『聖なる酔っぱらいの伝説』は1988年伊仏合作のファンタジー映画。パリを舞台に、ホームレス生活を送る男が不思議な紳士から200フランを借り、日曜日に返す約束を繰り返し破る中で、奇妙な出会いや出来事が次々と起こります。
ヨーゼフ・ロートの小説を原作とし、赦しと人間の運命をテーマに描かれています。美しい映像と詩的な語り口が特徴で、1988年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。
基本情報
- 邦題:聖なる酔っぱらいの伝説
- 原題:LA LEGGENDA DEL SANTO BEVITORE
- 公開年:1988年
- 製作国・地域:イタリア、フランス
- 上映時間:120分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
『聖なる酔っぱらいの伝説』では、複数の女優が重要な役割を果たしています。
サンドリーヌ・デュマは、ギャビーという若いダンサーを演じています。彼女の活躍は、主人公アンドレアスとの情熱的な出会いを中心に描かれ、物語にロマンティックな要素を加えています。デュマの演技は、活発で魅力的なキャラクターを自然に表現し、主人公の人生に一時的な喜びをもたらす存在として印象的です。
ソフィー・セガレンは、カロリーヌ役で登場します。彼女は主人公の過去に関わる元恋人として、再会シーンで感情的な深みを加えています。セガレンのパフォーマンスは、複雑な過去のトラウマを抱えながらも優しさを見せる女性を繊細に描き出し、物語のドラマチックな転換点で重要な役割を担っています。
セシール・パオリは、脇役として物語に彩りを添えています。彼女の活躍は、主人公の周囲の人間関係を豊かにし、全体のファンタジー的な雰囲気を支えています。
これらの女優たちは、男優中心の物語の中で、感情の機微を表現する上で欠かせない存在です。
女優の衣装・化粧・髪型
サンドリーヌ・デュマ演じるギャビーの衣装は、ダンサーらしい華やかなドレスが中心で、赤や黒を基調としたセクシーなデザインが採用されています。化粧は、目元を強調したメイクで魅惑的な表情を際立たせ、髪型はゆるやかなウェーブのかかったミディアムヘアが、若々しさと自由奔放さを表現しています。
ソフィー・セガレン演じるカロリーヌの衣装は、シンプルで上品なワンピースやコートが多く、落ち着いた色調が過去の影を象徴しています。化粧はナチュラルメイクで、控えめなリップとアイシャドウが用いられ、髪型はストレートのロングヘアが、成熟した女性の優雅さを強調しています。
セシール・パオリの衣装は、日常的なスカートやブラウスで、現実味のあるスタイルです。化粧は軽めのファンデーションとマスカラが中心で、髪型はショートカットが、脇役としてのさっぱりとした印象を与えています。
これらの要素は、1930年代のパリを思わせる時代設定に沿ったものです。
あらすじ
物語は、パリ・セーヌ川の橋の下でホームレスとして暮らすアンドレアス・カルタックが、不思議な老紳士と出会うところから始まります。老紳士はアンドレアスに200フランを貸し、日曜日の朝に聖テレーズ像のある教会で返すよう条件を付けます。アンドレアスはこれを受け入れますが、酒浸りの生活から抜け出せずにいます。
借金を受け取った後、アンドレアスの身に奇妙な出来事が次々と起こります。突然仕事が見つかり、給料を受け取ったり、新品の財布に大金が入っていたりします。さらに、若いダンサーであるギャビーと出会い、情熱的な一夜を過ごします。しかし、日曜日が来ると、教会へ向かう途中で旧知のカロリーヌと再会します。カロリーヌはアンドレアスの過去の恋人で、彼はかつて彼女の夫を誤って殺して投獄された過去があります。二人は愛を再燃させ、借金の返済を忘れてしまいます。
翌週、アンドレアスは再び借金を返す決意をしますが、今度は幼なじみのヴォイテクと出会い、酒を飲み交わします。ヴォイテクは成功したボクサーで、アンドレアスに金を与えますが、またしても返済の機会を逃します。物語はさらに続き、次の日曜日にカフェで待つアンドレアスは、夢で見た聖テレーズに似た少女を見かけ、感動のあまり昏倒します。この出来事を通じて、アンドレアスの人生は奇跡的な赦しと運命の巡り合わせで締めくくられます。
全体として、借金の返済を軸に、主人公の内面的な葛藤と周囲の人間関係が織りなすファンタジー要素が描かれています。パリの美しい風景が背景に、酒と奇跡の間で揺れる男の物語です。
解説
本作『聖なる酔っぱらいの伝説』は、オーストリアの作家ヨーゼフ・ロートの小説『聖なる酔っぱらいの伝説』を原作としています。ロート自身がアルコール依存に苦しんだ経験を反映した作品で、1939年に没後出版されました。監督のエルマンノ・オルミは、この小説を詩的な映像で再現し、人間の弱さと神の赦しをテーマにしています。オルミのスタイルは、ドキュメンタリー的なリアリズムとファンタジーを融合させたもので、本作でもパリの街並みを美しく捉えています。
1988年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したほか、イタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞、監督賞、撮影賞、編集賞を獲得しました。また、ナストロ・ダルジェント賞でも最優秀作品賞、監督賞、脚本賞を受賞しています。これらの受賞は、作品の芸術性とテーマの深さを評価したものです。
主人公アンドレアスを演じるルトガー・ハウアーの演技は、絶賛されました。彼の抑揚ある表現が、酒に溺れる男の内面をリアルに描き出しています。音楽にはイーゴリ・ストラヴィンスキーの曲が使用され、物語の幻想的な雰囲気を高めています。撮影のダンテ・スピノッティは、光と影のコントラストを巧みに使い、パリの秋の情景を詩的に表現しています。
本作は、単なるドラマではなく、人生の奇跡と贖罪を探求する寓話です。ホームレスの視点から社会の底辺を描きながらも、希望の光を差し込む点が特徴です。ヨーロッパ映画の伝統を継承しつつ、普遍的な人間性を問いかけます。公開当時、批評家からは「現代のファーブル」と称賛され、今日でも名作として語り継がれています。
製作背景として、イタリアのアウラ・フィルムとフランスの共同制作で、RAIやZDFなどの放送局が関わっています。オルミ監督は脚本も担当し、原作のエッセンスを忠実に再現しながら、独自の解釈を加えました。この作品は、オルミのフィルモグラフィーの中でも傑作の一つと位置づけられています。
キャスト
- ルトガー・ハウアー:アンドレアス・カルタック
- アンソニー・クエイル:不思議な紳士
- サンドリーヌ・デュマ:ギャビー
- ドミニク・ピノン:ヴォイテク
- ソフィー・セガレン:カロリーヌ
- ジャン=モーリス・シャネ:不明
- セシール・パオリ:不明
- ジョゼフ・デ・メディナ:不明
- フランコ・アルディギエーリ:不明
- フランチェスコ・アルディギエーリ:不明
スタッフ
- 監督:エルマンノ・オルミ
- 脚本:エルマンノ・オルミ、トゥリオ・ケツィク
- 原作:ヨーゼフ・ロート
- 製作:ロベルト・チクット、ヴィンチェンツォ・デ・レオ
- 製作総指揮:マリオ・チェッキ・ゴーリ、ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
- 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
- 撮影:ダンテ・スピノッティ
- 編集:ファビオ・オルミ、パオロ・コッテイニョーラ
- 製作会社:アウラ・フィルム、チェッキ・ゴーリ・グルッポ・タイガー・チネマトグラフィカ、RAI1、トーリュス・フィルム、ZDF、ORF、シネマックス



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