『鮮血の処女狩り』は17世紀のハンガリーを舞台としたホラー映画。老いた伯爵夫人エリザベート・ナーダスディが、処女の血を浴びることで一時的に若返る秘密を発見します。恋人のドビ大尉とメイドのジュリーの助けを借り、少女たちを誘拐・殺害しながら、若き中尉イムレ・トスとの恋を楽しみます。しかし、秘密が露呈し、悲劇的な結末を迎えます。この作品は、実在の人物エリザベート・バートリを基にしたゴシックホラーで、ハマー映画のスタイルが特徴です。
基本情報
- 邦題:鮮血の処女狩り
- 原題:COUNTESS DRACULA
- 公開年:1970年
- 製作国・地域:イギリス
- 上映時間:92分
- ジャンル:ホラー
鮮血の処女狩り(1971年)オリジナル予告編 [HD]
女優の活躍
映画『鮮血の処女狩り』の主役を務めるイングリッド・ピットは、エリザベート・ナーダスディ伯爵夫人を演じています。彼女の演技は、老女から若返った美女への変身が特に評価されています。老化した姿では、苦々しい表情と体躯の動きで、権力者としての威厳と内面的な腐敗を表現しています。若返った状態では、魅惑的で情熱的な女性像を体現し、観客を引き込む力強いパフォーマンスを発揮します。イングリッド・ピットは、ハマー映画の代表的な女優として知られ、本作では彼女の肉体的な存在感が物語の中心を担っています。
レスリー=アン・ダウンは、伯爵夫人の娘イロナ役で出演しています。当時16歳の彼女は、無垢で美しい少女を演じ、母親の陰謀の犠牲者として物語に純粋さを加えています。彼女の演技は、恐怖と混乱を自然に表し、後年のキャリアにつながる才能を示しています。パティエンス・コリアーは、メイドのジュリー役を演じ、忠実ながらも良心の葛藤を抱える複雑なキャラクターを深みを持って描いています。彼女の存在は、物語の道徳的な側面を強調します。
アンドリア・ローレンスは、娼婦ジザ役で登場し、短いシーンながらも印象的な活躍を見せます。彼女の演技は、物語の残酷さを強調する役割を果たしています。ニケ・アリギは、占いをするジプシー少女役で、神秘的な雰囲気を醸し出します。これらの女優たちは、イングリッド・ピットの主役を支え、全体の緊張感を高めています。イングリッド・ピットの演技は、特に変身シーケンスで効果的で、彼女の喜びや絶望を活き活きと表現しています。批評家からは、彼女のハミングアップが本作の魅力の一つとされています。
全体として、女優たちの活躍は、ハマー映画の伝統である美女と恐怖の融合を体現しています。イングリッド・ピットは、肉体的な腐敗感を強く表現し、観客に強い印象を残します。レスリー=アン・ダウンの若々しい演技は、対比として効果的です。これらのパフォーマンスが、映画のゴシックな雰囲気を支えています。
女優の衣装・化粧・髪型
イングリッド・ピットの衣装は、17世紀のハンガリー貴族を反映した豪華なものです。老化した状態では、暗い色調の重厚なドレスを着用し、威厳を強調します。若返った姿では、赤や金色の華やかなガウンを纏い、魅惑的なシルエットを描きます。これらの衣装は、ハマー映画のセットから再利用されたもので、歴史的な正確さを保ちつつ、ドラマチックな効果を加えています。
化粧については、老化メイクが特徴的です。イングリッド・ピットの老女メイクは、しわやたるみを強調し、時には不自然に厚く見えるものの、効果的に恐怖を演出します。若返り時は、鮮やかなリップとアイメイクで、美しさを際立たせています。メイクアップ監督のトム・スミスが担当し、変身のコントラストを強調しています。
髪型は、時代風の巻き髪が主です。老化したイングリッド・ピットは、白髪交じりの乱れたアップスタイルで、狂気を表します。若返り時は、長いウェーブのかかった黒髪を下ろし、官能性を高めています。ヘアドレッシング監督のパット・マクダーモットが、髪型の変化でキャラクターの内面を表現しています。レスリー=アン・ダウンの髪型は、シンプルなロングヘアで、無垢さを強調します。
他の女優の衣装は、メイドのジュリーが地味なドレスを着用し、対比を成します。娼婦ジザの衣装は、露出度の高いもので、物語の残酷さを視覚化します。これらの要素は、全体の視覚的な魅力を高めています。衣装は、ブライアン・オーウェン=スミスが担当し、歴史的な忠実さとホラー要素を融合させています。
あらすじ
