公開されたフランスのドラマ作品。ルイス・ブニュエル監督が手がけ、カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務めます。裕福な若妻セヴリーヌが、夫との性生活に満足できず、午後に高級売春宿で働く二重生活を送る物語です。幻想と現実が曖昧に交錯し、シュルレアリスムの要素が強いです。性的欲求と心理を探る深みのある内容で、上映時間は100分。
基本情報
- 邦題:昼顔
- 原題:BELLE DE JOUR
- 公開年:1967年
- 製作国・地域:フランス
- 上映時間:100分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
カトリーヌ・ドヌーヴは、映画『昼顔』で主人公セヴリーヌを演じ、彼女のキャリアにおいて重要な役割を果たしました。23歳という若さで、冷徹でミステリアスな美女を体現し、幻想と現実の狭間で揺れる内面的な葛藤を繊細に表現します。彼女の演技は、観客を引き込む力があり、映画の成功に大きく寄与しました。
ドヌーヴの演技は、氷のような美しさと内なる情熱のコントラストが特徴です。夫婦生活の表層的な幸福と、秘めたマゾヒスティックな欲求を、微妙な表情の変化で描き出します。この役柄を通じて、彼女は国際的な注目を集め、後の作品でも同様のクールビューティー像を確立しました。
批評家からは、ドヌーヴの演技が高く評価され、BAFTA賞の主演女優賞にノミネートされました。彼女の存在感が、ブニュエルのシュルレアリスムをより魅力的にし、映画のテーマである性的解放を説得力を持って伝えています。ドヌーヴは、撮影時の不満を語っていますが、結果として彼女の代表作の一つとなりました。
本作での活躍は、ドヌーヴの多様な役柄への適応力を示します。彼女は、単なる美貌の女優ではなく、心理描写の巧みさを証明し、フランス映画界のアイコンとして地位を固めました。以降のキャリアでは、多様なジャンルで活躍を続けています。
女優の衣装・化粧・髪型
カトリーヌ・ドヌーヴの衣装は、イヴ・サンローランがデザインし、セヴリーヌのブルジョワ的な洗練さを強調します。黒のビニール製トレンチコートにニット袖を組み合わせたものが代表的で、ミニ丈のドレスや軍隊風コートが登場します。これらは、性的魅力を控えめに表現し、キャラクターの二重性を象徴します。
衣装の特徴として、膝上丈のスカートやエポレット付きのコート、黒のベルト付きドレスが挙げられます。赤いAラインのドレスやサファリドレスも使用され、モノクロームの配色が多用されます。これらのデザインは、1960年代のモダンさを反映し、映画のタイムレスな魅力を高めています。
化粧はナチュラルで、氷のような冷徹さを際立たせます。淡いリップとアイメイクが、セヴリーヌの内面的な神秘性を強調します。肌は porcelainのように滑らかで、全体的に控えめなメイクが彼女の美貌を引き立てます。
髪型は、ブロンドのミディアムヘア。ストレートで肩にかかる長さのヘアが、洗練されたイメージを演出します。時にはハットやグローブと組み合わせ、ブルジョワのエレガンスを加えます。このスタイルは、ドヌーヴのアイコン的なイメージを形成しました。
これらの要素は、ドヌーヴの演技を支え、視覚的に映画のテーマを深めます。サンローランの衣装は、彼女のキャリアとの長い関係の始まりとなり、ファッション史にも影響を与えました。
あらすじ
セヴリーヌ・セリジーは、美しく若い主婦ですが、夫のピエールとの性的関係に不満を抱いています。彼女は愛情はあるものの、夫との親密さを共有できず、支配やサドマゾヒズムの幻想に浸ります。ピエールは妻の冷徹さを尊重しますが、欲求不満を感じています。
スキーリゾートで友人ヘンリ・ユッソンとレネーと出会い、セヴリーヌはユッソンの視線に不快感を覚えます。パリに戻り、レネーから共通の友人アンリエットが高級売春宿で働いていることを知ります。ユッソンから売春宿の住所を聞き、好奇心と幻想から訪れます。