17世紀のハンガリーで、最近夫を亡くした老いた伯爵夫人エリザベート・ナーダスディは、偶然、若い女性の血を浴びることで一時的に若返ることを発見します。彼女は、城の執事で恋人のドビ大尉と、メイドのジュリーに助けを求め、地元の少女たちを誘拐・殺害し始めます。若返った状態で、彼女は自分の19歳の娘イロナの身代わりとなり、イロナを森に幽閉します。
エリザベートは、若い中尉イムレ・トスと恋に落ち、ロマンスを楽しむ一方で、城の歴史家ファビオが彼女の行動を疑い始めます。ファビオは、血の犠牲に関する本を持ち、エリザベートに処女の血だけが効果的だと明かしますが、ドビに殺されます。エリザベートは、市場で買った少女を殺し、若さを維持します。
しかし、ドビは嫉妬からイムレにエリザベートの正体を暴露します。エリザベートはイムレを強引に結婚させますが、ジュリーの助けでイロナが帰還します。結婚式中、エリザベートは再び老化し、娘を殺そうとして誤ってイムレを刺殺します。エリザベート、ドビ、ジュリーは裁判で死刑を宣告され、牢獄で処刑を待つ姿が描かれます。最後に、農民たちが彼女を「悪魔の女」「ドラキュラ伯爵夫人」と呪います。
解説
映画『鮮血の処女狩り』は、実在のハンガリー貴族エリザベート・バートリを基にした物語です。バートリは、処女の血を浴びて若さを保ったという伝説があり、これをホラー映画化したものです。ハマー映画製作の典型的なゴシックホラーで、血と美のテーマを追求しています。監督のピーター・サスディは、視覚的な効果を重視し、暗い色調のセットで雰囲気を構築します。
映画は、1971年にイギリスで公開され、ランク・フィルム・ディストリビューターズが配給しました。米国では1972年に20世紀フォックスが担当しました。音楽はハリー・ロバートソンが作曲し、荘厳なスコアが緊張感を高めています。予算の制約から、『アンネ・オブ・ザ・サウザンド・デイズ』のセットを再利用し、豪華な雰囲気を演出しています。
イングリッド・ピットの演技は、批評家から高く評価され、彼女のキャリアのハイライトの一つです。老化と若返りのコントラストが、物語の核心を成しています。映画は、ホラー要素だけでなく、嫉妬や権力の腐敗を描き、心理的な深みを加えています。後年のレビューでは、イングリッド・ピットの存在感が本作の魅力とされています。
全体として、ハマー映画の後期作品として、伝統的なスタイルを維持しつつ、ヌードや暴力の要素を加え、観客を引きつけます。伝説の再解釈として、歴史とフィクションの融合が興味深い点です。
キャスト
- イングリッド・ピット:エリザベート・ナーダスディ伯爵夫人(声:オリーブ・グレッグ、無クレジット)
- ナイジェル・グリーン:ドビ大尉、城の執事
- サンドール・エレス:イムレ・トス中尉
- モーリス・デナム:ファビオ大師、城の歴史家
- パティエンス・コリアー:ジュリー・センテシュ、看護婦
- レスリー=アン・ダウン:イロナ・ナーダスディ伯爵夫人、エリザベートの娘
- ピーター・ジェフリー:バログ大尉、首席執行官
- レオン・リセク:執行官の軍曹
- ジェシー・エヴァンス:ローザ、テリの母
- アンドリア・ローレンス:ジザ、羊飼いの宿の娼婦
- スーザン・ブロドリック:テリ、侍女
- ニケ・アリギ:占いのジプシー少女
- マリアンヌ・ストーン:厨房のメイド
- チャールズ・ファレル:売り手
- アン・スタリーブラス:妊婦
- マイケル・カドマン:若い男
- イアン・トリガー:道化師
- アレックス・グリーンランド:聖歌隊の少年(無クレジット)
- ヒューリャ・バブシュ:ダンサー
スタッフ
- 監督:ピーター・サスディ
- 脚本:ジェレミー・ポール
- 原案:アレクサンダー・パール
- 原案:ピーター・サスディ
- アイデア原案:ガブリエル・ロネイ
- 書籍「血の伯爵夫人」(無クレジット):ヴァレンタイン・ペンローズ
- 製作:アレクサンダー・パール
- 撮影監督:ケネス・タルボット
- ヘアドレッシング監督:パット・マクダーモット
- メイクアップ監督:トム・スミス
- 製作マネージャー:クリストファー・サットン
- 助監督:アリエル・レヴィ
- 編集:ヘンリー・リチャードソン
- 音楽:ハリー・ロバートソン
- ミュージカル監督:フィリップ・マーテル
- 振り付け:ミルティル・ナーダシ
- ワードローブ・マスター:ブライアン・オーウェン=スミス
- 特殊効果:バート・ラックスフォード
- 製作会社:ハマー・フィルム・プロダクションズ



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