マダム・アナイスが経営する売春宿で、セヴリーヌは「ベル・ド・ジュール」という名で働き始めます。最初は躊躇しますが、アナイスの厳しい指導で初の客を迎え、性的興奮を覚えます。一週間離れた後、再び午後2時から5時まで働く生活を始め、夫には秘密にします。
ユッソンが自宅を訪れますが、セヴリーヌは拒否します。しかし、幻想の中で彼との関係を想像します。夫との肉体関係は改善しますが、売春宿では若い犯罪者マルセルと出会い、幻想のようなスリルを味わいます。マルセルは彼女に執着し、嫉妬を募らせます。
ユッソンが売春宿でセヴリーヌを発見し、秘密を約束します。セヴリーヌは売春宿を辞めますが、マルセルは彼女の自宅を突き止め、ピエールを脅します。マルセルはピエールを銃撃し、逃亡中に射殺されます。ピエールは昏睡状態となり、後遺症で車椅子生活になります。
セヴリーヌは夫の介護をしますが、ユッソンが真実を告白します。曖昧な結末で、ピエールが突然回復するシーンが幻想として描かれます。
解説
映画『昼顔』は、ジョゼフ・ケッセルの小説を基に、ルイス・ブニュエルが監督したシュルレアリスム映画です。性的欲求と心理の深層を探り、幻想と現実の境界を曖昧に描きます。セヴリーヌの二重生活を通じて、ブルジョワ階級の偽善や抑圧された欲望を風刺します。
ブニュエルは、夢のようなシーケンスを挿入し、馬車の鈴音で幻想を示唆します。童話的な要素や謎の箱が登場し、心理分析を拒否します。性的解放をテーマにしつつ、明確な説明を避け、観客の解釈に委ねます。このアプローチが、映画の魅力です。
批評では、ドヌーヴの演技とブニュエルの演出が高く評価されます。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、商業的成功を収めました。Rotten Tomatoesでは95%の支持率で、批評家コンセンサスは「魅力的で解釈しにくい」とあります。
テーマとして、マゾヒズムやフェティシズムが挙げられます。ブニュエルは、ブルジョワの生活を批判し、宗教や社会規範を風刺します。曖昧な結末は、すべてがセヴリーヌの幻想かもしれないと示唆します。この曖昧さが、映画の深みを増します。
本作は、1960年代の性的革命を反映しつつ、タイムレスな普遍性を持ちます。ブニュエルの後期作品として、キャラクターの内面に焦点を当て、シュルレアリスムの頂点を示します。ファッションや視覚要素も、物語を豊かにします。
全体として、性的探求と心理ドラマの融合が特徴です。観客に問いかけるスタイルが、永遠の魅力を生み出しています。
キャスト
- カトリーヌ・ドヌーヴ:セヴリーヌ・セリジー(ベル・ド・ジュール)
- ジャン・ソレル:ピエール・セリジー
- ミシェル・ピコリ:ヘンリ・ユッソン
- ジュヌヴィエーヴ・パージュ:マダム・アナイス
- ピエール・クレマンティ:マルセル
- フランシスコ・ラバル:イッポリート
- フランソワーズ・ファビアン:シャルロット
- マシャ・メリル:レネー
- マリア・ラトゥール:マチルド
- マルグリット・ムニ:パラ
- フランシス・ブランシュ:アドルフ氏
- フランソワ・メストレ:教授
- ジョルジュ・マルシャル:公爵
- イスカ・カーン:アジア人の客
- ベルナール・ミュッソン:従者
スタッフ
- 監督:ルイス・ブニュエル
- 脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
- 原作:ジョゼフ・ケッセル(小説「昼顔」)
- 製作:アンリ・ボーム、ロベール・アキム、レイモン・アキム
- 撮影:サシャ・ヴィエルニ
- 編集:ルイゼット・オートクール
- 製作会社:パリ・フィルム・プロダクション、ファイヴ・フィルム
- 配給:ヴァロリア(フランス)、ユーロ・インターナショナル・フィルムズ(イタリア)
- 衣装デザイン:イヴ・サンローラン
- 靴デザイン:ロジェ・ヴィヴィエ






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